祠
それはかまうものか。
転げ落ちたはまるで誰の所為だったか などと言い訳を催しても理由なんてどうでもよい。対価は祓われた。
それはひとづてならないものであったと 知ら占めることも まかりならぬ、もう後戻りは出来ぬとき。
辛うじて命を留め山の中腹にある寂れた祠をみつけ、転がり込んだものの閂は錆びていたが もう既に朽ち果てようとしていた。
ひとひとりが入り込めるほどの大きな口を開け闇に蠢くもの、燻る翳り、
ざわめきすら幽かに虫の音ほども遠い。然し気丈の星は、やはりとうに死んだ。然し扉に巻きついた黒蜥蜴の尾っぽを切ったは 急度あなた自身ではなかったのか。もう生かすことはない 先先に滴る 舌っ足らずの、あいことばを思えば想うほど。つらつらと草履の楔 結われてしまったもの。
底に脱いで置くか 捨て去るかどちらかを葬送に定める。
あれは川沿いの平坦な道をただ意味もなく、対岸への道を探しまわっていたはずであったが、振り返れば曼珠沙華が咲き乱れる山の中腹で、なにかに足を盗られ、転げ落ちる。どうと気づけば祠の隅で目を覚ました。
そして月も陰り、深い霧に照らされ覆われる今 白い幕切れは、突如眼前に現れた沿道に、また列ぶ人の群れはどいつもこれを知っていて、祝福でも哀悼でも ゆくみちは、底にすすむばかり。
人生など 生き抜く術において 奪い愛 泪を呑んで 折り合いを
思慮も
もう何年も微動だにしない道標上の烏はただ、鳴くばかり 喚くばかりで 何を示しているのかとんと解らぬもの。しかし、その時が来ればその黒い影だけが滑るように我が身に移り込むという、話だったかと不意に思い出し、さて生死に関わらず、こうして地に足を生やし待ち
だれひとりとして なにも き
使者の未知が拓かれるときに参ろうと思いに耽るばかり。さて川を亘ったか 坂を降ったのか、わからぬまま。
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