第3話

 Kは大学時代の後輩で、もう十年ごしの付き合いです。彼は僕が海が好きなのを知っていて、どこかへ潜りにいってくる度に、その話をしてくれるのです。

 ある日、Kは真っ黒に日焼けした顔で、いつものように僕の家に遊びにきました。

「やあ、今度はずいぶん長く留守にしてたね。いったいどこへ行ってたんだい。」

僕がそう言うと、いつもなら自慢げに目を輝かせながらみやげ話をしてくれるのですが、その日に限って、妙に疲れきったような顔でなかなか口を開きません。

病気にでもなったんじゃないかと心配して、あれこれ問いただすと、やっと重い口を開き始めました。

「いや、今回ばかりはとんでもない目にあいました。こんな不思議な経験をしたのは、生まれて始めてです。じつは・・・

 Kは話し始めました。

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