Act - 1 「地の色」
1 / ⅰ - 天使の語源 -
蒼歴 █████ 年 一の月
人は何かに
人は何かを誤る故に神を
人間は文明の利器で身の周りを覆うようになり、電子と数値による神の存在の証明が不可能と知りながらも、人類は神が与えし恵を信じて疑わず祭壇の前で
が、その
欲望を根源に、暴力を火種に。
空を超え海を渡り、そうして燃え盛る災禍の
在りもしない虚構を崇拝していた使徒に下された審判は、残酷なほどに真っ直ぐな死という現実だった。
「神は、死んだ。」
そうして神に見放され、
世界は互いに目に見えぬ線を、壁を、溝を作り、
その狂騒の
そこに飛び交うは、機動性と機能性に長けた軍用航空機───即ち、戦闘機。
渇望を燃料に、悪虐を爆薬に。
轟音を
羽根を捥がれた
その黒は蒼天のキャンバスを穢し、やがて天空には晴れぬ黒雲が世界を覆うこととなった。
腐敗し、瓦解し、陥落した混沌の世界で、それでも人は前へと走り出す。
それが愚昧であると知りながらも、不明瞭で、不確実で、不安定な世界を突き進む。
恐怖心に駆られ、猜疑心に揺られ、憂慮心に煽られ、怨嗟の怒号も悲哀の叫喚も一切を呑み込み燃え盛る炎を、最早誰もが消そうとは思えなくなっていた。
希望を血潮に、祈願を烈火に。
光の指さなくなった空を尚も飛び続ける銀翼を、人々はいつからか盲目的に崇め讃え、やがてそれらはこう呼ばれるようになった。
「───『鋼鉄の天使』ねぇ。よくもまぁ、大層な名で言ったもんだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます