番外編「元勇者による解説」その1(チート勇者の能力編)


※ 本編の時間軸のどこかの夢の中の話となっています。ほぼ会話形式のみで進みます。本編中の補足などがメインで15話までのネタバレが大量に有るので本編を15話まで見てからの方が楽しめると思います。

 そして、この場を借りて読者の皆様に感謝を、これから第二部開始となりますので是非、皆さまに楽しんで頂けるような物語を作って行きたいと思います。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――






『ここでは異世界で勇者カイリが習得し、これまで本編中で使用した様々な魔法、魔術、スキル等についての解説及び使用法について本人に語って頂く番外編です。私は解説補佐の通称ガイド音声です。よろしくお願い致します』


「つまりゴチャゴチャしている俺の魔法や魔術やスキルが分かり難いから簡単な解説を入れた方が良いと思ったんだよ……まずはそれぞれの特徴だな」


『魔法、正式名称は『則干渉理論』で最初の二文字を取って魔法と省略して呼ばれています。『魔力オド』と呼ばれる物質を使って世界法則に干渉するもので、それを理論体系化したものです』


「魔法は色々と種類が有るけど今まで使ったのは大体が戦闘用魔法か非戦闘用、あとはその他、つまり特殊魔法だな。まずは戦闘用だ」


スパーク感電

バーン燃えろ

スノーボール雪玉投擲

刹那の子守歌すぐにおやすみ

グロウ・ブレイズ輝く聖炎


グロウ・ブレイズ輝く聖炎以外は全て下級魔法に分類されています。特に多様されているスパークは王国では最大魔力で放っても野兎を感電させるくらいしか出来ない威力です』


「ちなみにこっちに戻って来てから撃ったのは全部最低出力だから、本気で撃てばスノーボールだって弱いモンスターの頭ぐらい砕くし、バーンだって弱いモンスター相手なら火傷を負わす事も可能だ。そんでグロウ・ブレイズは中級魔法で魔族キラーだ。魔族だけを滅ぼすんだけど、上級の魔族とかは魔法で防御するから効果はあんま無い……ちなみに人間や他の生命体に対しては聖なる炎が魔族以外の全て保護する機能が有るんだ。これは捕虜や人質を取られても大丈夫なように配慮されたもので人工魔法らしい特性だな。だからビル内の人は怪我なんて無くて全員無事だったんだ」


『続いては非戦闘用魔法の解説です。細かく体系別にされているのですが今回は戦闘用では無いと言う点だけで分けてみました』



【消滅魔法】・【時間魔法】・【回復魔法】・【復元魔法】・【空間魔法】

【創造魔法】・【結界魔法】・【浮遊魔法】・【気候魔法】



「戦闘で使わない魔法は基本的に体系で分けられて無いんだよね。名前で分かるようにそう言う用途でしか無い魔法なんだ。後は個人の魔力量や経験値次第、例えば時間魔法は自分のスピードアップに使うのがほとんどだけど、その差は個人差が有る。俺は最大で常人の千倍までは出した事がある。ちなみに新生魔王軍は常人の五百倍までの速さで動いてて当初は俺も付いて行くのが大変だった」


『最後に特殊魔法となります。しかしこれは戦闘用・非戦闘用問わず特殊名が付いている魔法です。また勇者専用の魔法などもここに入ります』



勇者専用魔法【無限書庫ウィキ】・【即応式万能箱どこでもボックス】・【超強化魔法ドーピング】・【全てを拒絶する聖域引きこもりの味方】・【天罰覿面何が出るかな?


???魔法【因果律操作魔法】



「特殊魔法って言うか俺専用魔法って言っても良いものだね。ちなみに無限書庫以外は勇者専用って言うより、習得する域に到達した人間が俺しか居ないだけだけで空間魔法を極めたら即応式万能箱は使えるし、超強化魔法も複数の魔法の複合型だ。そんで一番ヤバいのが俺がこっちに戻ってくるキッカケになった因果律操作魔法。俺の使える魔術と組み合わせると過去改変や人の運命すら変えちゃう魔法で使用制限有り。1日に3回まで、ただし使い過ぎたら世界が滅ぶらしい、使ったのは今んとこは1回だけで、ここぞと言う時の切り札と考えてる」


『私は無限書庫の機能の一部として解説ガイドを務めています。なので魔法が行使されると私が出て勇者カイリにアドバイスなどをしています。では魔法はこの辺で次は魔術の解説に移ります。魔術、正式名称は『導幾何学技』となっています。その名の通り魔力を幾何学きかがく的に演算を行い何らかの物と合わせる事により魔法を疑似的に再現する技術となっています』


「種類は魔法とほとんど同じで戦闘系・生活系・特殊系の三種類だ。実は魔術は魔法と違って魔力が、ほぼ必要が無いけど触媒、つまり武具など道具に魔法を付与して使っている。俺は自分で道具に付与して使っているけど民間人や一般兵は最初から魔術が付与された物を使ってるんだよね。ゲームとかの魔道具とかマジックアイテム的なノリで魔術を使ってるんだ。ちなみに魔力は皆が持ってるから触媒を持ったら魔力量次第で誰でも魔術は使えるんだ。だけどこっちに帰ってきてから戦闘用の魔術はまだ一切使って無いんだ。だから生活系の説明から入るよ」



【修復魔術】・【医療魔術】・【調整魔術】



『こちら三つは物を修理したり、また回復魔法を使うまでもない病気の治療に利用したりするものです。回復魔法は副作用が起きる場合が有り医療魔術との違いはそこになります。また王国では調整魔術を戦場で使える兵士が重宝されていて出世をするにはこの魔術を使える事が条件になっている部門まで有ります』


「実際この三つは戻って来てからも使う事が多くなったからね。反対に戦闘系は使う機会が無いからな……基本は聖剣に付与する形で使ってたから戦闘系魔術は使う機会が無いんだよ……調整魔術は本当に便利でユリ姉さんの服の調整とかあれからよくさせられているからね……姉さん胸デカ過ぎなんだよなぁ……最近は下着まで持って来るし……っと、次は特殊系だな」



【転移魔術】・【時空魔術】・【性質変化メタモルフォーゼ



『勇者カイリがこちらの世界でもっとも多用している魔術ですね。まず空間に作用させる時空魔術を聖剣に付与し空間に穴を空け、その後に転移魔術で座標を固定しワームホール自体に転移先を指示し、確認をして再度出口を作っています。途中からは転移魔術はほぼ省略されていますがこの二つの魔術の複合が勇者カイリの転移する方法となっています。ちなみにここに因果律操作魔法を混ぜる事で過去改変やタイムワープそれに多次元への干渉が可能となります』


「そんで性質変化メタモルフォーゼは物の性質を変化させるって言う、まんまの名前なんだけど魔力の質や量次第で何にでも変化させちゃう事が出来るんだ。向こうでは子供が間違えて使っちゃってとんでもない事件になったりする取り扱い危険な魔術なんだ。だからこれは向こうでの成人17歳まで使用は不可なんだ。俺はこっちに来てクレーンゲームのアームの強弱にだけ使っちまった。ま、ユリ姉さん気付いてなかったから問題は無いな……うん!!」


『こんな感じで知らぬは本人のみですが戦闘以外では勘が鈍ってしまうので仕方ありません。それでは最後にスキルの説明です。スキルは神気エーテルを使い発動するもので魔族以外の人間などが使える特殊なものです。こちらも主に大別されるのは戦闘・生活・特殊・そして勇者系です。勇者にしか使えない特別なスキルが存在しており対をなす存在は居ないと言われています』


「だから勇者専用魔法とかもそうなんだけど、名前とか自由に付けて良いって言われたから王国にはスキルの表示名だけ教えて俺は別の呼び方にしてるんだ。よくゲームとかで聞く歴代勇者とかあの世界には居なくて俺が勇者第一号だったらしいんだよね。じゃあ、まずは戦闘用……なんだけど正直説明すんの微妙なんだよね……」



【剣術スキル】【感知スキル】【格闘スキル】



「と、まあこんな感じで勇者系スキル以外は目に見えて分かりやすいものが無いんだ。例えばこの剣術なんてのは俺はエリ姉さんに特訓されたりしている内に覚えていたから剣道で言うなら初段くらいあればだれでも習得しているものなんだ。ただスキルはレベル表記じゃなくてプラス表記されていて最大でプラス10まで確認されている。俺は全てのスキルがプラス10になっている」


『勇者は七年間の間に様々な試練に耐え抜き生き残った結果、このような感じで全てのスキルが+10となって居ますが王国でも+9が限界で勇者カイリの同じパーティーメンバーが剣術スキル+9が剣士だったくらいです。続いて生活系スキルです。ほとんどの人間はこちらを使って生活をしています』


【調理スキル】【服飾スキル】


「これは調理はこっちで家事してる内に覚えてて更に向こうでも色々と調理してたらスキルとしてのレベルが凄い事になって+表記を越えて『宮廷レベル』とか付いてんだよな……服飾スキルも横にマイスターとか付いてるし……たぶん+越えなんだと思うんだけど……正直俺も分からない」


『まだまだ研究の余地が有ると言う事ですね、それでは最後はお待ちかねの勇者スキルです。勇者カイリが名付けたものばかりなので頭がおかしいチート系ばかりです』


聖なる一撃相手は死ぬ

聖なる防壁何でもガード

勇者の凱旋ただいま

聖者の眼健康診断

全品再利用もったいない精神

神々の視点全部丸見え


「覚えた時は毎回ハイになってたから凄いテキトーに名前は付けたんだよ。まずは、聖なる一撃なんだけど……これ、こっちの世界では使ってないからな? 使ったら街一つ壊滅すっからさ」


『その通りです。正確にはこちらの勇者カイリの所属する世界に来る直前に戦って始末した黒龍に放った技です。勇者カイリが、ど忘れして名前が思い出せなかったものです合計三回放って黒龍を完全消滅させています』


「あ、ああああああ!! そう言えばそうだ。そんな名前付けたわ。一応一番最後に覚えたスキルだったから更に適当に付けたんだ。ちなみにこれは聖なる防壁の攻撃版みたいな感じであらゆる分子結合を破壊して世界から消滅させるスキルなんだ。あれ三発も耐えたのは本当、凄いからね?黒龍」


『続いては聖なる防壁ですね。これは勇者カイリが苦しめられたスキルですね。防壁と名は付いていますが、その実態は触れたもの全てを分子分解します。敵意認定が非常に厳しいもので勇者の最後のセキュリティです。同様のスキルが勇者の凱旋です。これは敵意認定が緩めなので発動は中々しませんが勇者に敵意を持った者にやはり発動します。細かい条件は発動時に説明されていますね』


「でも俺これ発動……ってかオートだからな……発動とかしてた?」


『一度していますが、勇者は基本結界を張っている場合が多く他は家族としか接点が無いボッチ生活なので発動の機会が少ないのです』


「他は聖者の眼か……これはエリ姉さんの骨格とかおかしいとこを見つけた奴だな。実はかなり初期の頃の勇者系スキルでこの後に完全上位互換の神々の視点覚えちゃったからな……聖者の眼はあくまで個人の身体異常や心の変化を教えてくれるから他の魔法や魔術と合わせて使うのがメイン。だけど神々の視点覚えてからはほぼ使わなくなったんだよな、でもこっち来て状況が変わった」


『その通りです。勇者カイリの現在の17歳の肉体では神々の視点は行使に多大な負荷が掛かります。聖なる一撃や他のこちらの世界で使用していない攻撃系の勇者スキルも何らかの制限が付いている状態です』


「ま、使う事は無いからな……それよりも大活躍なのが全品再利用もったいない精神だな。向こうでも子供たちや女の人にこれで色々作ってあげたんだよね。服とか色々と、ゴミとかガラクタでオモチャ作ったりとかも懐かしいな……」


『ですが本来の使い方は回復アイテムや武器や防具の合成に使うスキルでした。しかしそれを服飾スキルや調理スキルと合わせて多用したのでスキルの方向性がそちらに傾き、今やただの服作りなどのスキルに……』


「ま、良いじゃん。そっちの方が皆喜んでくれたんだしさ……殲滅や戦争の道具よりかは貧しい人や民に分け与える方が俺は良いと思うよ……少なくとも勇者はそうあるべきだと俺は思う」


『最後に勇者カイリのスペックになります』


「それも言うの? えっと、今は17歳だけど過去改変したから記憶だけは24歳。ただ現代知識は17歳で止まってる。人生経験はそこそこかな? 最近は女の人も家族なら大丈夫になって来たよ……。身長は170チョイで髪は黒、目も黒、普通の日本人さ。一応勇者の力出すと髪の毛青くなったりするけど勇者モードって奴。体中の神気と魔力が抑えられなくなって溢れるとああなる」


『フル装備勇者ならその心配も無くなりますけどね。むしろ髪は青に固定されます。肉体能力は永遠にかけられたバフのせいで常人を軽く凌駕しています。現在は二度目の邪神討伐時とほぼ同じスペックで何種類か使えない魔術と魔法が有りますね。取り合えずはこんな所でしょう……』


「あんがと、ガイド音声。こうやって記憶を思い出したりアプデしていかないとたまに自分がどう言う存在か忘れそうになるんだよ……。だからこれから夢の中で定期的に頼むわ!!」


『お任せ下さい。私は勇者をサポートするために有るのですから……世界が変わってもそれは変わりません』


「了解、んじゃ今度こそ寝るから……さて、暗殺を心配しないで寝るのって本当に気持ち良いんだな……おやすみ~」


 元勇者カイリは眠りについた……しかしこの先は更なるカオスとなる……そしてそれは異次元で起こっていたなんて彼は知らなかった。異次元で彼が捨てた24歳の勇者カイリの体がまさか朽ちずにワームホールの別時空の狭間に今も存在していてそれを狙っている者が居たなんて思わなかった……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る