第7話
朝起きると、世界で一番愛しい、ユウさまのお顔が目に入りました。
小さく寝息を立てているユウ様が妙に愛おしくて、ついつい抱きしめてキスをしてしまいました。
くんくんと匂いを嗅ぐと……あはっ、ユウ様の匂いがします。
この匂い大好きです。ずぅっと嗅いでいたい。なんていい匂いでしょう。世界にこんなに素晴らしい匂いがあるだなんて。
ああ、信じられません。
好き……
好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
おっと。いけません。いつまでもこうはしていられません。
ユウ様がお目覚めになる前に、洗濯をして、朝食の準備をしなくては。
名残惜しいですが、そろそろ起きなくてはいけません。
私はもう一度ユウ様にキスをして、
万が一にも起こしたりしないよう、そっとベッドから降りました……
ナイトウェアから、ホテルで誂えたエプロンドレスに着替えます。
……うーん。これ、どうなのでしょうか?
鏡に映った自分を見て、首を傾げてしまいました。
私が作ったエプロンドレス、ユウ様は褒めて下さいました。
似合ってるって……ふふっ、奇麗だよなんて……もう、ユウ様ったら。
でも……
スカート、もう少し短くすべきでしょうか?
ユウ様はよく私の足をご覧になっていますから、恐らく生足がお好きなのでしょう。
ホテルでご奉仕した際も、キャットガーターに興味を持ってくださいましたし。
そうです、あとでユウ様にお訊きしてみましょう。もっともっと、ユウ様のお好みに合わせたいですし。
さて、まずは洗濯からです。
ユウ様のお洋服を奇麗にしなくては。しかし……
このお洋服、どうもユウ様にはお似合いでない気がします。
いいえ、ユウ様は素晴らしいお方。きっと何を着てもお似合いになるでしょう。
しかし、ユウ様には、もっともっとお似合いになる服がきっとあります。このお洋服では、ユウ様の魅力を十二分に引き出せていません。なんともったいない……
そうです! 後でお買い物に行って、私がユウ様のお洋服をコーディネートしましょう!
ユウ様のお洋服……
手に持ったそれを、思わずまじまじと見つめてしまいます。
顔に押し付けて、大きく息を吸うと、ユウ様の匂いが私の中いっぱいに広がっていきました。
ユウ様と、汗の匂い……
何でしょう……まるで夢見心地。素敵。
そうです。新しいお洋服を買うのなら、もうこちらは必要ありませんよね。それなら私が頂いても何も問題はありません。
そうですっ! それなら洗濯する必要もないじゃありませんか! そんなことをしたらユウ様の匂いがなくなってしまいます!
返してくれと言われないよう、訊かれたら〝燃やした〟と言うことにしておきましょう。
そうと決まれば、洗濯は中止しましょう。早く朝食を作らなくては。
ホテルで料理を作って分かったことですが、ユウ様は卵料理がお好きなようです。
味付けは甘口。
なので今日も卵を焼きましょう。後はパンと、ハムも焼いて……
ユウさまに喜んでいただけるでしょうか? いいえ、きっとあの方は喜んでくださいます。
だって、ユウ様は私の運命の方なのですから……
食事の準備が整いましたから、そろそろユウ様をお呼びしなくてはいけません。
ユウ様は朝が弱いようで、朝はあまり返事をしてくださいません。
食事を済ませるころに、ようやくいつもの調子になられるのです。
ユウ様に料理を褒めていただき、後片付けも済ませた後のこと、
「ユウ様。このスカート、如何でしょうか? 丈はお好みに合っていますか? もっと詰めた方がいいでしょうか?」
「えっ?」
ユウ様は予想外な話を聞かされたようにキョトンとされ、けれどすぐに私の足をジッと見てきました。
「そうだな――」
やっぱり、ユウ様は足がお好きなのですね。
今までもよく私の足をご覧になっている気がしましたが、アレは私の勘違いではなかったようです。
「――もう少し短い方が好みだな。エマは足長くて奇麗だから、きっと似合うと思うんだ」
素敵な言葉に、自然と顔が綻んでしまいます。
ユウ様はいつも、どんな時でも、私がかけてほしい言葉をかけて下さいます。
だから私は、もっともっと貴方を好きになってしまいます。ふふっ。
食事を終えたユウ様は、何か物思いに耽っておられます。
ああ、なんて素敵な人なんでしょう。
素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵素敵好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き
ああ、一体どうしたら私のこの気持ちを伝えられるでしょう。
いいえ、私はユウ様にお仕えする身! もっともっとご奉仕すれば、ほんの少しくらいはお伝えすることができるかもしれません。
「分かりました。それではもう五センチ丈を詰めて、同じサイズの服を何着かご用意します」
まずはユウ様のお好みに合わせなくては。
お洋服だけでなく、体系も髪型も。
そうすれば、ユウ様はもっともっと私を愛してくださるはず。
私がかけてほしい言葉をかけて下さる素敵な貴方……
きっと私は、もっともっと貴方を愛します。
昨日よりもっと、今日よりもっと、貴方を愛します。
貴方のお好みに合わせます。私が差しだせる全て貴方に差し出します。
だから、私をお傍に置いて下さい。私の傍にいて下さい。
貴方が私を必要として下さる限り、私は貴方のモノです。
貴方を苦しめる、全てのモノからお守りします。
だから、大丈夫です。
何も心配はいりませんからね……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます