第三章 1
自分のマンションに戻った悟は、自分の気持ちをはっきりと認識するために考え始めた。
悟にとっては不思議な感覚に襲われた数時間だった。Ruriとの出会いは悟の運命を大きく動かそうとしている。
なぜ、Ruriに対して恋愛感情を持ってしまったのか・・・。
なぜ、Ruriの歌が心に響くのか・・・。
Ruriは魂が近いと言っていた。その感覚は悟にも分かる感じがしている。
結局理屈抜きの感覚的なつながりなのか・・・。
Ruriの繊細な魂との触れあいが悟の心をふるわせたことは確かだった。
ただ、それで自分の半生を与えてしまえるほどに重要な存在になるとは・・・。
悟はいつものようにリビングを歩き回っている。
何周しても納得のいく答えは出てこなかった。
結局はっきりしていることは、Ruriを失うことが耐えられない・・・ということか・・・。
会ってまだそれほど経っていないのに、彼女のいない世界が考えられない。自分のいる世界に彼女がいないことは耐えられない喪失感が・・・。
自殺まで考えた自分が、その命をRuriのために役立てるのならば、本望というか、なんというか。
自殺を考えてしまった時点で、これからの人生は無意味なものに成り下がってしまっていた。今後のモチベーションを保つのが大変だと思っていた自分の命がRuriの命になる・・・。
これほど幸せなことはない・・・。
どうも、理屈ではないようだ。愛してる?これも違うような気がするのだが、一番近いようだ。 と感じていた。
まあ、納得する、しないに関わりなく、悟の心は既に決まっていた。
明日はRuriと話し合うと言っても、Ruriを説得してこの治療を受けさせるように持っていかなければならない。
Ruriも自分の考えを曲げない頑固なところがあるような感じなので、どのように話を持っていくか考えておかなければ・・・。
魂の片割れ・・・。その言葉が真実ならば案外簡単に納得してくれるかもしれない。
楽観的な考えが浮かんできたので悟は歩き回るのをやめソファに身を沈めた。
自分のことRuriのこと、Ruriの母親のこと、様々な考えが頭の中に浮かんできたが、どれかの考えが落ち着く前に眠りに落ちていた。
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