第7話 お前の事、嫌いだわ

酷い目に遭った。

小倉の野郎.....まさかあんなに変態だと思っておらず。

俺は本当に散々な冤罪といい酷い目に遭った。

そして今に至っているが。

自宅の中、帰宅してから、だ。


「.....アンタさ。ちょっとふざけすぎじゃない?」


「.....何がだ。屋上の件か」


「別に良いけど。アンタが誰と何しようが関係無いしね」


「.....それじゃふざけすぎとか言わなくて良いんじゃ.....」


は?何?、とイラついた様に俺を見てくる結。

俺はその姿に、何でも無い、と溜息を吐きながら額に手を添える。

その姿を見ながら、何か言いたいなら言ってくれない?、とジト目で見てくる結。

だから何でも無いって、と俺は少しだけ首を振りながら二階に上がる。


「何処行くのよ。アンタ」


「.....勉強しないといけない。俺だって優秀じゃ無いから」


「.....そう」


複雑な顔をしながら俺からプイッとそっぽを見る結。

何だコイツ.....と思いながら何回めかも分からない盛大に溜息を吐く。

それから二階に上がってから俺はドアを開けた。

そして周りを見渡す。

アイツの事だからまたカメラとか設置しているんじゃ無いだろうか。


「.....カメラとかアプリとか気が付いてないと思っているのかアイツは.....」


こんなバレバレの政策なんぞ何処ぞの大統領ならマズイぞ。

俺は思いながら.....鼻息を吐いてから。

そのまま勉強を始めようと思い、教科書を取り出した。

そして椅子を動かしたその時。

足元に何か有るのに気が付いた.....?


「何だこれ.....」


足元に何かある。

より正確に言えばエロ本が落ちている。

買うしていた筈の俺のエロ本だ。

何でこんな所に落ちているんだよ。

思いながら俺はベッドの下を覗いてみる。


「.....アイツまたいじったな.....ここ。で慌てて落としたってか.....」


本当に卑猥な義妹だな.....。

と思いながら俺はエロ本を椅子の下から拾って。

そしてそのまま俺は収納した。


こんな感じで慣れてしまっているのが怖いんですけど.....。

と考えながら、だ。

顔が引き攣る。


「.....でもな。アイツ.....こんな感じでも.....昔よりマシだよな」


完全無視されていたあの時代よりかは遥かにマシだ。

そして.....アイツがこうやって元気なのも良い事だと思う。

でもやり過ぎだけどな。

俺は.....ふと昔の出会った頃を思い出しながら。

勉強椅子に腰掛けて勉強を始めた。


「.....まあ.....見守っていきますか」


と考えていると。

何だか頭がボーッとしてきた。

俺は?を浮かべて.....そのまま、何だこれ?、と思いながら。

寝て.....ぐう.....。



「.....お兄ちゃん寝てる.....アハハ。睡眠薬が効いてる」


そんな声がした気がした。

俺はうすらで目を開けながら。

声のする方を見た。

俺のエロ本を回収して俺の体に触れている様な感触が.....。

だが意識が朦朧としておりそのまま俺は寝てしまった。


「.....お兄ちゃんは私のモノだから。お兄ちゃん愛してる」


そして俺の意識はまた暗闇の底に消えた。

そうして2時間後に目が覚め。

起き上がると午後6時になっていた。

俺はビックリしながら、何で寝たんだ!?、と思う。


「.....えっと.....何で寝たんだっけか.....確か」


義妹は麦茶を出してきた。

それを飲んでから勉強を始めようとした時だ。

俺は.....さあっと青ざめる。

まさかアイツ、睡眠薬を盛ったのか!?俺に!?

あの馬鹿!


「クソッタレ!結の野郎!」


俺は直ぐに動こうとするが。

睡眠薬の影響で体が動かない。

一体どんだけ盛ったんだよ.....畜生め!

俺は思いながら動かぬ身体に鞭打って部屋から出た。

それから横の部屋に向かう。


「おい!結!お前何かしたか!?」


『どうしたの』


「睡眠薬を盛ったろお前!何すんだ!」


『は?そんな事してないし。私は何もしてない』


おおそうか。

そこまで言うなら俺は.....。

考えながら俺は言葉を発した。

お前の事。嫌いになりそうだ、と。

すると.....ドタドタ音が鳴ってドアが開いた。


「ちょ。え.....何もしてないって言ってるじゃない」


「うるさい。お前しか居ない。第一俺がこんな寝る訳ないだろう。こんな時刻から。お前の麦茶は変な味がしたしな」


「.....えっと.....」


「お前とは暫く口を聞かない」


と俺は言い放ち、そのまま部屋に戻る。

こんな事をする義妹とは口を聞きたくない。

幾ら何でもやり過ぎだ。

えっと.....えっと、と困惑する声が聞こえた。


「わ、私は何も.....。ねえ待って!」


「喧しい。お前のせいだ。知らん」


「.....ご、御免なさい.....お兄ちゃん.....」


シュンとした結は涙目で俺に訴え掛ける.....って。

今お兄ちゃんて言ったよな。

俺は驚いて見開きながら結を見つめる。

涙をポロポロ流していた。


「ごめん。やり過ぎた」


「.....」


「だからその.....せっかく話せたんだから」


「.....ハァ.....」


何でこんな面倒な義妹を持ったのか。

考えながら.....俺は額に手を添える。

すると義妹は駆け出して来た。

そして俺を抱きしめる。

俺の背中で啜り泣く声が聞こえる。


「わ、私.....御免なさい.....疲れているからって思ったから.....」


あくまで嘘を吐く結。

だけど認めただけでも進歩か。

俺は額に手を添えながら義妹を見る。

そして少しだけ睨んだ。


「.....謝って済むなら警察は要らない」


「そんな事言わないで。お願い」


「.....分かったよ!もう!」


ああもう!可愛いな畜生め!

思いながら義妹を改めて見る。

泣きそうな女児の様な顔をしていたが。

ニコニコし始めた。

そして、あ。有難う、と呟く。


「お前.....でも俺は全く疲れてないから薬は盛るな。頼む」


「わ、分かった。御免なさい」


「.....ハァ.....」


今までずっと思っていたが。

コイツはやはり可愛い。

当たり前だが顔立ちが整っているから、だろう。

一歩を踏み出せた気がした。

取り敢えず嘘でも白状したから、だ。


「.....その.....アンタ」


「.....何だ」


「.....今度、謝りも兼ねて.....」


「.....?」


一緒に付き合って、と告白してくる。

俺は驚愕に目を丸くする。

そしてモジモジし始めて上目遣いで俺を見てくる結。

駄目?的な感じで、だ。

俺は何度めか分からないが額に手を添える。


「ああもう分かったよ.....」


パアッと明るくなる義妹。

それから、約束だよ?、と俺に笑顔を向けた。

本当にな.....全く。

と考えながら俺も少しだけ笑みを浮かべた。

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