眼鏡アフロマン

 近頃、眼鏡をかける人が減った。簡単安価なレーシックが流行ってはいない。目の悪い人も減らない。むしろ増えているはずだが減ったのだ。


 すると私は大変にレアな人を見ているのだろう。つまり某ゲームのサボテンっぽいのや、メタリックなのに相当する者にエンカウントしたのだ。


 男は眼鏡アフロマンだった。西部警察の大門刑事みたいなサングラスをかけ、髪には無数の眼鏡がついている。


 見たところド近眼から遠近両用、老眼鏡とあらゆるものがある。


「Hey boy...」


 胡散臭いことこの上ない。もしや眼鏡人口が減ったのは、この怪異の仕業ではなかろうか。


「眼鏡が減ったのはあなたのせいですか?」


「Yeah」


「僕は、僕は、あなたが嫌いだ! 」


「Why? 」


「眼鏡が好きだからだッ!!」


 我ながら情緒不安定である。気づけば男に組み付き、髪に手を入れかきむしっていた。カシャリカシャリと眼鏡が落ちる。地を打つそれらは瞬時に砕け、光となり飛んでいく。


 その時サングラスが落ちた。すると次第に男の体も解け、一片二片と空に昇っていく。


「Thanks」


「勝った、すべては眼鏡のために!」


 しかし彼は知らない。これが新たな眼鏡怪人の生まれた瞬間であることを……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る