第2話 露呈していく変態性

義妹とは本格的な天地の差が有る。

どの様な.....天地の差かと言うと簡単だ。

俺は成績優秀じゃない。


そして義妹は成績優秀である。

更に顔立ちとして義妹は猛烈に可愛くてリア充だ。

なのに俺はリア充でも無いし可愛くも格好良くも無い。


そして義妹は俺に対して常に嫌悪の様な感じを見せる。

俺はそんな義妹が嫌いだった。

向こうも嫌っているようである。

その為に俺達は水と油だった。


筈なのだが。

俺は義妹のとんでもない姿を4月のある日見てしまう。

何をしていたかって?

そうだな.....股間を触って悶えていた。

俺の部屋で俺のエロ本で。


そして俺を、お兄ちゃん、と呼んでいた。

信じられない事実である。

俺は.....ただどうする事も出来ず近くのトイレに籠っていたが。

思いながら俺は夕食を食べていた。


目の前の義妹は、何?、と不愉快そうに俺を睨んでくる。

駄目だな.....あれが夢だと思いたい。

コイツがあんな真似をするとは思わないし。

と思いながら俺も眉を顰める。


「あらあら。相変わらずね」


結の母親、八さんが見てくる。

中国の8の縁起で名付けられたそうだが。

八さんの容姿は結と同じ茶髪で白髪が混じっている。


56歳。

顔立ちは小顔で美人の妻って感じだ。

身長158センチ。

俺はそんな八さんを見ながら苦笑する。

相変わらずですね、と。


「小虎。お前なんか.....衝撃的なもんでも見たのか?そんな感じの顔だな」


「え?いや.....特に何でもないぞ父さん」


「.....?」


首を傾げて、そうか?、という父さん。

山吹熊雄(やまぶきくまお)。

その姿は本当に熊の様に大きい。


昔、バスケ選手だったせいか180も身長が有る。

顔立ちはイケメンで黒縁の眼鏡を掛けている。

そして筋肉質で頭に白髪は無い。

55歳なのに、だ。


バスケのキャラの花道に憧れたらしいが。

こんなにデカくなれるのか?俺。

と思ってしまう。

父さんは、ハッハッハ、とお気楽そうに笑う。


「俺は何時も通りだよ。父さん」


「そうか?お前の何時も通りって大概の話、落ち込んでいるよな!ハッハッハ」


「もう.....熊雄さん」


いや、まぁそうなんですけどね。

直球で言われると少し気分が沈みます。

と思いながら.....奥の方に有る仏壇を見る。

母さんの事をふと、思い出す。

俺の母さんは.....自殺した。


産後鬱だった様だが。

俺を出産して1年でこの世を去った。

山吹千尋という。

母さんの記憶がない。

写真で見るからに黒髪の美人だけど。


「.....ご馳走様」


「あら?もう良いの?結」


「.....うん。何だか眠たい」


「.....あら。そう.....じゃあ早めに寝てね」


義妹は俺の顔を一瞥してから不愉快そうに眉を再び顰める。

それから.....階段を上って行った。

相変わらず可愛げが無さすぎる.....が。

俺は自室での出来事を思い出す。

そして赤面した。


「.....クソッ。何なんだよ本当に.....」


意味が分からないし。

何で俺の部屋で行為に及んでいるのだ。

勘弁してほしい。

と思いながら俺はご飯を平らげてから。

そのまま俺も父さんと八さんに挨拶してから上がった。



義妹が変態である。

俺は.....そんな事はラノベの世界だけかと思っていた。

だけど現実は全然違う。


俺の部屋でその、行為に及んでいる馬鹿も居た。

ただ赤面しながらスマホでメッセージを送っている。

相手は俺の友人、横浜。

横浜和樹、だ。


(何というか.....俺の義妹、おかしいんだ。今)


(どうおかしいんだ?)


(どうおかしいって言えば.....そうだな。えっと.....うん。俺の事を好いていない筈なのに俺をお兄ちゃんと陰ながら言ってる)


(ツンデレだろ)


違うと思うぞ和樹。

それはツンデレとは言わない。

俺は苦笑いを浮かべながら相談した。

実はな俺の部屋に義妹の.....生徒手帳が落ちててな、と。

和樹は、マジで?、と返事をくれた。


(ああ。どうしたら良いと思う?返すの)


(直球で返すのはマズいよな。どうしたもんかね)


(.....だから困ってんだよな。うーん)


(じゃあさりげなく部屋に置いとくとか?)


まあ簡単にいえばそれが一番だろうな。

思いながら和樹に、有難うな和樹、と返事をした。

和樹は、おう、と返事をくれ.....ん?

何だか壁から何か聞こえる。


「.....?」


『はぁん.....お兄ちゃん.....』


「.....!?.....あ、アイツまたやってんのか!?」


まさか。

いや、これはマジか。

自室で何かやっている。

いやいや.....ここまで変態なのかアイツ!?

俺は驚愕しながら.....耳を立てる。


『写真.....イイ.....うーん.....ああ!』


義妹の信じられない姿である。

俺は.....眉を顰めながらそのまま聞いてないふりをして。

耳にイヤホンを嵌めた。

そして音楽を流す。

いや、割とマジに勘弁してほしい。


「生徒手帳の事は気にもしてないってか。.....いやまあ良いんだけど。忘れているとか?」


俺は盛大に溜息を吐きながら。

そのままスマホをいじる。

義妹の喘ぎ声なんか聞きたく無いから、と。

そう思いながら、だ。


「.....ん?」


部屋の隅の本棚。

その上の方に何か有る。

俺は?を浮かべながらその箱を取る。

これは.....何だ。

銀色のお菓子の箱だが穴が開いている。


「.....???」


何だこれ、と考えながら俺は箱を開ける。

そこには.....録画機能の有りそうなカメラが入っていた。

それも穴に沿って、だ。

こんなもん置いた覚えがない.....と。

そこで俺はハッとした。


「まさか.....いや、そんな馬鹿な?」


考えられる要因。

義妹が.....ここに置いた、という事になる。

え?嘘だよね?

でもこれ安価そうだけど監視カメラじゃ無いのか?


俺は冷や汗を流す。

何が起こっているのだ?

監視されていた?


「.....あ、あの野郎.....」


いや.....義妹ってか、マジに変態なのか?

その様に考える事しか出来ず.....ただ俺は。

監視カメラを元の場所に戻す訳にもいかず。

手に持っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る