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2マップ目でSoは守りを少し変えてきた。
『TPさんスノーフレークは守りを広くしてきましたよ』
『そーですね。これはAPACでOFGもやっていた守りですね。彼らは時間を使わせながら徐々に防衛ラインを下げていきましたがスノーフレークも同じなんでしょうか?』
現地が少ないなら直でボムを攻めればいいと思ったがそうはいかないようだ。
「これ壁開けて外から射線通してるな」
「じゃあ周りを取らないときついわね」
「上はいないっぽいですよ」
「ホールを突き下げしつつ進行と隣のバーから入りロックして逃がさないようにしましょう」
「僕がバー行くよ」
ホールに2人いてエントリー【攻撃側が外から建物内に入ること】すらさせないようにしている。現地に入ったとしても彼らが寄って来て壁に開けた射線から設置だったりカバーだったりを倒してしまうはずだ。だから周りを固めてから設置したほうがいいかも。
『samurai wolfはまず、ホールを取る作戦のようですね』
「ホールを取ってそのままB周辺を固めてから設置という流れにしたいんじゃないでしょうか。上と隣部屋そして正面の3方向から圧をかけるみたいですね」
『ですが上にはRino《りの》選手がいますので恐らくジョンク選手とぶつかるんじゃないでしょうか』
『報告が入り次第他のメンバーもホール側のカバーに行くと思いますよ』
ジョンクさんが上に入って突き下げを始めたら逃げると思ったが意外にも中に留まったままだった。
「ジョンクさんまだ動いてないからやれるかも」
「おっけ。あっ、待って足音近い」
『ここで報告を受けたのかRino選手が突き下げをするジョンク選手のすぐ隣の部屋まで来ました』
『これ今ジョンク選手は1人なので下は見れませんね。まずRino選手をどうにかする必要がありますね』
「俺ジョンクさんのカバー行くからアニさん裏取り気を付けてください」
「おっけ」
『ここでカズ選手がジョンク選手のカバーに向かうが。おっとRino選手が勝負をしかけようとしてますね。第六感でカバーが来るのを感じ取ったか?』
『ちょっかいだけをかけて時間を稼ぐ可能性もありますが、そうすると下にいるカプラ選手とシェルバ選手がやられてしまいますからね』
『2人が逃げないということは上はRino選手が対処するということなんですかね?』
『恐らくそうだと思います。と言っている間に撃ち合いが発生してますね』
『HP的にはほぼ互角。痛み分けといったところでしょうか。ですがRino選手引く様子はありません』
『倒し切るならカズ選手が到着する前に仕留めたいですね』
『ここでRino選手壁に穴を開け別方向からピーク。ジョンク選手空いた穴に一瞬エイムが向くがすぐに入り口へフリック!だが既にRino選手は部屋に入っておりダメージは少し与えられましたが倒されてしまいました』
『ですがカズ選手が1歩遅れて到着しましたね。これはカバーできるのは無いでしょうか』
『なんだそれは!カバーに来たカズ選手をまさかの返り討ちにしました!とんでもない決め撃ちを見せましたRino選手!』
『いや、今のは勝てませんね。カズ選手からしたら覗いた瞬間にやられたわけですから』
『まるで相手が見えているかのような素晴らしい決め撃ちでした』
『ぼくもねランクでああゆうキルみたことありますよ。チーターがやってました』
『チーターってッTPさん。まぁRino選手は使ってないことを祈りましょう』
上が潰されてしまいこのまま下を潰すのが難しくなったボクらは作戦を変えたが結局そのラウンドは落としてしまった。このマップでSoは全体的に広く守るやり方でエントリーから苦戦した。かといって現地に直で行ったとしてもその対処もしてある。頭を悩ませたが結局攻撃は通せなかった。だけどその分、防衛を頑張り何とか3:3に持ち込んだ。それからは結構拮抗しててラウンドの取り合い。そして拮抗する中ボクらが先にマッチポイントになった。ボクらは防衛。Soは攻撃。遊撃が1:1交代をしたぐらいでそのまま4:4の状態で相手が詰めの段階に入った。
『人数的にはイーブンですがSoは詰めが上手いですからね。samurai wolfはキツイのではないでしょうか』
『残り時間も少ないのでRino選手が辿り着き次第、詰め始めるでしょう。という間にSoが詰め始めましたね』
『投げ物と同時にカプラ選手が先陣を切ります。そしてプロング選手が設置と全体をカバーするシェルバ選手。まずカプラ選手がカズ選手をダウン!続いてアニマル選手と撃ち合うが一旦棚裏に隠れます。その間にシェルバ選手も詰めていく。そしてカプラ選手がもう一度顔を出し...。おおっと!シェルバ選手がカプラ選手を撃ち抜いてしまった!』
『カバーしようとしてタイミングが被ったかもしれませんね』
『そんなアクシデントの中、設置は通りましたが直後にプロング選手が下からの爆発で飛ばされあっという間に4v2となりました』
突然の人数有利だったけどそこはちゃんと有利を利用した。しかも残りの2人も離れてたから人数は割きやすかった。そして2ヶ所で2v1を作り慎重かつ確実にキル。
「やった!」
「今のはラッキーだったわね!」
「よしゃーー!!」
「はぁー。勝ててよかったぁ」
「最後のは相手のミスもあったけど勝てた。よかった」
準々決勝も勝ててまずはホッとしてる。最後は相手のミスから崩せたけどマッチポイにもっていくまでかなり頑張ったしその分の達成感とかあって嬉しい。とにかくこれで決勝に1つ近づいた。
『samurai wolfがSoを倒し見事準決勝へ駒を進めました。今大会のダークホース、samurai wolfの快進撃はどこまで続くのか。準決勝にも期待が高まります』
試合を終えたボクらはまだ冷めやらぬ興奮を抱えたまま控え室に戻った。
「準決勝進出だぁ!」
「嬉しいのは分かるけど声デカすぎ」
「でもこれであと一回勝てれば決勝ですね」
「次当たるってどこなの?」
「次は一歩千金対T5の勝者です」
「でも準決って明日でしょ?」
「そうですね。準決勝と決勝は明日です」
「んじゃ。とりあえず最終日まで残れたってことか」
「それじゃあ今日の所はもう着替えて試合観戦するだけかぁ。少し気が楽になったかな」
とりあえず4つしかない控え室を開けないといけないから着替えをして荷物をまとめる。そして飲み物を片手に残りの試合を観戦することにした。残りはK.A.K対sky birdsと一歩千金対T5。K.A.K対sky birdsの勝者がOFGと一歩千金対T5の勝者がボクらと。そしてその勝者同士が決勝の地でぶつかり合う。もうここまで来たらそのまま決勝まで。いや、優勝したい。
『勝者、K.A.K!これでOFG対K.A.Kの準決勝が決まりました!』
正直に言ってここまで、優勝したいとは思っていたけど心のどこかでは無理なんじゃないかって思ってた。だけどここまで来れてやっと分かったんだ。ボクらでもやれる。優勝は狙える。そう心から思えたらより一層やる気が出てきた。今まで何かで賞とかも取ったことないし何かで1番になったこともない。ただ喜ぶ人達を陰から見ていただけ。羨ましかったしみんなから称賛されるのってどんな気分だろうって思ってた。そう。いつも思うだけ。だけど今回は違う。ボクにもそのチャンスはある。絶対次も勝って決勝へ。
『そして最後にrin選手が大和選手を倒し試合終了!一歩千金が準決勝へと駒を進めました。さぁこれで明日のチームが全て出そろいました。samurai wolf、一歩千金、K.A.K、OFG。どうですかTPさん』
『そうですね。やはりプロアマ関係なしの誰でも参加できる大会ではありますが当然と言えば当然なんですが最終的にはプロが残りますよね。これはぼくを含めみなさんがほとんど予想していた通りです。ですがどうですか?samurai wolfという未知のチームがここまで上がってきました。NOVAやSoを倒した今、彼らの実力は本物でしょう。やはりこのような未知のチームが突然現れ大会をかき回すというのは見てても面白いですからね。プロだけが勝ちあがるのがつまらないという訳ではありませんがこういうチームが現れるのは嬉しいです。だ~ぼんさんも実況してて楽しいんじゃないですか?』
『楽しいですね!正直に言うとこういう戦隊もののブラックみたいなのが大っ好きなんですよ。なのでめっちゃ興奮してますね』
『分かります!ついつい応援しちゃうですよね』
『分かってくれます?他のチームももちろん応援しているんですがsamurai wolfには実況解説共に期待していますとうことで...』
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