王の帰還
「———報告!現在、学園都市にて複数の強大な魔力の出現を確認!」
「———一つは森林演習場!そしてもう一つは‥‥‥ち、地下道!?それも湖底監獄の近く!」
「———負傷者大多数!医療施設及び、医療部隊が圧迫しています!負傷者が多すぎます!」
「———こ、これは!?会場の闘技台から謎の魔力を確認!」
「———パエーゼ総司令の魔力ではない?!だったら一体!?」
「———闘技台の上で二つの強大な魔力が衝突!?」
と、司令室兼監視室では様々な報告が上がる。大規模な襲撃により、軍並びに一般人の負傷者が後を経たず医療が追いつかない現状。
負傷者を運ぶだけでその場の戦力が大幅に削られ、後退を強いられる。
そして、複数のモニターに映し出される格戦場の状況は残酷そのものだった。
「———なんて酷い‥‥‥これが月下香の仕業ですか」
人族の王ビアンカ王女は戦況をその目で見て心を痛め、憐れむ。
そして、月下香に対しての見解を改めて認識する
「———世界の大罪人にして、絶対的な悪。一般人までも巻き込み、その残酷極まる武力、戦略、知見は罪の現れ。決して許してはなりませんっ」
そして、ビアンカ王女の瞳はある1人の人物に注がれる。
それはモニターに映し出されている人族最強の女
パエーゼ・プレチーゾ
彼女の背中を眺めながら、ビアンカ王女は絶対的な信頼で勝ちを願った
◊◊◊
————そして場面は会場の闘技台に立つ2人に変わり、これまでの2人の戦闘は軍人達に度肝を抜かせた。被害を出さないために、パエーゼ総司令は敢えて魔力を制御して戦っていた。
彼女が本気を出せば被害は会場だけでは済まず、学園都市の半壊を招く。その事を考慮して最低限の力だけで、族の頭と戦闘を繰り広げた。
それでも2人の戦闘は物凄く強大で会場の魔障壁が持ち堪えられず、壁や大地に亀裂が入る。衝突の衝撃波、一振り一振りの剣圧だけで会場が壊れていく様は、疲弊した軍人達の目に希望と絶対的な強さへの信頼が宿る。
しかし、ここで恐れる事態が起こるのだった—————
「———人族最強の力。やはり侮れんな」
「———ふん、貴様のような族と付き合っている暇はない。これ以上は無意味だ、さっさと降参したらどうだ?」
「———いいや、それでは面白くない。まだ、力を出していないからな」
「———何を戯言ほざくかと思えば聞いていられんな!」
———そして私は男に向かって剣を振るった。宙を斬る一太刀は男の胸目掛けて、空気を斬り裂きながら進む。
「———ふん、こんなものか」
勝利を確信し、剣を納めようとした瞬間‥‥‥‥
「———っ!?なっなに!何故魔力が“見える”!?」
そう、男に放った私の斬撃は“魔力”によって防がれ、魔力の暴風が会場を襲う、、、
「———ふふふ、フハハははは!!!これが真の力だ!
「———ばっ馬鹿な!?
「———フハハハハ!だったら何だと言うのだ!?怖気付いたか?!」
————怖気付くだと?この私がか?
どれほどこの時を待ち侘びたか
2年前の世界を巻き込んだ大戦以来だ
今でもこの両目の奥に映し出されている‥‥‥
魅せられたあの魔法
魔力の迸る輝き
2年の歳月を経て、私は貴様を超えて
———更なる領域へと踏み込む
「———覚悟しろ虚無の統括者。2年前の続きを始めよう」
「———やはり魔力を解放するか!そうこなくては面白くない!」
そして二つの荒れ狂う魔力の嵐。黒と緑が織りなす魔力の壁は天までも登り、空の雲に穴を開ける。
「———なっ何と言うことだ!?あの族も
「———まっまさかあの黒い魔力は虚無の統括者だと!?」
「———2年前の大戦で厄災の魔獣を一振りで倒したというあの!?」
「———こんな事をして一体何を企てているのだ月下香!」
「———虚無の統括者だろうと、厄災を倒そうと、私達の
「———ああ!そうさ!正義が悪に負けるはずがない!」
そして2人の魔力が衝突し、互いに剣を向かい合わせ、、、
「———いざっ!」
と、パエーゼ総司令が地を蹴ったその刹那
「「「—————!?」」」
会場にいる全員、そして監視室兼司令室、森林演習場にいる学生並びに教員の全てがある方角を向く。
それはパエーゼ総司令と虚無の統括者と呼ばれる男の魔力ではない、また別の魔力の存在
「———こっこの魔力は!?」
そして監視室兼司令室の間で混乱が生じる。総司令と戦っているのは虚無の統括者のはずと、なのにどうして全く同じ色の魔力が明後日の方角からと、、、
ビアンカ王女、そして大神官アメリですらその魔力の強大さに怖気付く
ヒリヒリと伝わる魔力の波が肌をなぞり、モニターを狂わせる
「———なっなに?!これ‥‥‥!」
「———一体何が起こっているの?!」
混乱し、情報が錯乱する司令室。誰もが冷静をかいているなか、ただ1人だけがその情報を知るのだった
「———ようやく戻られた。我らの王が」
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