エミリア・ローマが現れた!



「———クシュン!」


「———あら?どうしたの風邪?」


「———いいや、誰かが俺の噂をしている気がする」


「———はぁ‥‥‥貴方の噂をする人は何万人いると思っているのよ。心配して損したわ」



などとファシーノに飽きられてしまった。だが、絶対に誰かが俺の噂をしているに違いない!




「———おーい!次はレオンの番だぞ!」



とレオナルドに呼ばれたのでそちらに向かおう



「———ああ、今いく!」




と俺の番が来たわけだが、今何をしているのか教えよう。



———俺たちは魔法の試験中だ。数十m離れた的に初級魔法以上の威力で命中させる。順番制でウルティア先生が点数を付けていくのだが、Aクラスは非常に優秀なクラスなので全員が合格の満点。まず、Aクラス事態がエリートクラスである事を忘れてはならない!

10,000人在籍する1年生の中で数十人しかAクラスにいないのだ!とても優秀でいて且つお金持ちが多い!忘れてはならないぞ!



「———では、レオン君どうぞ〜!」


「はい! 初級魔法 氷矢 ギアフレッチャ!」


その魔法を唱えた瞬間、俺の右腕に小さな魔法陣が展開されて的目掛けて狙いを定める。


そして、魔法陣が輝き「シュン!」と音をたてて真っ直ぐ的に向かって飛んでいった。


俺は内心ガッツポーズを取りそのまま的に刺さるまたは、破壊されるだろうと思い油断していた。そう‥‥‥油断していた、、、









——————ゴトっ!———————ボテ‥‥‥‥‥‥‥‥










「なっなんでだっ!?なぜ、そうなってしまう!」



「—————あらあらぁ〜前よりは飛距離が伸びましたけど‥‥‥‥威力が、これでは魔獣すら討伐できませんねレオン君。ここは頑張りに免じて補習で勘弁しましょう!」



「うっうそだ‥‥‥」



あろう事か俺の魔法は的に刺さらずして、地面に落ちてしまった。狙いも飛距離も完璧だったのに‥‥‥‥威力がまるっきり無し。


これを見ていたAクラスのみんなは‥‥‥‥





「今回は行けたと思ったのに‥‥‥‥ドンマイ!」


「努力は必ずいつか身につくさ!がんばれ!」


「ウルティア先生と2人っきりだぞ?変わってやりたいがこればっかりわな〜元気出せよ兄弟」




と俺を慰めてくれる優しいAクラスの皆さん。とても心が救われています。



「それにレオンがいたから私達はあそこまで行けた!最後は色々と事件があったけど‥‥‥楽しかったよ私達は!だから、これくらいでへこたれてんじゃねーよ!」



とへこたれている俺のそばでトラ族のロゼが慰めて?くれた。褐色の肌と紫色の髪と筋肉質な肉体。正服を着崩していかにも喧嘩大好きみたいな風貌だが、とても良い子だ。


対抗戦以来とても仲良くなった女子の1人である。なんだか喧嘩っ早いエルディートみたいだな


「ロ、ロゼ‥‥‥お前いい奴だな!ああ、ありがとう」


「お前がトイレに行っている間こっちは色々と大変だったけどな!ハッハッハッハ!!」


「そ、それには色々と訳があって‥‥‥‥」



そう、凡そ1週間前の対抗戦で1年Sクラスとの試合前に俺は突如姿を消した。

みんなはお腹を壊してトイレに行っていたと話が回っているが、本当は月下香と名乗る偽物集団に攫われていた。


この事実を知るのはAクラスにはいない。強いて言えばファシーノとガイくらいだろうか


かれこれ1週間は経つが未だに俺はネタにされている。もちろん会場が襲撃された事も知っている。なんせ彼らは襲撃者を撃退したのだから‥‥‥‥



「いや〜まさか対抗戦が襲撃されるなんて思いもしなかったな。生憎Aクラスは全員無事だったけど‥‥‥私らは特待生との戦闘でダウンしていたから肩身が狭いぜ!」



とロゼは俺の肩をバシバシと叩きながら面白おかしく話す。あの襲撃を笑しながら話すのなんてこのロゼくらいだな



「それよりもファシーノの魔法はすごかったな!!襲撃者を一瞬で氷漬けにしちまうし、あと凄く怖かったし!獣の本能がビシビシと反応して鳥肌が止まらなかったぜ!なあファシーノ?!」



そういうロゼの声量はとても大きく、丁度試験を受けているファシーノがこちらに振り返る。しかし、右手は的に狙いを定めていて魔法陣が展開されていた。


そんなファシーノの光り輝く魔法は凄まじい勢いで放出され的に命中した。だが、それだけではなかった‥‥‥







————————ズドドドドドドッ!!!!!







と的を貫通し、その奥の壁を突破しては外の木々を薙ぎ倒していった

これを見ていたクラスメイト達は半ば引き気味で「マジかよ‥‥‥」と顔を引きつかせる



「———あらあら〜魔障壁を突破するなんて‥‥‥壁の修復をしないとですね。うん、ファシーノさんは合格です」




「ありがとうございます」




いや、ウルティア先生‥‥‥ニコニコ笑顔で言うのはいんだけど壁が‥‥‥‥

魔障壁を突破していった事を気にもしていない。


そんな先生の前をファシーノはお礼をして、俺とロゼの所まで歩いてくる。

先程のロゼとの会話を聞きつけてきたに違いなく、その表情はとても涼しげで自信に満ち溢れていた。



「殺されるか殺すかの二択なら前者を選ぶのは当然でしょう。それともロゼは私のことが怖いのかしら?」




「———そっそそそん“にゃ”ことはない!ファシーノはいつも優しくてお姉さんみたいでとてもかっこいいです!」



「ふふ、ありがとうロゼ。そんな可愛いロゼにはパンテーラ商会のスイーツでも買ってくるわ」



「わっわわわ!スイーツ?!ファシーノ大好き!」




と言ってロゼはファシーノに勢いよく抱きつく。喧嘩早くて制服を着崩しているあのロゼがファシーノには頭が上がらない様子。頭をよしよしと撫でて気持ちよさそうに項垂れているロゼを見ていると、まるで主従関係だ。



そんな気持ちよさそうにしているロゼを見ていると俺も撫でたくなってきた。

恐る恐る、ゆっくりと近づいてファシーノの撫でている腕とタイミングよくすり替える。




「———グルルルゥゥ‥‥‥‥」



ととても気持ちよくしているロゼ。ふさふさの虎耳がピクピクと動いて尻尾がダランと下がる。



「これは‥‥‥‥クセになりそうだな」



そう言って頭を撫でていた腕を今度はロゼの顎下に移動しようと試みた。ファシーノのには目線で「やめて置いた方がいいわ」と忠告されたが、俺は強行突破をすることにした。



ゆっくりとゆっくりとロゼの顎下に手を回し‥‥‥‥そして、、、、、







「———ふにゃっ!?」






とロゼから出てきた声とは思わない程の可愛い声が飛び出した。

ファシーノから勢いよく俺にダイブしてその赤面し、潤んだ瞳の上目遣いで睨んでくるロゼ。そんなロゼを見てなんだかくるものがある‥‥‥‥




「レオンお前ぇ〜!!!」




こうして赤面中のロゼだが、現状を整理し客観的に捉えるならば俺に抱き着いている。絞め殺す勢いだが、周りから見れば俺を押し倒して見えるだろう。




そうして今度は色々と面倒ごとが起こるのは避けられない、、、




「レオンっ‥‥‥!お前ってやつは!!今度はロゼさんに手を出すのか?!ファシーノさんがいながら!!」


「喧嘩早くて不良でいてとても男勝りで、だけどそこにとても惹かれる魅力と着崩したエロさがあるロゼさんを!!」


「褐色の肌と引き締まったボディライン!出るとこは出ているまさに獣級!なのに俺たち男と親近感を漂わせるロゼさんを!!レオン!お前は男の敵だ!!」



と殺気をダダ漏れで近づいてくる男達。ロゼはとても男子陣からの人気が高く、とても親しみやすいと‥‥‥確かに男勝りで喧嘩口調のロゼは人気なのも頷ける。


それに確かにこの着崩した制服はエロさを醸し出している。危険だ‥‥‥これは本当に危険な匂いがする



「レオン‥‥‥お前は何人の女性を辱めるつもりだっ!?」



「いやレオナルドこれには深い訳がな‥‥‥‥」



「お前は男の敵だ!死んで詫びろ!!」



試験を終えたレオナルドも参戦して、それはもうすごい構図だ。俺対Aクラスの男集団みたいな正気ではない構成。ジリジリと近寄ってきては口からは白い蒸気みたいなのを出している。


それでいて、俺の上で未だ抱き着いている彼女はいつになったら離れてくれるのだろうか?





「おい、ロゼ‥‥‥‥悪かった。そろそろ離れてくれないか?」



「‥‥‥‥」



「あの、ロゼさん。離れてくれませんか?」



「‥‥‥‥触られた」



「ごめんなさい、許してくださいロゼさん」



「‥‥‥‥」




なんだろう‥‥‥‥雰囲気が最悪な方向に進もうとしている。あのロゼの潤んだ瞳が俺と目を合わせようとしない。モジモジと何やらいいたそうだが、ロゼのキャラ的にその反応はギャップがあってやばい



「こ、ここは心を許した者にしか触れさせてはいけない‥‥‥‥これは獣族の定め‥‥‥だから‥‥‥」



と、頬を赤く染めて言うロゼ。喧嘩早く不良気味なロゼがこんな反応と素振りを見せれば、普通の男は正気を保てないでいよう。俺だからこうして正気と精神を沈ませている。


ファシーノが見ている手前下手に動けば男達よりも彼女に殺されるだろう‥‥‥






誰か‥‥‥‥誰か‥‥‥‥どうか助けてください‥‥‥‥







俺は心の中で祈り、体にのしかかるロゼの重さと甘い匂いを全身で味わっていた。


可愛い女子に押し倒されて死ぬのなら本望‥‥‥‥




そう思った時、突然に救いの手が差し伸べられた







「———あなたが“レオン・ジャルディーノ君”?」






と俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。その声の方へと視線を移動すると、見たことあるようで見たことない女性がこちらへと歩いてくる。



「まっまさかあの人って‥‥‥!?」


「ええ、間違いないわ!人族国の!」



と周囲のクラスメイト達が騒めき出す。そんな騒がれている女性はロングの黒髪を巻いて、透き通るほどの白い肌と‥‥‥‥ダイナマイトボディを持つ綺麗な人。




「それで‥‥‥貴方がレオン君でいいのかしら?お邪魔だったらごめんなさい」



「わ、私はロゼと言います!お見苦しいところをお見せしました!」



「お邪魔などでは!自分はレオン・ジャルディーノです!それで‥‥‥‥貴方は?」



と失礼ながら質問したところレオナルドに頭をパーンと叩かれてしまいお説教を食らう



「レオン!このお方を誰だと思っている?!人族軍の軍団長にして、最強の美貌を持つSSランクの“エミリア・ローマ様”だぞ!?」


「エ、エミリア・ローマ‥‥‥?」



「はい。エミリア・ローマです。よろしくお願いしますね」



と天使のような笑顔で微笑んでくれたエミリア様。

そこにすかさずレオナルドは低姿勢で質問をする


「と、ところでエミリア様どうしてこのレオンを‥‥‥?」



と聞いたレオナルドに対してエミリア様は微笑しながら話してくれた。



「ふふふ、今日からこちらの同盟軍本部にて駐在することになりました。そして本日付で学園の教師も務めさせていただく事になり‥‥‥そのご挨拶をかねて見学をしていました」








「「「「‥‥‥‥‥‥‥えええぇぇぇええ!!!!!」」」」




とAクラス全員が度肝を抜かれ、口をパクパクしている。まるで金魚のようだぞ?



「ふふふ、皆さんに伝えるのを忘れていました〜」



と最後にウルティア先生が告白した事により、クラスメイト達は膝から崩れ落ちて項垂れてしまったのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る