28

第三マップは最初からラウンドの取り合い。一歩千金はいつも通りのプレイをしてボクらは2マップ目の経験を活かして戦った。


『ここでrin選手がジョンク選手を落として第1ラウンドは一歩千金!』


「こっちにいます!――あぶなっ!」

「ないす!これで1:1次も頑張ろう!」


『そして設置が通り下は潰されてしまいますが1人残されたアナグマ選手が上から解除はやれる状況。samurai wolfは残り2人。同時に上がりアナグマ選手をやるのか?』


「ボクは死なないように注意だけ引きつけますね」

「おっけ。アタシが横からやるわ」

「相手リロード入った」

「やった」

「ビスモさんナイスです!」


取っては取られて、取られては取り戻して、2点差つけばまた並ぶ。多分だけどマップがシンプルで複雑なことがしにくいっていうのも要因のひとつだと思う。でも理由がどうであれボクらは一歩千金と少なくともこのマップは対等にやり合った。そして取り合いの末に延長へ入りそのまま両者マッチポイントへ。


『両者共にマッチポイントとなりました。次のラウンドを取ったチームが決勝の舞台に立つことができます。まだ午前中ですけど眠気を吹き飛ばすような試合をしてくれた両チームどちらが勝ち上がってももうおかしくない訳ですけどTPさんどうですか?』

『ここまできたらぼくは見たいですね。samurai wolfが勝ち上がるのを』


最終ラウンド、ボクらは攻撃。ここまでのラウンドを振り返れば防衛よりは攻撃で良かった。


「やっぱ相手は2階だよな」

「1番固い場所だしそうだろうね。どう攻めよっか?」

「ボクは帰り道を全部ロックしてrin選手を潰した方がいいと思うんですけど」

「全員で潰しに行くってこと?」

「はい。最終的な攻防になったらやっぱり厄介なのはrin選手だと思います。このマップだけ見ても結局殲滅するしかない場面とか設置いけても人数五分か不利って場面が多かったのでそうなった場合にrin選手が残ってたら人数差以上の不利が生まれてるわけじゃないですか。実際、最終的にrin選手に数人もっていかれて負けてる場面がいくつかある訳ですし。そう考えると少し時間がかかってもrin選手を確実に潰すべきだと思うんですよ」

「私は賛成です!あの人は強過ぎるんで」

「まぁ作戦立ててる時間もないしいいんじゃない?」

「じゃあ僕はN廊下ラペしてロックするよ」

「んじゃ俺はSの廊下ロックするかな」

「じゃあアタシ達3人でやるかロックまで追い込むってことで」


ラウンドが始まると仕込みドローンでrin選手が遊撃に出てるかをチェックした。


「ワインにいますね。あとローテ穴開いてます」

「もう少しで着くよ」

「俺も」


全員が配置に着くとビスモさんのドローンに先導されながらボクとジョンクさんがテラスから建物内に侵入。無理な撃ち合いはせずただ圧をかければいい。それを意識しながら慎重に進んでいく。侵入後ジョンクさんとは分れボクは右手の入り口まで進んだ。


「廊下ロックしてます」

「ジョンク後ろの階段見れてないから気を付けて」

「わかりました」

「まだワインに居ます?」

「――いるわよ」


これまでのラウンドではこの防衛地点の時にここから進行するのは1人か2人。1人の時は結構積極的に来てて2人の時は時間を稼ぐ程度にちょっかいを出していた。でも3人いるってわかったらさすがに退くんじゃないかな。しかも囲まれてたら。


「とりあえず3人いることをアピールして退かせましょう」

「私は廊下のカメラに一回見られたらからいるのはバレた」


ボクも入り口からクックピークをしながらワインを撃つ。これで2人がいることはバレた。ちょっかい出しつつ退くかも。


「補強壁を一部分開けて射線増やしましょうか」

「アタシやる」


廊下はジョンクさんが見てて反対側の入り口にはボクが。そして補強壁に穴が出来て射線が増えた。ビスモさんにちょっと撃ってもらってその直後にボクとジョンクさんも撃つ。これで確実に3人がいるってことは分かったはず。


「ローテ穴通った。退き始めたね。アニのとこ通るよ」

「任せて」

「んじゃ俺はボム向かっとく」


これでちゃんとやれたら時間をかけた甲斐はあると思うし最後が少なからず楽になると思う。でもここで時間を使った分、設置への準備を手早くしないと。


「おけやった」

「待って!足音する」

「アタシは動いてないわよ」

「多分、下来てます」

「じゃあボクがカバーしてジョンクさんとこっち側から攻めるんでビスモさんとアニさんはカズのところ行ってていいですよ」

「分かった」


ボクはカバーをする為にジョンクさん側へ寄った。だけど辿り着くより前に銃声が鳴り響く。


「あぁ!やり切れなかった。多分ハーフかな。私も残り55」

「まだいそう?」

「待ってよ。――音はしないかな」


とりあえずHPのあるボクが代わりに階段を見てジョンクさんにはドローンで確認をしてもらった。


「大丈夫。いないよ」

「それじゃあこっちからも進行しようか」


それからボクとジョンクさんはボム付近まで進行していき他の3人は補強を割ったりして突入の準備を整えた。とりあえずBから敵を追い出した時点で煙幕を炊き射線の通らない所でアニさんが設置を試みる。準備の段階でビスモさんがやられ現状は4v4。設置が通れば逆に相手が制限時間を背負う事になる。だが設置の途中で下からの爆発に飛ばされてしまった。これで4v3。だけどこれで下に1人いることが分かった。


「ちょっとドローン回す」

「管理に1人はいるからな」


Bとは吹き抜けで分けられたAへドローンを侵入させ状況を確認する。1人が下で1人がAの隣部屋、残り2人はどこだろう。その疑問を解決する為にドローンを回しているとA中に1人いるのが分かった。丁度入って右の棚陰。


「A中に1人は確認できた」

「あっ!もう1人管理にいるわよ!」

「じゃあジョンクさんローテ穴ロックお願い。ボクあの1人やりにいくから」

「おっけ。いつでもいいよ」

「誰かボクのドローンで同じ場所にいるか見てもらえますか?」

「待ってよ。いるけどそっち側見てる」


場所は分かったし決め撃ちでやれるはず。とりあえずもう1人が戻ってくる前に人数差は無くしたい。


『設置を止められたsamurai wolfは人数的にも不利で時間も残り少ない状況。おおっと!ここでなお選手がドアをピークしていたアナグマ選手を決め撃ちで倒しました!ドローンで確認していたんでしょうか。それとも音での確認か』


HPは削られたが1人落としたボクはそのままローテ穴からの射線が切れる場所に入った。


「ジョンク。階段来てる!」


ビスモさんから報告。だけどボクの位置からはどうしようもないからジョンクさんに任せるしかない。


『ここで下にいたSilva選手が階段を上がり裏取りをしようとするが上がりきる前にジョンク選手の銃口が階段へ向いた。それを知る由もないSilva選手が顔を出すが...』


「階段上がりやった」

「うわっ!ごめん。詰められた。クソエイムだったわ」


2v2。解除キットは反対側のボムで残り20秒。音がしたから1人は管理者にいて。もう1人はそのまま仮眠から事務に回ってB側に行くかもしれない。


「これって仮眠にドローンとか置いてあります?」

「あるよ」

「来たら教えてください。ジョンクさん管理潰そう。ドアから出て」

「おけ」


ジョンクさんはドアから出てボクはローテ穴から。


「もう1人仮眠いるよ」

「今のうちに潰そ!」


そしてジョンクさんと同時に管理をピークする。相手の視線はジョンクさんに向いていたが彼女をやる前に2人分の火力で落とすことが出来た。だが直後、事務の割れた補強壁側からの銃弾がジョンクさんの残りHPを刈り取っていく。そのまま管理に入ったボクは残り10秒の時間を確認すると残り1人を倒すためそのまま相手が通った道をなぞるように進行した。多分、壁が無く管理から射線が通りピークできることを考えたらそこに留まらないはず。だとしたら待ちで敵を迎え撃ててそのまま時間切れも狙える場所にいるはずだからそこは仮眠しかない。仮眠で確定するとしてその中で事務からと小部屋からの入りを見れる場所はあそこか。でもそこまで相手がマップを把握しきってる保証はない。だけど待たれてるなら決め撃ちするしかないか。


『さぁ。早足で進行していくなお選手。それを仮眠室でkei選手が待ち構えます』

『これはなお選手。さすがにキツイか』

『そしてなお選手が仮眠室前まで来ました』


一応入り口から見える範囲で確認をするがいない。やっぱりあそこだと思う。居なかったらもう時間切れだ。


『入り口から中を軽くチェックするがそこにkei選手はいません。位置的にもかなり優勢ですよ。これは勝負が決したか?』


ボクは思い切って入って左奥にあるベッド裏へ決め撃ちをした。あそこで待つならしゃがんでいるだろうという予測を信じてヘッドラインをしゃがみに合わせる。


『なお選手これはkei選手側を見ているのか?そしてそのまま仮眠室に入り。決め撃ち!なぜだ!なお選手まさかのkei選手の位置をしっかりとらえていました!いえ、とらえていたのかは分かりませんが見事にジャストな決め撃ちでkei選手を倒しました!』


「えぇ!やばっ!」

「ないす!なお」

「なお君ナイス!」

「えっ!何で分かったの!?スゴイなぁ」

「勘だったんですけど。当たって良かったです。はぁー。ほんと良かった」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る