第5話

 成田から飛行機を乗り継いで数時間、そこは白い砂と熱い日差しの別世界でした。Tはもう迎えにきていて、入国手続きをすませると、さっそく彼の経営するロッジに向かいました。

もう午後も遅くなっていたので、その日はゆっくり休養して、Tから詳しい話を聞きました。

 このあたりにはいくつか島があって、それぞれおもしろいポイントがあるのだそうです。Tのようなプロのガイド達は、それぞれとっておきのポイントを持っていて、それを売りものにしています。彼はレパートリーを増やそうと、ある日いつもより遠出をして、偶然に魚群探知機で見つけたのだそうです。

 かなり島から離れているので、浅い場所ではありませんが、潮の流れは穏やかで、条件さえ整えば、決して危険な場所ではないということでした。

 Tは、必ず彼の指示にしたがうこと、複数で行動すること、時間を厳守して無理に奥まで行こうとしないこと、などを約束させました。特に、沈没船の中で迷ったり、無理に扉を開けて入りこんで閉じこめられたりすると、命にかかわることになりかねないので、絶対にやらないようにと厳命しました。

「欲張って危ない真似なんかするなよ。金目のものなら、もう探してみたさ。」

Tはそう言って、にやりと笑いました。

 明日の組合せは、IとSとYで一組、僕は一番経験が少ないということでTと組んで潜ることになりました。

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