03 夢と幻想

 ゆっくりと眠くなって。


 眠りに落ちた。


 しぬ前にも、夢は見るのだろうか。


 走馬燈とか。いまなら。失恋する前の。彼との記憶で満たされながら。しねる。それがいいな。彼との記憶だけを。胸に抱いて。


 彼との出会い。


 彼との会話。


 一緒の日々。


 最期まで、彼とふれ合うことは。なかった。手ぐらいは、繋いで、みたかったなあ。


 せめて。夢の中では。彼と一緒に。


 彼の姿が見える。


 わたしと。


 手を繋いでください。


 彼の掌が、やさしく、わたしの手を包む。


 彼の手を握って。


 わたしの命は終わる。


 そういう人生がいい。


 あなたのことが。


 好きでした。



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