第2話

 追い詰められた。


 普通は、上から撃ち降ろすほうが有利。


 でも。


 迫ってきているのは彼女だった。わけのわからない執着で、こちらを猛追してきている。


 死んだかな。これは、さすがに助からないかも。


 バスターミナル。中央の吹き抜けを軸に、各方位にエスカレーター。南側だけ階段になっていて、中二階の出口にも階段がある。


 逃げるなら、どこからだろうか。


 吹き抜けを飛び降りて、そのまま階段から中二階に抜けて。いやだめだな。吹き抜けを飛び降りる姿を見られなくても、着地の音で位置がばれてしまう。


 周り。誰もいない。


 きっと。


 彼女だけが。


 自分を追いかけてきている。


 これは、さすがに。死んだな俺。


 いい人生だった。

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