対抗戦 学園序列NO1生徒会長の魔法
「———さあ!お次は第8試合!我ら学園の最強集団である3年Sクラス対2年Bクラスが幕を開けるぞおおお!!!」
「「「———うおおぉぉおおおお!!!」」」
———会場が熱気に包まれ、盛大な歓声が響き渡る。その矛先は全て、ある人物に注がれていた‥‥‥
「———唯一のシードである3年Sクラス!そして学園最強の称号、序列1位の席に座るこの男!!」
———司会者が空にあるモニターへと手を掲げては熱を煽るように語り出し、そして全観客と学生が空へと視線を釘付けにする“彼の素顔”‥‥‥
それはとても美しく、まるで人形のように白い肌と、白い髪を持ち、そして透き通る程の紅い瞳を宿らせていた‥‥‥
「———この学園の“生徒会長”!!そして全ての女性を虜にする白き王子!!
“ダンテ=スターク”生徒会長だああぁぁあ!!!!」
「キャアー!!!ダンテ様〜!!!」
「私の生徒会長っ〜!!!」
「身も心も愛しております〜!!」
———と特に女性からの人気が頗る高いダンテ生徒会長。大人も子供も女性少女関係なく、心を掻っ攫う美男。白い肌と白い髪はまるで白馬の王子様を思わせるのに充分。
いいや、白き騎士の方がしっくりくるな‥‥‥
「———彼が生徒会長らしいな。この学園に入学して半年‥‥‥初めて見たぞ」
「———ええ、そうね。しかし‥‥‥彼とても上品で整っているわね?誰かさんとは真逆で眩しいくらいだわ」
なんて話をしているファシーノと俺は初戦が終わってから観客達のいる会場に足を運んでいた。まあ、次の試合まで時間があるので暇を持てあわしていると言った方がいいだろう
それよりも、モニターに映るダンテ生徒会長の実力はどれ程のものか‥‥‥2年Bクラス相手に本気は出す必要がないことは明らか。力の一片でも見れたなら良い方だろう
それにダンテ生徒会長と同じ3年Sクラスの5人。彼らも相当の実力者だとモニター越しでも見受けられる。面構えと目付きがまるで別格だ‥‥‥彼らの見通す先は勝つか負けるかの戦場そのもののよう‥‥‥
「———さあ!選手の準備も整ったようですので〜!第七試合開始だぁぁぁああ!!!」
◊◊◊
「———ああ、開始したようだね。どうしようか“ハリベリ”?」
「———そうですわね。ダンテ様のお好きなようにどうぞ」
「———ははは。そうかい?なら、この僕自ら赴くとしよう‥‥‥」
そう言って徐に腰を上げるダンテ。彼はその白い肌と白い髪を靡かせて、懐にある二つの物を手に取りながらこう呟く‥‥‥
「———少し気になる“新入生が数名”いるからね。僕の力を少し見てもらおうかな?」
「———全く‥‥‥生徒会長の思うままに」
「———うん、ありがとうハリベリ。それに他の3人もごめんね?」
「「「いいえ、お気になさらずダンテ様」」」
他の3人は一糸乱れぬ仕草で話し、ダンテに向かってその額を下へと向ける。
まるで忠誠を誓う家来かのように、礼儀が染み込んでいた‥‥‥
そして生徒会長であるダンテは敵の向かってくる方角へと歩いていき、懐から取り出したある物を持ち上げて、狙いを定める。
その形状は刀剣とはまるで違い、刃のない武器。大昔から存在し、魔法の発展とともに徐々に失われていった“魔法の武器”‥‥‥トリガーと呼ばれる引き金を引くことで圧縮された魔法を放つその武器をこう呼んでいた‥‥‥
———銃と
ダンテ生徒会長の持つ“銃”は古代から伝わり、現在でも形の変わらない代物。一般でも使用されるその銃は、魔力の少ない者が扱う代物。それが学園の最強でもある生徒会長の愛用だとは、新入生は今まで気づくはずも無く、会場にいる新入生達は大いに驚き、疑問を隠せずにいた‥‥‥
「———なぜ、最強の学園生徒会長が銃を‥‥‥?」
ある1人の新入生が口にしたその言葉。誰もがそう思ったに違いない言葉。
だが、2年、3年は知っている‥‥‥
彼の本当の姿と、本当の化け物という存在を‥‥‥
その“白銀の銃”は生徒会長用に改造された紛いもなき最強の銃
生徒会長が生徒会長に至ったことを物語るのに充分な魔法
それは‥‥‥‥
「———僕は君達に興味ないんだ。今は“彼ら”の方に興味があってね。ごめんね、名も知らない2年生」
そしてダンテはその白銀の二丁の銃の片方を構えてトリガーに指を掛けた
銃先に圧縮された魔力が集約し、バリバリと雷の音を轟かせて稲妻が怒る
そして凝縮、圧縮された魔力は小さな石ほどの大きさになり、遂に限界を迎える‥‥‥
それはこの広い空に轟く大きく、甲高い音‥‥‥
「————
————カチッ‥‥‥
————ドォォォォオオオンッ!!!!
◊◊◊
———目の前が光った‥‥‥間を置かずにこの世界が二つに引き剥がされるような死の音。悲劇的なまでの痛烈な落雷の地響きがこの会場にまで襲う
新入生達は耳を塞ぎ、耳鳴りが鳴り響く。そして2年、3年はただ、黙ってその光景を目撃していた。空に浮かぶモニター‥‥‥
そこに映し出されている白き騎士の姿と、魔法を放った惨状である大地が捲られた悲惨な光景を‥‥‥ただ見ていた
あそこに自分達がいなくて良かったと、そして讃える
逃げも隠れもしなかった彼ら”2年Bクラス”の勇姿を‥‥‥
たった一撃で戦闘不能‥‥‥戦線離脱させた魔法は新入生の胸に、瞳に刻み込まれた
それはここにいるレオン達の瞳にもしっかりとその存在を認識させたのだった‥‥‥
———初めて見る生徒会長‥‥‥そして古い武器の象徴である銃‥‥‥
だが、奴の持っていた二丁の銃は白銀そのもの
彼だけの為の彼だけの魔法との融合
流石にこれは‥‥‥油断できはしないっ
「———なあ、ファシーノ。あの人に勝てるか?」
「———そうね‥‥‥人目のあるこの場所ではまず無理でしょうね‥‥‥本来の力を解放させれば立場は変わるでしょうけど、化け物だわ」
あのクールなファシーノでさえ、驚いている程にダンテ生徒会長の魔法は度肝を抜かれた
あれをまともに喰らえば、まず生きてはいないだろう‥‥‥今回は特殊な魔障壁のおかげで死ぬ事はないが、それにしてももし魔障壁が耐えられなかったらどうしていたのだろう?
いいや、違う。この魔障壁は彼の為の物か‥‥‥
「流石は世界最高峰の学園で生徒会長を務めているだけはある。正真正銘の化け物だ」
◊◊◊
————そして場面は生徒会NO5のレベッカと月下高NO6のミネルバに移る
「———流石は生徒会長‥‥‥まさに化け物だ」
レベッカは奥歯を噛み締め、空に移るダンテへと睨みを効かせる。その黒い尻尾がピンと空へと伸びて、獣族としての勘が騒ぎ立てていた
そして隣に立つミネルバも同じく、彼の魔法について見解を評価する‥‥‥
「———なんて高密度な魔力‥‥‥それをあのような形で放出するとは‥‥‥」
ミネルバは内心この学園を舐めていた。所詮学生の枠で争う、喧嘩紛いのことと
だが、彼の魔法を見てその態度を改める
「まさか、これほどの人物がいたなど‥‥‥我らの標的外がいたとは‥‥‥」
レベッカに聞こえぬよう小声で1人呟くミネルバ。モニターに映る白き騎士を見ては、まさに月下香とは真逆の存在だと、そしてもし、月下香の主であるネロではなく、彼だったならまた違った組織なのかと思うほどに、魅了される姿、そして魔法
だが、それも一瞬の出来事。ミネルバの心は等に決まっており、覆される事のない事実
どれ程光り輝き、魅了されるような人物が現れようと決して屈さず、主に忠誠を誓った心は生き続ける
ダンテというネロと真逆の存在が現れようと、ミネルバの心はネロと五華にある‥‥‥
「———対になる存在。我らの望む世界の弊害。我らがネロ様の敵と認識しましょう」
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