第22話 罠透視の魔道具
「カイ、うちのパーティの盗賊から魔道具の作成依頼があるんだが・・・」
カイの店を訪れたグレコは、商談を開始しました。
「この間、ダンジョン探索に行ったんだが、宝箱の罠の解除に盗賊職の彼女がミスってしまってさ。爆発の罠だったんだが、結構な損害を受けて、早々に引き返すことになり、その日は商売上がったりだったんだ。それで、責任を感じて、罠の解除に役立つ魔道具を自腹で買うって言ってるんだ」
「罠の解除に役立つ魔法なら、第一に考えられるのは透視魔法だな。パーティに僧侶系の者がいれば使えるだろう?」
「いや、彼女が言うには、パーティの仲間の魔力を無駄遣いはさせたくないらしい。魔導具で解決したいそうだ」
「罠透視の魔法は意外と簡単なものだから、余計な装飾などをつけなければ、魔法石と刻印作業費用だけで、3万Gぐらいで済むが」
「それでいいと思うよ。俺も、ミスリル装備と鉄化の指輪のおかげで強くなったから、パーティの稼ぎも最近よくなっててさ。彼女も3万Gぐらいは支払えるだろう」
「待て、先日のアイスドラゴン退治のきっかけになった支払い滞納の例もある。その盗賊の女に直接会って、前金が払えるか、私が問いただす」
「そんなに心配しなくても、最悪、俺が保障するって」
「だめだ。パーティ・メンバーの絆がどんなものかは知らんが、私の商売上のミスでグレコに金を出させるわけにはいかない」
今日のカイは、妙に食い下がります。
「ちなみに、パーティ・メンバーに女はその盗賊だけか?」
「ああ、そうだけど、それがどうかしたか?」
「いや、ならいい。とにかく、購入希望者と面談だ!」
週末、グレコは、盗賊の女性を連れて、カイの店にやってきました。
「紹介するよ。うちのパーティの盗賊で、名前はラシャ」
「ラシャです。グレコの幼馴染のカイさんですよね。よろしくお願いします」
ラシャは、赤毛が魅力的でスレンダーな女性で、盗賊という職業柄身軽な格好をしており、ショートパンツに胸を覆う革鎧、おへそがちらりとシャツの下から見えています。太ももにはショートダガーを吊るしていますが、全般的に露出の多い格好でした。
「まず聞きたい。パーティメンバーは、お互いを呼び捨てにするものなのか?」
「えっ、それぞれだと思うけど、グレコとは自然に呼び捨てになってたかしら? 魔法使いでリーダーのベリアルのことは、グレコは今でもさん付けで読んでいるけど。僧侶のザザは呼び捨てだね。あ、私は全員呼び捨てだぁ」
「ほほう・・・自然にねぇ・・・」
「カイ! あのな! 別におかしくないって!」
「淑女の名前を呼び捨てとは、立派なパラディン様でいらっしゃること・・・まさかラシャさんを守るために嫌われ者の指輪を使ってないでしょうね」
「いや、前衛二人で、片方盗賊なら、戦士の俺が囮になるだろ。パーティの役割分担なんだよ、あくまで」
今日のカイのテンションはちょっと変です。
「カイ、それ魔道具購入の打ち合わせと関係あるのか!?」
後半に続く!
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