☆みんなへ☆

 ――中学生の頃の私は。


 どちらかというと、『よく喋るオタク』でした。


 咲良さくらちゃんたちと、アニメやマンガの話をずっとしてるような。


 そんな女の子でした。




 そういうのが、目立ったからなのかな。分かんないけど。


 中二の夏頃から――クラスの目立つ女子に、ちょっかいを出されるようになりました。



 最初は我慢してたんだけど、仲良しな友達も、段々と離れていっちゃって。


 プツッと――糸が切れちゃって。


 私は独りぼっちになりました。



 みんなのことは見えるけど、透明な壁の向こうには、手が届かない。


 そんな、ガラスの部屋の中にいるみたいで――ずっと独りで、泣いていました。




 学校に行かなくなって、家に籠もるようになって、結構な時間が経って。


 ……そんな私じゃいけない! って、私はある日、思い立ちました。



 ガラスの部屋の外に出るんだって。

 新しい世界に飛び込むんだって。



 そこまで思い立っちゃうと、すぐ行動しちゃうところがあるんだよね。私って。


 それで私は、新幹線に飛び乗って、地元から東京まで出て――。


『ラブアイドルドリーム! アリスステージ☆』のオーディションに、参加したんです。



 そして私は――『アリス』になりました。



 高校生になって。声優『和泉いずみゆうな』になって。

 私は遂に、ゆうなに声を吹き込むことになりました。


 天真爛漫で、無邪気で、いつも元気な――私の大切な女の子。



『ゆうながずーっと、そばにいるよ! だーかーら……一緒に笑お?』



 ゆうなに命を吹き込んだ、初めてのセリフ。


 たった一言なのに、全然うまくいかなくって。


 めちゃくちゃ凹みました。



 そう簡単に、弱虫な自分は変わらないんだなぁとか。

 やっぱり自分って、だめなんだなぁとか。


 この頃は……一人になると、落ち込んで泣いてばっかりだったっけ。




 でもね。

 そんな私に、ある日――手紙が届いたんです。



 久留実くるみさんから手渡された、一通のファンレター。



■恋する死神より■


 ゆうなちゃん、初めまして。あなたが楽しそうな声で笑った瞬間――落ち込んでいた僕は、元気をもらえました。また、世界に飛び出すことができました。ありがとう、ゆうなちゃん。あなたのことが、大好きです。これからも、ずっとずっと、応援してます。



 優しい『死神』さんは、その鎌で――私の弱気な心だけを、切ってくれました。



『恋する死神』さん。

 ゆうくん。

 …………私の、大好きな人。




 そして私は、弱虫な自分にバイバイして――笑顔でいられるようになりました。


 幸せな私に、なれました。


 だから今度は――私が、届けたいんだ。


 たくさんの人に、満開の笑顔を。いっぱいの幸せを。



 私一人にできることなんて、本当に地味で、ちょびっとのことなんだけど。


 それでも私は、届けたいんだ。



 だって、それが私の――夢なんだから。



  ※これは出さない手紙! 勝手に読んだら怒るよっ!!※

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