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とりあえずボクらは防衛にかつ拠点を2ヶ所に絞り狭く深く作戦を立てることにした。あとはもし時間が余れば他の作戦を考えるって感じかな。
『3.2.1。これで作戦タイムは終了です。最初のラウンドはsamurai wolfが攻撃、OFGが防衛で始まります』
準備は万全かと問われればそんなことはないが10分のうちにやれることはやったつもりだ。兎に角あとは少ないラウンドでどう相手の作戦に対応しつつ自分達の作戦を修正できるか。
『もう後がないsamurai wolfにとって勝負となるマップですね』
『ですが少しばかりsamurai wolfの顔つきが変わったように見えますよ』
『思いがけない休憩時間で気持ちを切り替えることができたのか?――では改めて。Japan cup決勝戦OGRES FACE GAMEING vs samurai wolf。グットラックハブファン』
1マップ目と2マップ目のことは忘れゼロの気持ちで3マップ目には挑んだ。
「1ラウンド目でまだ相手もマップを把握しきれてないと思うので少し前めに遊撃しますね」
「ボクも最初だけ遊撃でます」
準備時間も終わる頃には拠点近くへ遊撃に出る。
『これはジョンク選手。ボムとは反対側の建物入り口でハイドしてますね』
『ドローンでも見つけづらいですしいいハイドポジですよ!あの10分で見つけたのか今見つけたのかは分かりませんがよく見つけましたね』
『そんなことはつゆ知らず猟犬選手とSilva選手が来ましたね。Silva選手がドローンを回すが...。ジョンク選手には気が付かず。そして猟犬選手が中に入ります。少し遅れてSilva選手も入るがやはりジョンク選手はスルー』
「2人やりました」
「えっ!ないす!」
「いい感じのハイドポジ見つけちゃったんだよね」
この段階で5v3にできたのは大きい。あとはこの人数有利に甘えず確実にラウンドを取るだけ。例え相手がOFGでも5v3をちゃんと活かせば負けないはず。だけど反省を活かしてあまり消極的にならずにチャンスは逃さない。
『そしてKnBee選手がジョンク選手を倒しますがすかさずなお選手のカバーが入りラウンド終了。samurai wolfは人数差をしっかり活かし3人を残してラウンドを勝利しました』
『samurai wolfはこの調子でいきたいところですね。そしてOFGは彼らを勢いに乗せてはいけないでしょう』
『今のラウンドは最初に2キル取れたことも大きいですがその後もチャンスを逃さず、撃ち合えるところは積極的に撃ち合っており1・2マップと比べて動きが大分良くなったように見えますね』
『そうですね。積極的になりつつも甘えないという良いプレイでした。やはり彼らの中で何か変化があったようですね。これはOFGも油断出来ませんよ』
1ラウンドはほぼジョンクさんのおかげで取れたようなものだけどボク自身もいつも通りの動きをすることが出来た気がする。でもやっと、1ラウンドだけど取ることができた。この調子で勝利ラウンドを重ねてマップを取りたい。だけど油断はダメだ。いい感じに戦えるようにはなってやっとスタート地点に立っただけの話。ここからが本番。兎に角まず2マップを取り返して並ばないといけない。
『進行する猟犬選手をKnBee選手が見事なカバー!やはりこの男、アタッカーをやらせてもサポートをやらせても光ります。これでOFG落としたファーストラウンドを取り返した』
「Bポ前廊下から進行してるよ!」
「アタシ裏取れるから入りだけ警戒してて」
「ボクが入りは見てます」
「――ok。やった」
1:2。
『カズ選手が裏取りを試みるがはーみん選手がこれを阻止。そして正面をKnBee選手とDB選手、Silva選手の3人が押さえラウンド終了』
2:2。
「アニさん。ボクがカバーしてるんで突き下げしていいですよ」
「了解。――1人少し当てた」
「1人上がったぞ。花瓶のとこから廊下見てる」
「おっけ。まだ動いてないなら決め撃ちでやろうかな」
「まだ同じ場所」
「――やった」
2:3。
『4v2とOFG側がかなり不利な状況で終盤を迎えますがKnBee選手がアニマル選手を倒し3v2』
『OFGは依然とキツイ状況ですがまだ全然ありますよ』
『samurai wolfがポイントに入りボム裏でカズ選手が設置。なお選手が通路からカバーします。そして阻止しようとするKnBee選手とカバーするなお選手の銃弾が飛び交うがキルは発生しません』
「あと10秒」
「裏1人来てるから今Aポ1人ね」
『Silva選手が裏を取ろうとするがビスモ選手がしっかり見ています。だがそれも想定済みなのか決め撃ちをしながら進みます』
「2.1。終わった!」
「うわっ。やられたから裏気を付けて」
『ここでSilva選手が少しゴリ押しでビスモ選手を倒す。これで人数は五分。なお選手が裏に寄り警戒。しかし遮蔽物のない通路にいるなお選手の方が不利』
まずいな。この位置じゃちょっとキツイ。でももう隣の部屋には入ってるしやるしかないか。
『Silva選手が通路をピークし撃ち合いが発生。両者ダメージをもらったところで1度Silva選手が身を隠します。だがすぐにハンドガンに切り替え再度ピーク。だがこれになお選手も武器を切り替え対抗。そしてSilva選手を撃ち抜く!しかしその間にKnBee選手がカズ選手を倒しそのまま通路に飛び出そうとしている。なお選手にメインに持ち替えリロードする時間はなく、そのままハンドガンをリロードしながら振り返り迎え撃つ。両者残りHPは僅か。だがなお選手が削り切られる前にKnBee選手の頭をしっかり捉え返り討ちにした!』
2:4。それからもリードを失わないようにしながら毎ラウンド大切に戦った。ミスしても引きずらずしっかり気持ちを切り替え1ラウンド完結させることを意識したおかげかプレイ自体に波はなかったはず。そのおかげもあり安定したパフォーマンスが出せ他のみんなも調子が戻ったようで3マップ目でやっと1つ取り戻すことができた。これが決勝で初めてのマップ獲得。でもまだ油断できない。次のマップも取らないと負けてしまうという点で見れば依然として崖っぷちであることは変わりないから。だけどこの調子でいければまだチャンスはある。
『最後はビスモ選手が決めました』
『いやー、samurai wolf優勢でしたがDB選手とKnBee選手がそれをひっくり返しました。こういう場面を見るとさすがとしか言いようがないですよね』
『1v2の状況でしたが見事ジョンク選手が設置フェイクも混ぜながらクラッチを見せました。これで4対5。このまま4マップ目も取り最終マップに持ち込めるか』
『猟犬選手が1キルを取るがビスモ選手がカバーに入る。リロードで無防備な猟犬選手が隠れる前にキル交換しようとしたがカバーに入ったKnBee選手がこれに対応。猟犬選手はダメージをもらったもののキルとまではいきませんでした。OFGが更にもう1キル稼ぐ結果となる』
『今のはアニマル選手とカズ選手がしっかりとクロスを組んでましたからね。あの時点で勝ちはほぼ決まってたと言っても過言ではありませんね』
「相撃ち!相撃ち!ラスト1!2v1な」
「私が先に撃ち合うからその後によろしくね」
「分かった」
「――今撃ったら勝てる!」
「よっし!やった!」
「ナイスー!」
「ないす2人共」
これで4マップ目も取れた。2マップを先に取られたけどなんとか2マップ取り返し同点。3マップ目も4マップ目も決して楽だった訳でも大差で勝てた訳でもないけど、ちゃんと最後は取ることができた。内容も大事だけど今はこれだけで十分。だけど最初2マップ取られてそれからなんとか取り返して2:2まで持ち込んだことは忘れて最終マップだけに集中しよう。2マップ目も3マップ目もそうして上手くいってるしその方が大会のことを考えないで試合だけに集中できる。泣いても笑ってもこのマップが最後。だから最後まで勝っても負けても楽しかったと思えるように頑張ろう。
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