第11話 僕は.....。
「.....」
「.....」
一体なんでこんな事になったのやら.....。
俺とリア充の友彦君とやらは女子達と別れて奥で個別で会っていた。
まるで会社の採用試験の面接の様な有様だ。
しかしこの感じは.....高校の面接以来かな。
だけど今回はかなりパターンが違う。
ただひたすらに俺は眉を顰める事しか出来ない。
何がしたいんだ友彦君とやらは、と思う。
すると友彦君はイケメン笑顔を見せた。
「突然すいません。ご提案に乗って下さり、感謝致します」
「.....まあ構わないけど.....何なんだ?」
「.....アハハ。僕は嫌われ者ですね」
「よく分かったお前。ってかそりゃそうだろ。俺は簡単に言えば非リアだぞ」
え?非リアですか?そうは思えませんが.....、と俺に対して言葉を発して驚愕な感じで見つめてくる友彦君。
ああ、その点は見る目が悪いな。
俺は明らかな非リアに近いぞ。
あくまで童貞だしな。
お前みたいに女子連れでキャッキャッキャッキャッしない。
思いながら不貞腐れつつ横を見る。
「.....ああ。あの娘達ですか?あの子達は僕の友人です。彼女では無いです」
「という事はお前は付き合って無いのか」
ええ。えっと。そうですね。
その事でお話が有ります、と真剣な顔で俺に向いてくる。
俺は???を浮かべる。
何だこんな真剣な顔になって、と思っていると予想外の言葉が出た。
友彦君から、だ。
「正直に言って、僕は.....結さんが好きなんです」
水を飲んでいたのだが思いっきり吹き出しそうになった。
何つった今?
え?結が好きだって?
俺は目をパチクリしながら友彦君を見る。
本気かコイツ。
「お前.....ガチか?」
「本気のガチですよ。彼女は本気で魅力的だと思いますから」
「.....」
ちょっと苦笑しか出ないんだが。
それに頭に過ったものがある。
それは変態度である。
結だけは止めた方が良いと思うのだが。
かなり大変な事になりそうな気がするんだが。
明らかにマズいだろ。
「何か.....おかしな事を言いましたかね?僕」
「.....すまないが結だけは.....その、止めた方が良いと思うぞ。いや、俺はお前とアイツの関係を止めようとしているんじゃないんだが.....その。結は色々厄介だから忠告の意味で言っておく」
「え?そうですか?」
「.....ああ」
目をパチクリして俺を見つめてくる友彦君。
何を言い出すかと思えば信じられない事を.....。
結との関係を否定する訳じゃ無いけど.....駄目に近いな。
あの変態度を外部に露呈させる訳にはいかんしな.....。
「.....まさかと思いますが.....他に恋している方が.....」
「.....いや。それは無い」
それが向いているのは俺だ。
つまり過激なベクトルが俺に向いているから。
それは無いのだが.....どう説明したもんかな。
と思っていると結がやって来た。
「何を話しているの?小虎」
「.....何でもないぞ。うん」
「.....怪しいんだけど」
俺をジト目で見てくる結。
ややこしくなるから帰れお前。
目線でツッコミを入れながら結を見る。
すると.....友彦君が何かを察した様に見開いた。
そして柔和になる。
「.....成程です。それは全然に考えていませんでした」
「.....?.....は?」
「.....いえ。貴方に嫉妬してしまいそうです」
「.....お前は何か勘違いしているんじゃないか?俺と結はそんな関係じゃないぞ」
え、え?、と目を丸くする結。
訳が分からない、的な感じで、だ。
確かに血が繋がって無いからですね、と友彦君はクスクス笑う。
それから、血が繋がっていたら大変ですけどね、と柔和になった。
でも、と呟く。
「僕も負けません」
「.....話を次々進めるな。違うって言ってるだろ」
「じゃあ.....結論をハッキリさせる為に結さんに聞きましょう。.....結さん」
「.....え?どうしたの。友彦君」
あたふたする結。
その中で、貴方は.....小虎君。つまり.....義兄さんが好きですか?、と直球で聞いた。
流石はリア充と言った所か.....まさかそんな直でコイツ聞くとは。
と思いながら結を見る。
結は、え?、と耳まで真っ赤になっていく。
やっぱりなのか、と思う俺。
それから反応を見た友彦君は、やはりですか、と苦笑い。
そして俺を穏やかに見つめてきた。
「でも色々とスッキリしました。.....貴方とはライバルですね」
「.....いや、だから.....」
「.....僕は結さんは本当に魅力の有る女性だと思っています。繰り返しになりますが。.....選ばれた貴方にちょっと嫉妬です」
「.....」
困惑している結。
そんな結と俺に手を差し伸べた友彦君。
それから、良かったら友人になりませんか、とスマホを取り出した。
リア充ってどいつもこいつもこんななのか?、と思ったが。
俺はスマホを取り出す。
「.....お前だけだぞ。交換するのは。そもそも俺は人が苦手なんだ」
「アハハ。ですか。.....何だかそんな顔をしていますしね」
「.....うるせぇよアホ」
そして俺達はキューアールコードでアプリ登録した。
リア充のバーべーキューでもしているのかそんな感じのアイコン。
俺は.....ただひたすらに苦笑い。
それを確認した友彦君はクスクス笑いながら、じゃあ戻りましょうか、と言う。
ちゃんと身の回りを整えながら、だ。
「.....友彦君。何で.....私の心を聞いたの?」
「.....簡単です。.....僕は君が好きなんです」
「.....ふぇ!?」
アハハ、そういう顔が好きなんですよ僕。
とクスクス笑いながら俺を見る。
俺は盛大に溜息を吐きながら様子を見守っていた。
そして女子どもの所に戻る。
「.....僕達はご飯を食べる予定だったんです。結さんと小虎君は.....」
「俺は死んでも御免だ」
「.....小虎.....」
そっこうの否定に顔を引き攣らせる結。
当たり前だろう。
何だって見知らぬ女子達と一緒に飯なんぞ。
真面目に勘弁してくれよ。
笑われるのがオチだ。
「.....結。お前だけでも食っていけ。俺は.....本屋行く」
「で、でも小虎。良いの?」
「久々の友人との再会なんだろ。少しだけでも喋ったらどうだ」
「.....うーん.....。でも分かった。小虎が言うなら」
おう、そうしろ。
邪魔者はこの場から去るさ。
俺は.....後でマックでも食おう。
場違いすぎるんだよ俺。
思いながら歩いて行こうとしたら。
「.....今日は有難う御座いました」
「.....そもそもお前の相談を聞いただけだが.....」
「.....でも人はなかなか真似出来ませんよ。今日の事」
だから本当に感謝しています。
有難う御座いました、と頭を下げる友彦君。
俺は、気持ちが悪いな、と呟きそのままサイゼの外に出た。
店員が、有難う御座いました、と見送る中、だ。
元から似合わない。
俺にサイゼは。
にしても。
「.....ああもう。.....気が狂うな。クソッタレ」
俺はガリガリと額を掻きながら.....歩き出す。
全くな、と考えながら、だ。
ラノベを今直ぐにでも読みたい気分だ。
勘弁してくれ。
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