第2話 恋人繋ぎ
私は帰路に就いた。しかし相変わらず、さっきのことが頭から離れない。
(でも…やっぱり、あそこまでいちゃいちゃするのは…っ)
先程までノートの中で揉まれていた自らの分身の胸を思い、感覚を取り戻そうと揉んでみる。こそばゆくて、これ以上はいけない気分になって手が止まる。
(こんなこと…し合ってたの…?)
結局、その日は陽菜ちゃんのことしか考えずに寝てしまった。
「おはよっ、花純〜」
翌朝、いつも通りの陽菜ちゃんが目の前に現れる。
「あ、うぁ、おはようっ」
装いきれない平静を勢いで押し隠す。
「でさぁっ、昨日おかーさんがさぁー」
いつも通り間伸びした喋り方で喋る陽菜ちゃん。
長い前髪を耳にかける仕草もいつも通り。
なんにも気づいてないんだろうな。
私の心に、好奇心が芽生える。
「へぇー、そんなことあったんだ」
私は陽菜ちゃんに相槌を打つや否や、陽菜ちゃんの腕に自分の腕を巻きつけ、指を絡めた。恋人繋ぎだ。
「…ぇ?」
陽菜ちゃんはまず手の先の感覚にたじろいだようで手をモゴモゴやっていたが、やがて私と恋人繋ぎしていることに気づき、
「ぁ、ぇ…ぇう?」
陽菜ちゃんの口から素っ頓狂で曖昧な声が漏れる。
「ぅ、ふぇ?」
慌てて手を振り解く陽菜ちゃん。顔は真っ赤に染まっている。可愛い顔。
「どしたの?」
私が問いかけると、
「ぁ、これっ、…恋人繋ぎ…」
またも曖昧な喋り方をする。
私を、…意識してる?
私はあえて堂々と話すことにした、
「そう、…恋人繋ぎ。ごめん、…なんか、恥ずかしい?」
陽菜ちゃんは顔を赤くしたまま、潤んだ瞳を私から背け、
「ぅ、ううん!ごめん、…ね。…その…、…急に…されて……っ、びっくりしただけだから…」
可愛い。
すごく可愛い。
また、そんなことを考えてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます