2、変態しか居ないんだが
第4話 クラス委員が把握したもの
俺の義妹は俺を好いている?と思われる心底の変態である。
だが俺に対して本当に冷たい裏表が有る。
表裏を無くそうと思いどの様に氷の様に溶かせるかと思いつつも。
どう対応したら良いのか心から困っていたが.....何となく手を取り合える様な感じにはなった。
全ては落として失くしたとされている生徒手帳のお陰で、だ。
実際は俺の部屋に落ちていたのだが。
「しかしお前の義妹は本当に可愛いよな.....惚れちまうぜ」
「そうだな。目が大きくて小顔だしな」
「腐った魚の目のお前とは雲泥の差だ」
「喧しいわ。確かにそうだが首絞めるぞ」
昼になってから母親が作った弁当を食う和樹と。
焼きそばパンとコロッケパンを食いながらの俺はその様に会話していた。
今日は弁当を作る暇が無かったのでパンである。
でも相変わらず美味しい。
このパンは。
「でもな。どんな感じであれお前が羨ましい。俺と妹は仲が悪いしな。あの日から本当に」
「いや、俺だって仲悪いだろ。これで仲が良いとかヤバいだろ。どういう感情をしているのかって思うぞ」
「.....いや。お前と義妹ちゃんは違うと思うぞ。なんたってどんな感じであれ.....気持ちが通じ合っている気がする」
弁当の箸を休めながら苦笑する和樹。
いやいや、それは無い。
と思いながら俺は目線だけ動かしながらその苦笑を見る。
そして和樹の弁当の卵焼きを奪った。
それからそのまま食う。
「あ!お前!それ俺が最後に食おうと取って置いたやつ!!!!!」
「複雑な顔になるお前が悪い」
「ひっでえなオイ!?」
俺はクスクスと笑いながらパンを置く。
それから和樹を見つめた。
和樹は、全くな、とか呟く。
そんな和樹を真剣な顔で見る。
「お前だっていつかは.....仲が戻るさ。お前が悪い訳じゃ無い」
「あ?.....ああ。有難うな。でも.....もう無理だと思う。割と本気でな」
「.....しんみりするなよ。俺だって付いているからな」
「.....お前、恋人みたいだな。俺に惚れてるの?」
アホなのかコイツは。
そんな訳あるかい。
気持ちが悪いぞ和樹、と俺は顔を歪ませる。
和樹は、ハッハッハお返しだ、と笑みを浮かべる。
俺は、ったく、と焼きそばパンを齧る。
「でもお前のお陰で何だか仲が取り戻せそうな気がする。感謝だな」
「.....しかしあれだよな。結構だよな。母親が倒れた時の対応の差で仲が悪いっての」
「.....俺のミスだな。仕方が無いんだ」
「.....とにかく。俺はお前を応援しているからな」
そうか、と返事を笑みを浮かべてする和樹。
そして俺も、おう、と返事をした。
そうしていると和樹が、あれ?義妹ちゃんじゃね?、と呟く。
俺は直ぐに背後を見る。
「.....また来たのか!?アイツ」
「まあ行って来いよ。小虎」
「.....あ?ああ」
居心地が悪そうにキョロキョロしている結。
俺は、何をしているんだ?、と聞く。
すると義妹は俺のシャツを引っ張.....オイ!?!!?
そのまま、こっち、と言わんばかりに屋上に連れて行かれた。
俺は、何だよ!?、と屋上で聞く。
すると結は俺にモジモジしながら見てくる。
「.....アンタ、お弁当食べる?」
「.....あ?何だそりゃ。お弁当って誰が誰に?」
「は?アンタに決まっているから。.....とにかく食べるか食べないか言いなさい」
早く答えて、的な感じで俺を見てくる結。
いや突然そんな事を言われて衝撃的なんだが。
俺は目をパチクリしながら結を見つめる。
コイツ本気で?
「.....なんで突然?.....え?裏が有るのか?」
「失礼すぎない?そんな事無いんだけど.....」
「いやでも本気で俺は.....本当にお前の言葉には裏が有ると思っているんだが?勘弁してくれよ」
「.....」
目を細めながら不愉快そうに俺を見てくる結。
いや、本気で毒でも盛られるんじゃないでしょうか。
俺はゾッとしながら結を見る。
その中で結は溜息を吐いた。
そして腕を組む。
「まあそう言われるのも仕方が無いけど.....何だか直球で言われるとムカつく」
「.....とにかく何時も通りで良いんだが。良いか?」
「.....せっかくお礼と思ったのに」
おに.....じゃなくてアンタへの、とへそ曲がりの様な感じを見せる。
オイ今、お兄ちゃん、って言い掛けたよな。
まあ良いけど。
と思いながら腕を組んで考えた。
「.....分かった。もう好きにしろ。でも時間を食うなよ」
「え.....本当に良いの?」
「お前がしたい事をすればいい。どんな形でも俺はお前を見守る」
ボソボソと呟く結。
俺は、は?今何つった、と聞き返すが。
ベッと舌を出す結。
何だってんだよ.....オイ。
「教えない。だって.....アンタに教える必要無いから」
「.....何だってんだよオイ.....」
じゃあ早く戻ろう。
と言い出してから戻ろうとした時。
結は何かを落とした。
何か落ちたぞ.....と俺は拾い上げようとしたのを真っ赤に顔を染め上げた慌てた結が取り上げた。
それから、見るな!!!!!、とガルルルルと狼の様に俺を見る。
な、何だよ.....?
それを仕舞いながら俺を真っ赤で見てくる。
「.....見てないよね」
「.....一瞬だったから何も分からん」
と言いながらも.....。
平然を装うのが精いっぱいだった。
実際は俺はその落とした物を知った。
一瞬だったがあれは.....えっと。
バイブ。
つまりその.....女性用の変態の器具だった。
流石の俺もドン引きなんですけど.....。
っていうか引いてばっかだな俺.....。
「.....アンタ。本当に見てないよね」
「帰るか」
「アンタ!!!!!答えて!!!!!」
嫌だぞ。
それに俺が答えても絶対に否定される。
っていうか校舎内にそんな物を持って来るなよ.....。
マジな変態だろそれ。
俺は額に手を添えながら、もう絶対にこの校舎内で落とすなよ、と考えながら。
そのまま教室に戻る。
和樹がやって来た。
「よお。小虎。どうしたんだ?」
「色々有った.....」
「?.....お、おう」
和樹は目をパチクリする。
ああ我が妹よ。
お前はどんどん変態に染まっていく。
誰か止めてやってくれ、と思いながら。
溜息を吐かずにはいられなかった。
学校でもまさか行為に及んでいる訳じゃ無いよな.....?
「次の時間ってなんだっけか」
「そうだな.....次の時間は数学じゃ無かったか?」
「おう.....そうか.....ん?」
背中を突かれた感触が有った。
俺は振り返ると。
そこには.....ボブヘアーの髪形をした泣き黒子の美少女が立っている.....って言うか。
この女の子とは話した事は無いがこのクラスのクラス委員の小倉由紀(おぐらゆき)じゃ無かったか?
無口で何時も読書している、この学校の制服を律儀に着込んで高速を守る様な、だ。
だから俺とは何の関連性も無い。
それなのに何だ?何で俺の背中を突いた。
俺は首を傾げて和樹と共に見る。
すると小倉が言葉を発した。
「.....山吹君」
「.....えっと、はい?何でしょうか.....?もしかして服装が乱れてる?俺.....」
だがその言葉とは裏腹に。
予想外の言葉が小倉から出て来た。
それはどういう言葉かと言うと。
この様な、だ。
「.....貴方の義妹さん.....えっちで変態だね」
小倉は顔を真顔のままそう小さくつぶや.....え?
ちょっと待て。
今何つった。
俺は.....さぁっと青ざめていく。
血の気が引いた。
背後を見て?を浮かべている和樹を見てから。
小声で小倉に話し掛ける。
「いやちょっと待って、何で知ってんだよ!」
「.....」
「いや、肝心なところで無口になるなよ!?」
だがそのまま小倉は俺の声を無視する様に自分の席に戻りそのまま腰掛けた。
何のアクションも起こさなかった.....が。
ちょっと待って.....何で。
何で知ってんだよ?
俺と義妹しか知らない様な秘密を小倉が!?
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