第5話 変態しか居ない

クラスメイトの小倉由紀という少女。

堅物って訳じゃ無いが常に寡黙で本を何時も読んでいる少女。

誰とも触れ合おうとしない様な静かな花の様なヤツだ。

俺は小倉の生い立ちなど詳しくは知らない。

ただ.....小倉は結構、可憐な美少女だなって思っていた。


その小倉にこう言われた。

何を言われたかって?

義妹さんエッチだね、と。


俺と結しか知らない筈の事にさぁっと青ざめた。

何で知っているのだ。

それで俺は小倉を問い詰めようとしたが。

躱される。


「ち、畜生.....」


「お前さんよ。さっきから何しているんだ?」


「何でもない。ただ小倉と話したいんだよ。和樹」


6時限目の休み時間。

俺は小倉を問い詰めようとしたが。

小倉は俺を無視でどっかに行ってしまった。

いや、割と本気でこのままではマズい気がする。


「それってまさか小倉に恋のアタック?止めとけよ。小虎。大変な事になるぞ」


「アタックじゃねぇよ。ただ宿題を教えてもらおうとしていただけだ」


「何で小倉?」


「良いから。何でも良いからとにかく話したい」


和樹は、お。おう?、と目を丸くする。

今直ぐに話したい。

この学校では義妹の存在は完璧な存在だ。

そこにスパイスで変態性がバレたら。

絶対に想像したくない。


「.....」


顎に手を添える。

そして考えていると小倉が帰って来た。

その姿に俺は直ぐに立ち上がって行こうとする、のだが足がもつれた。

そしてそのまま小倉の胸にダイブ。

まさかの展開だった。


「.....あ」


「.....!?.....す、すまん」


俺は慌てて立ったが。

頬を思いっきり打ったたかれた。

赤面の小倉に、だ。

クラスメイトが何事かと俺を見てくる。

俺は激痛に悶えながら居ると。


「何するの.....っていうかそんなに知りたいの」


小倉はゆっくり立ち上がってその様に言葉を発した。

俺は、お。おう、と頬を触りながら返事をする。

すると真っ赤になっていた小倉はため息交じりに眉を顰めながら俺の手を握った。


それから俺を引っ張って行く。

ちょ、授業が始まるぞ!?

と思っていると。


「矢吹君。貴方の義妹さんの事は.....昔から知っている。変態だねって言ったのは変態が事実か確かめる為だった」


「.....え?.....あ、え!?」


「私は貴方の義妹さんに恋しているから。変態なら尚の事、嬉しい」


「.....は、ハァ!?」


ちょっと待て、どういう事だよ!?

俺は見開きながら小倉を見る。

今かなり衝撃を受けたんだが、ちょ、待て待て待て。

何つったんだ?え?

恋している!?


そして俺は男子トイレに小倉と一緒に入る.....オイ!?

男子トイレなんだが!?

と思いながらも小倉は全く気にしないまま個室に連れ込まれそのままガチャリと鍵が掛けられた。

マジかコイツ!?

そして小倉は俺を見てくる。


「ちょ、何すんだ!?小倉!?ここは.....」


「黙って」


「は、はい」


そんな顔で威圧されると怖いんですが。

俺は黙りながら.....周りの音を聞く小倉を見る。

しかし本当に美少女だな.....コイツ。

考えながら胸を見る。

で、デカいな.....。


「よしそろそろ良いかな。.....山吹君」


「は、はい?」


「私は.....結ちゃんが好き。心の底からずっと愛してる」


「.....そ、そうですのん?」


うん、そう。

だってこの学校で一番.....成績優秀で。

顔立ちが可愛くて.....うん。

と言いながら小倉は段々息遣いが荒くなってきた.....え?

コイツ、興奮してないか?


「ああ.....何だか少しだけ興奮してきた」


「.....え?.....えっと.....」


確かにその。

暑くなってきた気がする。

コイツの熱気か?と思いながら俺は苦笑いを浮かべる。

というかガチなのかコイツ.....。

小倉は俺にキツイ目線を向きながらニコッとした。


「だから私は貴方が心底妬ましいんだ。だって.....結ちゃんが貴方を見ているから」


「.....?!」


「学校1の美少女と一緒に住んでいるのも許せない感じ。今までずっと我慢してきたけど。丁度良い機会だから教えてあげようかな。私は結ちゃんに悪い事をする輩は全員、ぶちのめしたいぐらいだから」


「.....え?.....えっと.....」


それで今の今まで恋とかもしなかった。

恋は結ちゃんだけだから。

と言葉を赤面で告白する様に発する小倉。

俺は.....困惑に、そ。そうですか、と苦笑いを浮かべるしかない。

何でこんな事になっているのか。


「結ちゃんの為なら何でもする気だからね。例えば貴方を消したりとか」


「じょ、冗談でも止めろ。勘弁してくれ」


「冗談に思えるかな。割と本気だけど」


「.....」


マズい、これ本気で殺されるかも知れない。

俺は冷や汗を流しながらシワシワと委縮する。

何だってんだよ.....勘弁してくれ。


俺の周りって何でこんなに変態やら怖い奴らばっかなんだよ.....。

思いながら俺は小倉を見つめる。

勘弁してくれ.....。


「小倉。俺の義妹を愛すのは勝手だが.....その中で俺の命を刈り取っても恐らくは無意味だぞ。良いか」


「.....そうかな。私としてはそうは思わないけど」


「.....」


割と誰かマジに助けてほしい。

この状況。

何で男子トイレでしかも女子に脅されているの俺。

本気で嫌な事ばっかりだ.....。

思いながら俺は額に手を添える。


「お前がそこまでとは思わなかった」


「.....そうだね。私は誰にも話して無いけど前、結ちゃんに助けられたから。だから好きなの」


「.....そ、そうですか.....」


助けたのか?結が小倉を?

一体.....小倉の何を助けたのだろうか。

俺は考えながら小倉を見る。

小倉は何も言わなかった。


そして、じゃあ話も終わったから戻る、とドアを開けるが。

すっかり小倉のせいで授業は始まっている。

一体、どうしたものか。

盛大に溜息を吐きながら小倉を見る。


「.....お前は戻った方が良いんじゃないか。仮にも優等生なんだし」


「勉強が出来るけど別に優等生じゃ無いからね。私は」


「.....そうですか.....」


「.....そうだ。丁度良いし矢吹君。語り合おう」


俺は?を浮かべながら小倉を見る。

は?何を語るって?

思いながら俺は小倉を見る。

小倉はニコッとした。


「せっかくサボったんだし.....どうせならと思った。家での結ちゃんの事を屋上で聞かせて」


「.....馬鹿なのかお前は。そんな事をしていたら先生が来るぞ。戻った方が良いと思うが」


「それまで語るって事。貴方は色々な事を知っていると思うから。.....拒否権は無いよ。言わせない」


「.....」


脅してきやがった。

何で俺の周りってこんな奴らばっかりなんだ。

俺は盛大に溜息を吐きながら。

そのまま忍び足で屋上に向かった。

そして屋上のドアを開けて外に出る。

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