第19話 漫画研究部?(豊島曰く、変態部)

小倉は変態である。

ついでにもって言うなら豊島も変態だ。

そして義妹の結も変態だ。


どうしたものか。

困った変態だらけだ.....。

お互いに合わないし、だ。


「屑やらクソガキやらって言う人は嫌いです」


「そんな汚い言葉は言った覚えは無いよ?私。罪を着せる人は嫌いだな」


「は、ハァ!?さっき言いましたよね!?」


その様に話しながら。

俺の教室で言い争う美少女二人.....いや。

勘弁してくれよ。

嘘吐きやら悪口やらの選手権じゃねーぞ。


何やってんだよコイツら?

俺は思いながら眉を顰める。

和樹は能天気に、美女だなぁ、と言っている。

コイツという奴は.....。

俺は額に手を添えながら小倉の席で言い争う二人にツッコミを入れる。


「オイいい加減にしろ」


「「貴方(アンタ)は黙って」」


「は、はい。すいません」


え?これ俺が悪いの?

と思いながら退散していると。

昼休みの為か結がやって来てからそのまま目を丸くした。

そして、何やっているの?、と俺に聞く。

半分はお前のせいだけどな。


「.....見て分かるかも知れないが二人は言い争っているな」


「いや、そんなのは見れば分かるわよ。何で言い争っているのよ」


「ま、マスター!この女が暴言吐いてます!!!!!」


マスター言うな!.....ってこの女って.....小倉先輩が?

そんな訳無いでしょ、と小倉を確認する結。

小倉は少しだけ恥じらいながらも、です、と返事をした。

キェー!、と声を上げる豊島。

それから地団駄を踏む。


「この女!化けの皮を被っているです!本当ですよマスター!」


「マスター言わない!学校で!!!!!」


「こうなったらあの男が証言します!さあ話すです!」


「何を!巻き添えにするな!俺は関係ないっ!」


クソッタレなんだってこんな目に!

俺の学校生活はこんな感じで崩れていく為に有るんじゃない!

思いながら俺は全員を見ながら盛大に溜息を吐く。

すると、そんな事より、と結が俺に向かって言葉を発した。


「アンタにお弁当作ったけど食べる?」


「お前が?嘘だろ」


お弁当作ったってか?

信じられないんだが.....。

赤面で渡してくる結。

朝早くから起きていたのはこれか?

え?本気で?


「.....」


「.....」


しかしそのお弁当を見ながら.....小倉と豊島が俺を見てくる。

その、何だか食い辛いんだが。

やっぱり色恋に染まっていますね.....マスターが、と呟く豊島。

それから俺に詰め寄って来る。


「これはマズいです。アンタは消さないといけないかもですね」


「いや.....お前」


「そんな事言わない。豊島」


注意する結。

だって私のマスターが.....、と複雑そうな顔をする豊島。

俺は.....その顔に、ハァ、と息を吐いた。

そして豊島と小倉を見る。


「お前らも食うか」


「.....え?それ本当ですか?」


「私、そんな意地汚い人間じゃ無いんだけど.....」


目を輝かせる豊島。

そして眉をひそめる小倉。

いや、意地汚いっていうか。

小倉に至ってはもうバレてるぞ多分.....お前の性格。

俺は盛大に溜息を吐く。


「結。良いか。食わせても。じゃないと喧しいと思う。特に豊島が」


「え?.....まあ良いけど。.....あ、それはそうと.....」


「.....何だ?」


「私、部活創ろうと思って」


部活を創るって?

マジに言ってんのかコイツは。

ってか創れるのか?


しかも誰が入るっていうかどういう部活なんだよ先ずは。

と思っていると結は紙を取り出した。

申請書の様な物を、だ。

俺達は見てみる。


「漫画研究部」


「.....お前本気で言ってる?っていうかいきなりすぎる」


「だってこの学校には漫画研究部無いから」


「.....あ!分かりました!つまりマスター!その部活は!!!!!」


と目を輝かせる豊島。

それ以上言ったら本気で殺されるぞ。

特に小倉から、だ。

でもそれはそうと何でいきなり漫画研究部なんだ。

意味が分からないんだが本当に。


「何でいきなり漫画研究部をやろうと?」


「.....え?あ、えっと私.....その.....」


言いながらモジモジする結。

何だよ一体。

意味が分からないんだが.....、と思いながら見ていると。

結は赤面でようやっと小さく言葉を発した。


「私、アンタの趣味が知りたいから」


「.....!」


一気に赤くなる俺。

本気か、ってかついにそこまでになったのかよ。

思っていると.....横から死線を感じた。

俺はビックリしながら横を見ると。

そこにジト目をしている二人が居た。


「.....うーん。アンタはやはり消さないといけないですね」


「.....まあ確かにね」


「.....ハァ.....」


面倒臭い。

何でこんな事になるのか。

俺は額に手を添えていると。

和樹から殴られた。


「お前という奴は.....教室を見ろ!男子達がマジに困惑しているだろう!!!!!」


「.....だからと言って頭を叩くなよお前.....」


「羨ま死ね!」


和樹は血涙を流す。

コイツらと一緒に居る事が羨ましい?

お前ら目が節穴だろうよ。

俺はコイツら特に小倉と豊島と居ると面倒だぞマジに。

知らないだろうけど。


俺は溜息を吐きながら結を見る。

結は少しだけ赤面で俺を見ていた。

こうして結によって。

漫画研究部(?)が仮にも建設される事になった。

っていうか部員をどうするんだよ先ず。



部活新設は却下された。

当たり前だが部員が居ない。

俺は、当たり前だろうな、と思いながら職員室を出て来た結を見る。

結は、6人集まらないと駄目だって、と落ち込んでいた。

そりゃそうだろうな。


「当たり前だろう。諦めろ。また別の方法取ろうぜ」


「.....別の方法って?」


「例えば既に有る部活に入るとか」


「.....アンタと豊島を入れても3人か.....」


話聞いてる?

第一、まず何で俺が部活メンバーに加わっているのだ。

俺は絶対に部活には入らないぞ。

面倒臭い。

それにどうなるかも分からない。


「.....アンタやらないつもり?私の計画」


「やらない。面倒臭いしお前は.....」


「それ以上言ったらコロス」


「すまん」


とにかく先ずは面倒臭い。

だから俺はやりたくないし.....。

と思いながら.....目の前を見る。

オレンジ色の放課後の光が差し込んでいた。


「やっぱり駄目なのかな」


「.....今は保留にしたらどうだ。そんなに直ぐにやらんでも良いだろ」


「.....でも時間は無いかなって思ったから」


「.....気持ちは分からんでも無いが.....」


確かにな。

無駄な時間を感じずに。

青春を感じれそうだけどな。

でも俺は.....、と思いながら歩くと。

目の前に豊島が居た。


「マスター。どうでした」


「駄目だった。部員が少ない」


「.....ですか。じゃあ変態階級上位の会員を呼びましょう」


「.....呼ぶって何だ。しかも上位って何だ。まだ会員が居るのか。変態部に」


居ますよ。

当たり前ですよね。

とニヤッとする豊島。


何だか嫌な予感がするんだが.....。

その娘は女性の胸の形やらサイズを専門にしています、とはっきり答える豊島。

嫌な予感はしたがやはりか.....。


「何だか秘密を口外されそう。私は呼びたくないけど」


「マスター。そんな事を言っていたら何時までも部活は成立しません。新変態部が、です」


「いや、漫画研究部だ.....アホ」


「煩いです。アンタには聞いてないです」


そして胸を張る変態。

俺は何度目かも分からない溜息を吐きながら。

嫌な予感だけを感じた。


面倒臭いんだが.....。

まさかと思うが俺も会うのか?いや。

流石にそんな事無いよな.....?

もう嫌だぞこれ以上の変態は.....。

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