episode113 ハインゼルでの決戦
城壁を破壊したところで、全員で城に突撃して攻撃を仕掛ける。
「敵が攻めて来たぞ!」
「急いで迎撃しろ!」
だが、そうはさせないと言わんばかりに城から兵士がぞろぞろと出て来る。
「シオン!」
「うん!」
そこに俺とシオンは魔法弓で攻撃を仕掛ける。
「ぎゃーー!」
「ぐわーー!」
俺とシオンの放った火属性と闇属性の複合属性の矢は着弾点で爆発を引き起こして、兵士達を吹き飛ばした。
「アーミラ、実力者がどこにどのぐらいいるのかは分かるか?」
俺達には分からないが、アーミラなら分かる可能性があるので聞いてみる。
「会議室の辺りに集まってるね」
「分かった」
どうやら、会議室に集まっているようだ。
恐らく、襲撃を受けて会議をしていたのだろう。
何故、会議室の場所が分かっているのかと言うと、ザードから城の構造の関しての資料を入手していたからだ。
「それで、どうするんだ?」
「レジスタンス達はリメットの指揮の下で外の兵士を片付けてくれ」
「分かった。お前達はどうするんだ?」
「俺達は実力者達を片付けに行く。お前達は兵士を片付け終わったらそのまま外で待機して、敵を逃がさないようにしておいてくれ」
できるだけ逃がさないようにはするが、逃げられてしまう可能性はあるので、レジスタンス達にはバックアップに入ってもらうことにする。
「分かった。そっちは頼んだぞ」
「ああ。シオン、アーミラ、行くぞ」
「うん」
「分かったよ」
そして、俺とシオンとアーミラの三人で城に向かって駆け出す。
「そいつらを止めろ!」
だが、そんな俺達を止めようと、兵士がこちらに集まって来る。
「悪いがお前達の相手をするつもりは無い」
俺達の相手は実力者なので、雑魚の相手をするつもりは無い。手榴弾をその場に落としながら会議室の場所に向かって跳躍する。
「行かせるな……ぐわぁー!?」
兵士達は俺達のことを止めようとするが、俺が落とした手榴弾の爆発で吹き飛んだ。
そして、魔法弓で火属性と闇属性の複合属性の矢を放って城の壁を破壊して、そのまま城に突入した。
「さて、城に突入したは良いが……」
「誰もいないね」
会議室に突入したが、そこには誰もいなかった。
資料などは置かれたままになっているので、急いで出て行ったように見える。
「アーミラ、敵はどこか分かるか?」
「ホールの方にいるみたいだよ」
「そうか」
どうやら、敵はホールに向かったらしい。
「真っ直ぐ向かうぞ」
だが、わざわざ廊下を通って行く必要は無い。
ここで俺はホールの方に向けて魔法弓を構える。
そして、そのまま火属性の魔力を込めた一矢を放った。
すると、放った矢は壁や床を貫きながら真っ直ぐと飛んで行って、ホールまでの道を切り開いた。
「……行くぞ」
「だね」
「うん」
そして、切り開いた道を通って、一直線にホールへと向かった。
ホールに向かうと、そこには王族だと思われる者とその護衛だと思われる者がいた。
「おい、侵入者だぞ! さっさと片付けん……か!?」
「……流石に防がれるか」
ここで王族だと思われる男に向けて短剣を投擲したが、隣にいた騎士のような男に防がれてしまった。
「いきなり攻撃を仕掛けて来るとは……貴様は正々堂々という言葉を知らないのか?」
「戦場にルールなど無い。不意打ちだろうが何だろうが、勝てればそれで良い」
卑怯は敗者の戯言に過ぎない。戦場にルールは無いので、どんな手段を使おうが勝つことができればそれで良い。
「アーミラ、この中で一番強い奴はどいつだ?」
「あの騎士っぽい人かな」
どうやら、この中では先程俺の攻撃を防いだ男が一番強いようだ。
「ならば、そいつの相手は頼んでも良いか?」
「うん、良いよー。何ならアタシが全員の相手をしても良いけど?」
「そうか。ならば、俺達は敵を逃がさないように別の場所で動く」
本人が任せてくれても問題無いと言っているし、アーミラの戦闘能力であれば大丈夫だろう。
なので、この場は彼女に任せて俺達は他の場所に回ることにする。
「分かったよ」
そして、この場を彼女に任せて俺達は廊下に向かった。
「俺達を一人で相手するのか?」
「そだけど?」
「全く……舐められたものだな」
彼は軍の隊長を任されているぐらいなので、この国の中ではトップクラスの実力を持っている。
当然、こんな舐めた口を利くような者はいない。
「何事ですか!」
ここで騒ぎに気付いた兵士達がホールに入って来る。
「お前達は廊下に行った二人を相手しろ」
「隊長はどうするのですか?」
「俺はこいつを相手する」
そう言ってアーミラの方に視線を向ける。
「分かりました。お前達、行くぞ」
そして、兵士達は隊長の指示を受けて廊下の戻ろうとした。
「させないよ!」
だが、そう簡単に思い通りにはさせない。そこにアーミラが闇魔法で攻撃を仕掛ける。
「ぎゃーー!」
「ぐわーー!」
アーミラの放った闇魔法で兵士達が次々と吹き飛ばされていく。
「早く退け! そんなところにいたらやられるぞ!」
「は……はい!」
そして、兵士達はかなりの被害を出しつつも何とかホールから出て、エリュとシオンの二人を探しに行った。
「さて、こいつは俺に実力者二人を加えた計三人で相手する。他は全員で纏まって脱出してくれ」
「三人で相手するのですか? あんなガキ一人にそんなに戦力は必要無いでしょう」
しかし、それに対して部下は過剰戦力だと意見する。
「いや、恐らく奴はかなりの実力者だ。念のため三人で戦うぞ」
「分かりました」
そして、アーミラと戦闘する三人を残して、他の者は後ろの扉から出て行った。
「うーん……逃げちゃったかー……」
アーミラはそう言いながら端末を取り出す。
「エリュ、シオン、三人を残して後ろの扉からそっちに行ったよ」
そして、エリュに通話で連絡を取る。
「随分と呑気だな!」
だが、敵は当然その隙を見逃したりはしない。連絡をしているアーミラに向かって魔法を放つ。
「よっと……」
しかし、そんな単純な攻撃は通用しない。アーミラはそれを必要最低限の動きで躱す。
「……爆発音がしたが、大丈夫か?」
「何でも無いから大丈夫だよー」
「そうか。もう切るぞ」
「うん」
アーミラはそこで通信を切る。
「さて、それじゃあ始めよっか」
そして、連絡を終えたところで、敵と対峙した。
その頃、城の外ではレジスタンス達が奮闘していた。
「あたしが前に出る。お前達も続け!」
「「「はい!」」」
レジスタンス達はリメットを先頭にして攻撃を仕掛ける。
「レジスタンス如きに好きにさせるな! 押し込め!」
「「「はい!」」」
もちろん、軍の方も黙ってはいない。負けじと一斉に前衛を突撃させる。
「甘いな!」
「ぐわーー!」
「ぎゃーー!」
しかし、リメットの横薙ぎの一撃であっさりと吹き飛ばされてしまった。
前衛の陣形に穴が開いて、そこから一気に陣形が崩される。
「何をしている! すぐに陣形を立て直せ!」
「しかし、先頭にいる奴を止められません!」
軍の方も何とかリメットを止めようとしているが、この中には彼女を止められる者はいなかった。
「だったら、早く援軍を呼んで来い!」
「しかし、城内も侵入者を撃退するために動いているので、援軍は期待できません」
加えて、城内にはエリュ、シオン、アーミラの三人が侵入しているので、こちらに戦力を回す余裕は無い。
「侵入者と言ってもたった三人だろう! 何をしているんだ!」
「城内には重要人物もいますし、侵入者は実力者であることが予想されるので、そう簡単には手が離せないかと」
「チッ……お前ら、防御重視の陣形を組め! 援軍が来るまで耐えるぞ!」
「「「はい!」」」
今の戦力ではレジスタンス達を止められないと判断して、援軍が来るまで耐えることにした。
兵士達は指示を受けて陣形を組み直す。
「その程度じゃあたしは止められないぜ!」
だが、それでもリメットの勢いは止まらない。次々と兵士が薙ぎ倒されていく。
「何とかして耐えろ! ……ぐあぁーー!」
「チッ……耐えられそうに無いな」
このままだと全滅するのは誰の目から見ても明らかだった。
しかし、それが分かっていてもどうすることもできない。一方的に兵士達が倒されていく。
「……随分と苦戦しているみたいだねぇ」
だが、ここで一人の女が現れて、右手に持った大剣でリメットに斬り掛かった。
「っ!?」
リメットは何とかそれに反応して、その一撃をバックステップで躱す。
「……遅いぞ! 今まで何をやっていた?」
指揮をしている男がその女にそう尋ねる。
「しょうがないじゃないか。突然の出来事だったんだから」
だが、女は遅れたことに対して悪
「さて、こいつらを片付ければ良いんだね?」
「そうだ。早く奴を片付けろ!」
「奴ってのはあいつかい?」
女はリメットの方を見ながら指揮をしている男に尋ねる。
「そうだ。あいつを優先した片付けろ」
「確かに、他の奴と比べると強いみたいだねぇ。まああんたは弱いんだし、邪魔だから他のを相手してな」
「おい、この私が弱いだと? それは聞き捨てならんな」
「実際あんたは弱いじゃないか。どうせ今も後ろで指示を飛ばしてただけなんだろ?」
「…………」
男は反論したいところだったが、実際その通りだったので何も反論することができなかった。
「あんたはコネだけでその地位に就いた無能だからねぇ。まあここはあたしに任せて雑魚の相手をしてな」
そう言うと、女は興味は無いと言わんばかりに男の相手を止めて、リメットと対峙した。
「さて、始めようか?」
「……ああ」
そして、リメットと軍の女の戦闘が始まろうとしていた。
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