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Japan cup ver.2 Day3。午前中に準決勝をやって午後に決勝。この日で全てが決まる。準決勝第一試合。samurai wolf対一歩千金。一歩千金はクラマスのアナグマさんを頭脳とした戦術的なチーム。それにトップラスのエイム力を誇るrin選手を加えることでその強さは増している。rin選手を飛車とするならアナグマさんは角。いや、攻め守りをこなしながら全体に指示を出す金かも。じゃあ彼らが守る王は勝利?クランそのもの?分からない。でも多分ボクらが勝つには相手の戦術に対応しつつrin選手をどう止めるか。言葉にするのは簡単だけど実際にやるのは難しい。でもボクらにはそれらを無視して圧倒的力でねじ伏せることはできないからそれしかないならやるしかない。
『さぁやってまいりましたJapan cup ver.2 Day3準決勝第一試合samurai wolf vs 一歩千金。この勝負を制した方が決勝へ進出となります』
1マップ目は相手の選択マップでボクらはまず防衛。手順通りに準備を進めていく。
『そしてラウンドが開始し一歩千金動き出しました』
試合動画とかで見た事あるけど実際に攻めを受けるのは初めてで何て言うんだろう。徐々に追い詰められていき気が付いた時には逃げ場を失って王手をされるようなそんな攻めだった。ゴリ押しはせず1歩1歩崖際に追い込み逃げ場を無くしたところを確実に仕留める。その手際の良さはさながら熟練のハンターだ。しかも2ラウンド目も同じ感じで攻められたが要所要所だけ変えることでこちらが1ラウンド目の記憶を活かして戦おうとしても見事にスルリと躱された。
「次、防衛場所変えない?」
「ボクもそれがいいと思います。もしまた似た攻めされても対応できなさそうなので」
「じゃあ2階にしようよ」
2ラウンド連続で落としてるしボクらは3ラウンド目は防衛場所を変えてみた。だけどまるでそれを読んでいたかのように相手も構成を変更。結局、完璧な攻めを通され3:0という結果で攻守交替。この3ラウンドはアナグマさんの手の平の上で踊らされていた感じだった。そして攻撃もそう簡単ではなく1本目は設置までいけたものの結局全滅からの解除で取られてしまい4:0。だけど2本目にしてやっと1ラウンド取り返すことが出来た。でも最後はごり押しで何とかもぎ取ったって感じ。
「次の攻めどうしようか?」
「なんかどの攻めしても上手く合わせてきそうですよね」
多分アナグマさんはボク達のオフライン出場が決まった時点で色々と情報を集めてたんじゃないかな。だからやる事がある程度分かってると思う。だとしたら作戦通りやってもダメか。なら...。
「3方向凸しませんか?」
「そんなのやったことあったっけか?」
「ないけど、ボクらも初めてすることなら相手も予測の対応はできないんじゃないかなって。それにボクら凸とか全然しないし」
「上手くいくかな?」
「いいんじゃない?さっきも結局最後ゴリ押しだったし」
「じゃあ配置はどうしましょうか?」
「えーっと...」
『現在スコアは4:1。一歩千金がリードしている状況です。そしてsamurai wolfが3本目の攻撃が始まりました』
『samurai wolfは結構苦戦していますね。やりたいことができていないといったところでしょうか。一歩千金の蜘蛛の巣のような戦略からどうにか脱しないとこまま喰われてしまいますよ』
『やはり経験の差が出ているのでしょうか。さぁボム横のゲストルームを制圧したsamurai wolfはBボムの壁裏に3人集まっています。それとジョンク選手となお選手がそれぞれ別方向の窓で何かを待っているんでしょうか、辺りを警戒しています』
このラウンドが始まる前に話した配置にボクを含めみんな到着した。成功するか分からないけど即興で何かをするって楽しい。
「準備がいいなら行くけど?」
「ボクはおっけーです」
「私もいつでも」
「じゃあ行くよ。3.2.1」
『壁を割り始めましたが近くに3人固まり、ビスモ選手はフラッシュを構えてますね』
『これは凸でしょうか?』
『そして壁が割れた瞬間にフラッシュを放り込み一気に駆け込んでいった!銃声が飛び交います!おおっと!そして一歩千金が凸側に寄り始めたタイミングでジョンク選手となお選手が同時に侵入進行していきます!』
窓のバリケードを割り一気に入り込む。事前に仕込みドローンで中は確認済みだから勢いよく突入できた。
「子ども2と謎通路1」
「あとベッド1」
「謎通路倒しました」
「ベッドもやりました」
「子ども囲んで一気にやるわよ。アニは設置」
「分かった」
ボクが謎通路とのローテ穴をジョンクさんがベッドとのローテ穴をビスモさんが入り口でアニさんが設置とカズがそのカバー。子どもの2人を囲み人数を割けるうちに一気に潰す。
「グレ投げますね」
「出てきたところやる」
「こっちからも見てます」
ジョンクさんがピンを抜き良い場所に転がした。
『追い込まれたところに容赦ないグレネード!これは出てこざるを得ません。だがビスモ選手となお選手がそれを待っておりキルされてしまいました。既に設置も通り残されたrin選手はかなり厳しい状況です』
『さすがにrin選手といえどこれはキツイですね』
『そうですね。そしてまずは上に上がろうと試みるもなお選手のロックにやられてしまいました』
4:2と取り返したもののそれからの快進撃はなくそのまま1マップ目は一歩千金が勝利。そして2マップ目ボクらの選択マップで先に防衛。最初の2ラウンドは1マップの再現をするかのように似た攻めに2ラウンドもっていかれた。
「これもうあっち側固くしていいんじゃね?」
「また似たやつできそうだもんね」
何か策はないか2ラウンドの攻めを思い返していると既視感に似た少し引っかかるような感覚に襲われていた。すぐにその感覚に目を向けてみるとそれは既視感じゃなくてやっぱり記憶が刺激された感覚だった。
「ちょっと待って」
「どうした?」
「これ次、逆攻めくるかもしれないです。前に似たようなことやってる試合見た事あるんですよね」
「それってもしかしてK.A.Kとの試合か?」
「そうそう」
「確かに外してきそうな感じもするわね」
「じゃあ逆側を固めにしようか」
この選択が功を奏すればいいけど。
『samurai wolfは同じ防衛拠点ですがさっきとは逆側を固めてますね。これはどういうことなんでしょうか?』
『何か意図はあると思いますがどうなんでしょうか。あれ?だ~ぼんさん。これ一歩千金のわきが変ってますよ』
『もしかして攻め場所を変えたんでしょうか?ということは。samurai wolfはそれを読んで逆サイドを固めてたと!』
『だとしたら素晴らしい読みですね』
一歩千金は読み通りっていうよりは勘と言うほうが近いけど、さっきとは真逆の攻めに変えてきた。でもこっちは準備満タンで迎え撃つ。
『2ラウンド連続でA攻めを通してきた一歩千金は3ラウンド目にしてガラリと目標を変えましたがそれを誘ったと言わんばかりに万全のsamurai wolfが迎え撃ちます』
不意打ちは喰らわなかったからあとは押し切られないようにしないと。
「冷蔵来るかも」
「ボク行きます」
冷蔵への階段近くにハイドする。少しして足音が聞こえてきた。さすがにそのままは来なくて一度ドローンを回し始める。バレるな。そう願いつつハイドし続けるがドローンの赤目と目が合った。すぐに破壊し階段上をピークした。そして相手が様子見のクイックピークをした瞬間、無意識レベルの反応が出てその一瞬を逃さず頭を撃ち抜く。気が付いたら撃ってたし正直自分でも強いと思ってしまった。でも同じことをやれと言われても無理だろう。驚きが物凄かったけどまだ試合中だからそれは抑えて報告だ。
「冷蔵やった」
「ないす!」
「メイン階進行」
「裏取りできるかやってみるわ」
とりあずそのままそのラウンドは取ることができてなとか2:1で踏みとどまった。それからのラウンドはなるべく一歩千金を真似して相手にやりたいことをさせないことを意識した。あとはいつもはしないプレイをしてみたり、今まで慎重だったところで大胆にプレイしてみたりその逆とか。とにかく相手が読みづらい動きをした。それと今まで見てきた一歩千金の試合を思い出しながら彼らの動きを読んでみたり。色々とあの手この手を使いながらなんとかランドをもぎ取っていき最後はマッチポイントからのマップ勝利。
『さぁこれで1:1。次は自動生成マップ。運命の第三マップを制し決勝へと進むのは一体どちらのチームなんでしょうか!?』
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