第6話 行き着く先は変態
義妹の矢吹結は猛烈な変態だと思われる。
それはまあ良いとして。
俺のクラスのクラス委員はこの結に惚れている女の子で小倉由紀という名前の少女だがこちらも変態である。
だがこれは良く無いだろ。
ちょっと待ってくれ。
何で俺の周りって本当にこんなのしか居ないのか.....。
その様に考えながらの今である。
俺は本気で困惑していた。
「.....オイ。これは無いと思うぞ。流石に.....」
「この場から矢吹君が逃げるかもしれないからね。せっかくの結ちゃんの事を聞く最大の機会だから」
「だからといって紐で椅子に縛るなよ!いやしかも逃げねぇよ!」
何だコイツ!?マジに何!?
でも駄目、と言いながら紅潮した顔を向けてくる小倉。
一体全体に何をするかと思ったら屋上にあるベンチに俺を縛り付けやがった。
それも滅茶苦茶に素早く、である。
抵抗する間も無くあっという間に、だ。
慣れている様な気がして気持ちが悪いんだが!?
しかしこの野郎.....!俺の義妹だけが変態だと、クラス委員ぐらいまともと思ったのに.....!!!!!
畜生.....日本全国のクラス委員に謝ってほしい。
「でも今って本当に何も出来ないんだよね?それも何だか.....」
「お前という変態で下種な奴には天罰が下るぞ。絶対に下る」
「下らないからね。私そういうの信じないタイプだから」
「ち、畜生.....勘弁してくれ.....」
縛られてから小倉はニヤニヤして。
そして落ち着きながら俺に聞いてくる。
結ちゃんって本当に変態なのかな?、的に。
俺は、変態かどうかは言えないが.....取り合えずまともじゃないかもな、と答えた。
そして溜息を吐く。
「そうなんだ?何処がまともじゃないの?」
と屈んだ小倉。
スカートが捲れそのまま白のパンツが見える。
全く気にしてない様だが.....俺にはキツイ。
俺は赤面しながら横を見た。
何処がまともじゃないかって?
そうだな.....どう言ったもんかな.....。
取り敢えずはこう答えるか。
「アイツは変態ではないが俺の部屋に監視カメラを付けるレベルだ。知能的には相当に別方向のベクトルでヤバいと思う」
「.....アハハ。やっぱり最高。結ちゃんってそんな感じなんだ。嬉しいな。私も許容してくれそう」
「お前は心底の変態だからな.....それは分からんぞ」
言うねぇ、と小倉はゾクゾクとした感じで悶える。
いや、コイツってドエムですか?もしかして。
考えながら小倉を引き攣った目で見つめる。
すると小倉は悶えながら俺を見た。
「でもやっぱり妬ましいな。.....本当に君が」
「妬ましいと思われるのは勝手だがそこまでじゃないぞ。義妹は本気で.....裏表が有るからな」
「でもそれでも一緒に暮らしているんだから。妬ましいかなぁって」
「.....そうですか.....」
何だか身体が暑くなってきた。
と小倉は言う。
そしてそのままブレザーの上着を脱いだ。
俺は赤面しながら横を見る。
艶めかしいな.....クソッタレ、と思いながら、だ。
「あ、私、決めたよ」
「.....何をだ」
「私、振り向かせてみせる。結ちゃんを」
「そりゃまた.....大きな絶対に叶わなさそうな夢だな。まあ頑張れ」
夢じゃないから。
現実にして見せるからね。
と俺をニコッとしながら見てくる小倉。
はいはい、と思いつつ俺は紐をガチガチ揺らす。
これ解いてくれよ、と言いながら、だ。
「駄目。絶対に解かない」
「いや何でだよ。お前.....」
「まだ質問は沢山あるからね。質問攻め」
「.....お前さ。本気で教室に戻らないとマズいって。サボりは駄目だって!」
貴方が言い出した癖に?
しかもアハハ。それって私とデートしているかも知れないって事で?、と笑う小倉。
そうだって。
だってそうだろ。
俺を引き連れて教室抜けたんだから。
思いながら小倉を見る。
だが小倉は、私が万が一貴方に強制されたって嘘を吐いたらどっちをクラスメイトは信じるかな?とおちょくってきた。
確かにそう言われたらクラスで浮いている俺は言いようが無い。
反論のしようがない。
しかしこの女.....ここまで性格が歪んでいるとは.....。
小倉は興奮気味で俺に向いてくる。
「それに私は一生貴方の紐を解きたくないかも。何だか縛られている貴方を見ているの楽しい」
「勘弁してくれ。俺はこんな場所で野垂れ死にたくはない。解け」
「アハハ。そうなの?.....まあそりゃそうだよね。可哀想」
と言いながら半分馬鹿にされている様な感じで小倉は紐を解く。
仮にも良かったと思いながら立ち上がる。
それからよろけた。
何故かって言えば変な態勢で縛られていたので、だ。
そして小倉を押し倒し.....え!?
「うわ!?」
「な!?キャッ!?」
そして目の前の床にカッターシャツの小倉が。
俺が手を付く感じで押し倒していた。
小倉は赤面になりながらキッと俺を睨んで、ど。退きなさい、と俺に一言。
俺も赤面しながら、すまん!、と退いた。
それから俺は小倉を見る。
「いきなり.....何するの。変態」
「いや.....お前が悪いだろ。俺を変な態勢で縛るから.....」
と言いつつ考える。
しかも変態ってお前じゃねーか、と。
思いつつ盛大に溜息を吐くと。
ピコンとスマホが鳴った。
俺は?を浮かべてスマホを見る。
そこには一言、こう書かれていた。
(アンタ.....屋上で何をやっているの.....)
「.....」
かなり怨念が籠っている気がした。
何で屋上に居る事を知っているのだ。
どいつもこいつも勘弁してくれよマジに。
思いながら、監視しているのか?、と校舎を見渡すが。
そんなものは.....と思ったが一つだけ感知できそうなものが有る。
「.....まさか.....」
スマホのアプリを見る。
そこに.....入れた覚えのないアプリケーションが入っていた。
まさかこれか.....。
と思いながらスマホに返事を打つ。
「矢吹君。一体何をしているのかな。私を無視で」
「今はそれどころではない」
小倉が眉を顰めながら俺を見てくる。
俺はメッセージを慌てて、何で分かるんだ、と送信した。
するとこんなメッセージが帰って来る。
そんな事はどうでも良い、授業サボって女の子を押し倒して?楽しい?、と。
俺は青ざめた。
「.....」
「矢吹君.....私を押し倒してそれは嫌われるけど。っていうか女の子を無視?」
「だから今はお前に構っている暇は無いんだってばよ」
マズいぞこれ。
何をしてくるか全くわからん。
さてどうしたものか。
と思いながらメッセージを打っていると。
キーンコーンカーンコーンと音が鳴り響いた。
(取り合えず後で覚えておきなさい)
「.....」
「矢吹君.....」
「いや、もう全部お前のせいだぞ。小倉.....」
何が?とジト目で俺を見てくる小倉。
その姿を見ながら、全くどいつもこいつも.....、と額に手を添えた。
そうしていると屋上のドアが開き。
和樹が入って来た。
「.....サボって何をしているんだ。.....お前ら.....」
「和樹。何か誤解をしているかも知れないがそういう事じゃねーぞ」
「畜生!!!!!お前死ねぇ!!!!!」
和樹はクワッとして泣き叫びながら俺の首を絞めてきた。
俺は、オイ!小倉!お前も説明しろ!、と話すが。
小倉は無視で軽々に上着を羽織った。
そしてニヤッと悪の感じでこう言い放つ。
ツーンとした。
「.....変態。貴方の様な変態は.....嫌い」
と言って去って行った。
オイコラ!まるで冤罪の様な.....このクソ馬鹿!!!!!
その言葉を聞いた和樹は.....、みんなに言い放ってやるぅ!、と叫びながら俺の首を
そのままグラグラ揺らす.....ぐぁ!締まる!
あの野郎!教室でも嘘を吐くんじゃないだろうな!?
俺のせいじゃないのによ!
小倉の野郎、ちゃんと説明しろぉ!!!!!
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