第16話 ガキンチョ
人は色々な人が居ると思う。
それは花が咲く様に色とりどりだ。
幸せになる人も居るだろう。
幸せになれない人も居るだろう。
だけど.....俺自身の解釈としてはこの世界って幸せの方が多い様な気がしていた。
でもそれはまやかしだと今日初めて思い知る。
長嶺の母親の長嶺富子さん。
彼女は.....身体に大病を患っているそうだ。
その瞬間に俺は.....沼に足を突っ込む様な絶望を感じてしまった。
そして.....ただひたすらに思う。
完治してくれ、と。
これ以上俺は.....絶望を見たくはないと。
そう.....失礼だが俺の母親が居なくなったあの絶望を。
長嶺に感じてほしくはない。
俺を好いている長嶺だからこそ、だ。
思いながら俺は部屋に戻ると。
一瞬で.....絶望から気持ちが切り替わった。
「.....あの野郎.....」
自室のエロ本の数が減っているのだ。
何を考えているのかエッチな付録が無い。
俺の大切なエロ本を.....あの野郎。
絶対に許すまじ。
因みに隣の部屋からは喘ぎ声が聞こえる。
何回、行為に及んでんだ。
「.....ハァ.....」
思いながら自室でスマホを弄る。
そして目の前の天気を見るが雨が降りそうだ。
俺は.....今日聞いた事を思い出しながら。
目の前を見る。
「.....ん?」
そこに誰かのスマホが置いてあった。
誰のスマホだよこれ。
と考えたが一瞬で答えが浮かんだ。
赤い皮の様なものに包まれているので.....アイツのスマホか。
俺は思いながらスマホを届けようと持って立ち上がる。
プルルルル!!!!!
「うお!?」
で、電話が掛かってきた。
俺は驚愕してそのまま、もしもし、.....あ。
豊島という名前の電話主に何時もの癖で出てしまった。
馬鹿なのか俺は。
すると向こうの方から早速と言わんばかりに声が。
それもかなり驚愕の声だ。
俺は冷や汗を流す。
『.....え?マスター?何でそんな野太い声をしているのですか?』
女の子であった。
つうかマスターって何だ。
アイツそんな呼ばれ方を.....ってオイ。
豊島って女の子だったのか。
俺は.....あたふたしながら答える。
えっとな、俺は矢吹の兄だ、と、だ。
すると向こうの方から絶叫が聞こえた。
『ハァ!?アンタもしかして私の仇です!?!?!?!?!?』
「.....かたき?ってなんだ。オイ。いきなり失礼.....」
『喧しいです!!!!!アンタのせいでマスターが変な恋をアンタにしてしまった!!!!!責任を取れです!!!!!』
「.....う、うるせぇ.....」
話が通じそうにないのと。
いかにも変人だというのが分かった。
俺は直ぐに顔を引き攣らせて、じゃあスマホを持って行くから、と答える。
すると相手様がこの様に話し出した。
待ちなさいです、と。
『私のエロアタックでアンタを倒します』
「.....お前.....自分で何を言ってるか分かってる?」
『はいです。女子JCにメロメロにされた男子高校生。.....ぐふふ。捕まるのも時間のうちですよ。エロでアタックしてか.....』
「お前中学生なのか!?しかも冗談じゃねぇ!!!!!」
そんな事はどうでも良いでしょう。
私の指定した場所に来なさい。
悩殺して倒してあげますよ。
ぐふふ、といいながら俺に話すガキンチョ。
確かに警察はアウトだ。
「俺は行かない」
『敵前逃亡です?逃げるのです?情けないです』
「喧しいわ。変態。テメーに会いたくないから言ってんだよ」
『言いましたね?私は心底の変態だからそんな事を言われても痛くは無いのですが』
コイツマジに地に落ちている。
というかこんな奴に関わっている結も如何なものか。
俺は盛大に溜息を吐きながら、話していると俺も変態になりそうだ、と答える。
ぐふふ、とガキンチョは話す。
『そうですね。貴方もこっち側に来てみては?変態サークルに』
「.....」
『フフフ。でも来たところで私は貴方を叩き潰しますよ。必ず』
「.....じゃあお前は.....セッ○スとかにも興味有るのか」
こう言うと。
何故か黙った。
そして、ふえ?、と声がする。
それから、あ。アンタいきなり何を言ってるんです!!!!!、と絶叫がした。
え?え?
『そんなもの!私の変態道に合いません!!!!!私が愛しているのはそんなもんじゃないです!このスケベ!!!!!』
「.....」
何コイツ真面目に意味不明。
話していると厄介になってきそうだ。
何でそっちに興味が無い癖に偉そうな事を言ってんだ。
俺は、ハァ、とまた溜息を吐きながら俺はガキンチョに言葉を発した。
「良いかガキンチョ。セック○も知らない様なガキンチョが変態道言うな。死ね」
『セ○クス言うなです!それに話しているとムカッとしますですね!こちらからも死ね!』
「おお言ったなコラ。許さんぞ貴様」
『オー言いましたよ。アホボケカスハゲです』
このクソガキ。
ああもう。
と思っていると扉がバァンと開いた。
それから.....義妹が飛び込んで来る。
あ。あ。あ。アンタ何しているのよ!!!!!、と、だ。
「貸しなさい!」
「うお!?いきなり何すんだ!」
「当たり前でしょ!私のスマホを何をしているの!」
「ガキンチョが諦めてくれなかったから話してたんだよ!」
目をパチクリする結。
は。ハァ!?アンタ豊島と話したの!?
と胸に手を添えて胸にスマホを押し当てる結。
俺は、心底の変態だが、と答えた。
するとキッと俺を見てきて。
「この.....バカァ!!!!!」
と殴られた。
それも思いっきりに、だ。
そして俺は回転しながらそのまま地面に叩きつけられた。
散々な目に遭ってしまった。
え?ってか俺悪いのこれ?
☆
「豊島と変な事喋って無いでしょうね」
「喋ってねぇよ.....しつこいな」
「当たり前でしょ!何私の友人に割り込んでいるのよ!!!!!」
ってか友人なのかよアレ。
あんなクソ変態が?
と考えながら俺は結の手で治療を受けていた。
悪いとは仮にも思っているようだ。
「はい。おしまい!」
「イッテェな!何すんだ」
「治療してやったんだから文句言わない!」
「.....ハァ.....分かった。サンキューな」
まさかの言葉だったのか。
え?、と真顔になる結。
それから赤面していった。
そして、う。うん、と頷く。
それもモジモジしながら、である。
何でそんな感じで表現するんだ。
俺もハズいじゃないか。
「勝手に私のスマホを扱わないで」
「.....分かった。気を付ける」
「.....本当に?分かった?」
「分かったって。煩い」
煩いって何よ。
と文句を垂れる結。
俺は頭をガシガシ掻きながら。
分かったもんは分かった。って言ってんだよ、と答えた。
それ以外に答え無いだろ。
「気を付ける」
「.....なら良いけど.....アンタ何か有ったの?」
「.....何も」
こんなに楽しい日々なのにな。
まるでその.....ワンダーランドに居る様な。
なのに神は何を考えているのだろうかと思ってしまう。
俺は.....ただひたすらに。
結を見て思った。
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