第3話 俺の夢のような話
なぜこんなにも現実は理不尽なのか。
スクールカースト最下位の主人公は、最上位の美少女ヒロインと出会い恋に落ちる。
陰キャ主人公にはリア充の親友と呼べる男友達がいる。
そんな物語のような話は現実にはない。
周りを見てみろ。
美少女はリア充の男子と付き合って、陰キャには同じく陰キャの友達がいる。
青春なんて陰キャには縁遠い話。
大富豪の革命みたいなことが起こらない限り有り得ない。
そう思っていたんだ。
なのに、現実はそんな甘くはないらしい。
*
どうしてこうなった。
頭を抱えながら唸る俺にやつは怪訝な顔をしながらも口を開く。
「カップルっていうのは、ほとんどはお互いを名前で呼ぶの。曲がりなりにも私たちはそのカップルなんだから、早く名前で呼びなさいよ!」
ほんと、どうしてこうなった。
陰キャが陽キャの美少女と付き合うなんて夢物語だと思っていたのに。
「なんでこんな俺にこんな美少女彼女ができるんだよ!」
いきなり大声を出したからか、彼女は眼を大きく開きこちらをにらんできた。
「い、いきなり美少女とか、大きな声出すんじゃないわよ。びっくりするじゃない!」
いきなりそんなこと言うと照れるし・・・、とかなんとかボソッと言っていたような気がするが気のせいだろう。
彼女が俺を好きなんて有り得ない。
だって俺たちは、ただこの青春という波に飲み込まれたドルオタ同士なのだから。
ドルオタの俺たちは青春ラブコメの波に飲み込まれようとしている 紫亜. @shiano-
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