第2話 再会した娘って……

「あ、そうそう。もう一つ思い出したんやけど……小学校の時に転校して、高校で再会って奴あるやん。あれってどうなん?」


 可奈美かなみが言い出したややこしい問題を考えてみる。


「んー。なんか、小学校の途中で転校した奴はちょいちょいおった気がするけど……そもそも連絡取らんよね」


 小学校を卒業するまで一緒だった奴はともかくとして。


「転校した子が頻繁に帰って来たり、連絡寄越して来たら、話は別なんやろうけどね……。でも、あたしらのグループにはおらへんけど、転校したけど連絡取り合ってるってのはおるんやない?」


 確かに。小学校の途中で転校してったやつの記憶は大体朧げだけど、それでも、その後、お互い連絡を取り合っていれば違うかもしれない。


「すっごい野暮を承知で言うんやけど。仲ええなら、連絡取り合えよ!っちゅうのは思うな」


 当たり前のようにインターネットが使える俺たちと違って、電話や手紙でのやり取りが主だった時代もあると聞くから、その場合は難しいかもしれないけど。


「あー、それ、すっごくわかるわ。家族揃って夜逃げとか、よっぽど事情あるならわかるんやけど。偶然、再会した娘が結婚の約束を覚えとった!とか。いやいや、その前に、転校した後に、元の学校のやつと連絡取るとかせえへんのかな……」


 可奈美の疑問は至極もっともだと思う。


「なんとなく、気まずくて連絡取る気にならへんかったとか、そういうのはあるかもな。あと、タイミング悪くて、連絡先聞きそびれたとか」


 実際に、転校した奴がどうかはわからない。

 しかし、転校したヒロインの主人公への想いに疑問符がつく行動だとは思う。


「まー、それ言ったら、バトル漫画とかも読めへんから野暮やっちゅうのもわかっとるつもりやけど。現代の恋愛やと、考えてしまうわ」


 と、可奈美がなんだか、無理やり締めに入った。


 結論。運命的な再会の前に、連絡手段があるなら、連絡しよう。

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