キウイバード
食卓にキウイフルーツが置いてあった。横には「食べてね 母より」のメモがある。だが、そのメモ実に怪しい。
端についた緑の粘液はなんだ?
それにこの果物、わずかながら動いている気がする。いや動いている。獣が息をするよう、膨らみしぼみ脈打つ。
こういうオカルティックなのは大好きだ。アメリカのB級ホラーみたいに、こいつを食ったらエイリアンの苗床になったりしないだろうか。もし死ぬなら、そういうのも愉快だ。なんせ俺のせいで世界が滅びるのだ。
人間なんて人と人の正義を貫こうとして、互いを傷つけあっている。底抜けに愚かでどうしようもない生物だ。もちろん俺もその一人だ。
だから、俺ともども人間なんて滅びてしまえばいい。俺がきっかけだったとしても、誰も咎めない。矛先はエイリアンだ。そもそも咎める人も滅びていない。
俺は勢いよくキウイをかじった。キウイはやっぱり皮ごとがいい。それにカモフラージュは、他者の皮を被るのがいい。
だが舌に触れたのは、生卵のような感触だった。味もロッキーごっこで飲んだ時のものと同じだ。
俺はテーブルにそれを吐き出した。
まごうことなき鶏卵だ。動かない黄身と白身だ。だから目玉焼きで食った。
おいしかった。
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