§ØЯ∀ -ソラ-
灼霧ゴッカ
- Ⅰ -
Act - 0.9 「星の色」
0 / ⅰ - 堕ちる天使、堕とす天使 -
蒼歴 █████ 年 █ の月
「なぁ神様、この
天が在り、地が在り、人が在る。
花が咲き、鳥が鳴き、風が吹き───然れど、月の灯を知る者は誰一人としていない。
時を超えても太陽の光は変わらず空を照らし、昼と夜を教えてくれる。
しかし天空には黒く濁った負の遺産が立ち籠めている為、昼夜の判別は灰色の濃淡の差だけとなってしまった。
闇夜に鴉、雪に鷺。
降り積もる雪に紛れる白鷺のように、星一つ瞬かない暗夜に
『───《
黒で塗り潰された一方の影では、ノイズと共に一つの男性の声が耳元に響く。
返答する姿勢を見せないところから、それは交信ではなく傍受であると知れる。
『こちら《
先刻とは別の声、通信相手と予想される人の声が続く。
空を切る音と共に聞こえることから、彼等は航空機に乗り空を飛動中であると想像が付く。
その会話を盗聴している二つの影は、何も語らずにただ闇の奥を見詰めていた。
一つの影の合図でもう一つの影が動き、それは身を伏せると
そして、耳から得られる聴覚的情報に加え視覚的情報を得る為に、目の調整をする。
カチリ、カチリと小さな音が響いては夜に消え、やがてそのレンズは一つの
『こちら《
刹那。
その声は鋭い爆発音によって遮られ、その言葉が続くことはなかった。
『おい? どうした、何があったか報告せよ。……応答しろ! おい!? お───』
残された声から焦りの色が見えた時には既に遅く、その声は得体の知れぬ恐怖を抱いたまま喉元を潰された。
「お見事、美事ね」
耳から何も聞こえなくなったことを確認すると、その影はゆっくりと身を上げた。その手には闇黒から姿を見せた
「貴方は、闇に堕ちたから、堕天使なのかしら?」
二翼の天使が堕ちる様を見ながら、その二つの影は宵闇へと消えた。
「貴方は、闇へ堕とすから、堕天使なのかしら?」
その声は暗夜に静かに響き、やがて虚空へと消える。
「ねぇ─── 【
漆黒は何も語らない。
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