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予想通りというより分かってたことだがOFGとスノーフレークの試合は最初からいい試合だった。
『おおっと!ここで遊撃の46n選手が裏を取りFON選手を落とした!だがそこをDB選手がカバー。ですがDB選手も大分ダメージを受けてしまいました』
『FON選手を落としてDB選手に大ダメージ。しかも時間も使わせてますから遊撃としてはかなりいい仕事をしましたよ』
内容的にはどっちが勝ってもおかしくないラウンドばかりだったが結果だけをみればそうでもなかった。
『残り時間も少ないですが..。おぉとっ!DB選手が強気なピークでボム中を1枚カットしてそのままカバーの六華選手も落とした!この男にHPは関係ないのか!』
『いや。何であんなに強気にいけるのかも何で今の勝てるのかももうわかりませんね』
『その間に設置のkakian選手がカットされKnBee選手がそれをカバー。DB選手もさすがにやれれてしまうが最後にはーみん選手が777《ななね》選手をカットして試合終了』
2マップを制したOFGが準決勝に駒を進めた。
「やっぱつえーなOFG」
「次はいよいよ私達の試合だぁ」
ジョンクさんの声は少し緊張に震え気味だったけどその気持ちはよくわかる。ボクも既に心臓が飛び出そうだ。第一試合終了後、次試合のアナウンスが流れボクらは選手控え室に向かった。スタッフの方からステージの準備ができ次第知らせると言われその間は控え室で待機。ボクらは他のチームみたいにユニフォームがないから一応適当なスポーツウェアで揃えた。控え室内にはその為のか分からないが仕切りがあり分かれて着替えをしてスタッフを待っていた。しばらく緊張の中で待機しているとドアがノックされスタッフが顔を覗かせる。
「ではsamurai wolfのみなさんご準備お願いします」
ついにボクらの試合の時間だ。はち切れんばかりに心臓で少し手が震える。
「あぁ~やっと俺たちの出番かー。――よし!やるぞ!」
「私。緊張で何もできなかったらすみません」
「ほら。チョコ食べたら緊張和らぐらしいわよ」
その言葉の後にボクの前にもチョコが滑ってきた。
「それ食べていくわよ」
「あれ?僕も緊張してるんだけど僕にはないの?」
「自分で取りなさいよ」
「えぇー。ケチんぼだな」
「おーい!早く行こうぜー」
ずっとここに居るわけにはいかないし準備しに行かないといけないから勇気を振り絞りマウスとキーボードを持ってステージへ向かった。観客席には休憩中だったから少しまばらにしか人が座ってなかったけどボクにとってはこれでも大勢で、そんな大勢が見るステージに上がるなんて緊張しないわけがない。そもそも誰かが見ているステージに上がるのなんて学芸会以来だ。その多くの視線にビビりつつも席に座り設定やら何やらの準備を始める。いつも通りの設定をして操作感を確認したボクは何となく横を見た。当たり前だが少し離れた場所では同じくSoが準備をしている。シェルバさん率いるSoは最後の詰めとか一点突破が強いチームだ。ゴリ押しっていうよりはカバーなどの連携がスゴイ。チーム最年少のカプラさんはシェルバさんの妹で少し前に入ったのにも関わらず既に大黒柱としての頭角を現しているらしい。最近注目されてる選手だ。兄がチームのクラマスで妹がエースってすごいな。でも確かJapan cup ver.1の時、桃太郎のメンバーとして出てたはずだけどその時は別のチームにいたのかな?そんなことを考えている間にみんなも準備が終わり後は開始を待つだけ。
『さぁ!続いて第二試合は、samurai wolf対Soの対戦になりますね』
『このチームは初めて見ますけど』
『グループCでNOVAを倒して上がってきたチームですね。他の大会での優勝経験もあるNOVAを倒したということはそれだけの実力はあるってことですよね』
『この大会のダークホースといったところでしょうか』
『非常に楽しみです。ダークホースsamurai wolf相手にSoはプロの意地を見せられるのか。では準々決勝第二試合samurai wolf対So。グットラックハブファン』
1マップ目はボクらの選択マップで防衛から。準備時間は打ち合わせ通りに動く。とりあえずこの時間に深呼吸しつつ指をちゃんと動かしとかないと。
「誰かここに盾ちょうだい」
「アタシ置くわ。どこ?」
「いつものとこっす」
「おけ」
「結構ガツガツ当たって終盤までに人数有利とかの有利作っておきたいね」
「そうですね。So相手には消極的なプレイしてたら最後キツイですし」
「じゃあ時間稼いだらキル取りにいってみるわ」
「でもあんまり無理はしないでよ」
「はいよ」
ビスモさんのチョコのおかげか1ラウンド目からちゃんと落ち着いてプレイすることが出来た。頭も回ってたしエイムも悪くない。動きを予測して裏取りを押さえることも出来た。
「今のナイス!裏取られてたら崩れてたな」
「僕とカズ君はこっちで手一杯だったし」
「予想が当たって良かったです」
無事最初のラウンドを取ることが出来たが相手はプロ。やはりそう簡単に行くはずはなかった。
『これは早い段階でカプラ選手が遊撃のビスモ選手を仕留めました』
『シェルバ選手との素晴らしい連携でしたね。今のはさすがにキツイでしょう』
『1人を落として人数有利となりましたSo。これからじっくりと制圧の準備を整えていくのでしょうか』
『おっとだ~ぼんさん!カプラ選手がこれ静かに中央階段を上がってますね』
『これは忍び込むつもりでしょうか?』
『まだ拠点には圧がかかっていませんからね。まだ来ないだろうという虚を突こうという考えかもしれません。リスキーな気もしますけど』
『ですがカプラ選手手前で止まりましたね。――その間に他のメンバーが拠点を開けま...したね』
『あっ!爆発のタイミングで入りましたよ』
『おっと爆発音のせいで気がついていないか?いやカズ選手がこれ警戒してますね。だかもうそこではカプラ選手が待ち構えているぞ!カプラ選手が今、視界に捉え...て見事頭を撃ち抜きました』
『この時間帯で今の位置にまさか敵がいるとは思いませんよね』
「うわっ!もう入ってる」
「うそ!カズのとこ見ます」
「ジョンクさんきついから戻ってほしい」
「分かりました」
『さぁ今のキルを合図にカプラ選手は一気に進行します。それに合わせるように開いた壁から他のメンバーも進行を始める!――そのままあっという間にボムを制圧され残りは外にいたジョンク選手だけとなりました』
『設置も入りこれは厳しいですね』
『――ジョンク選手1人はもっていくがそのカバーにやられラウンド終了。結構テンポの速い攻めでしたね』
『そうですね。カズ選手がやられた段階でジョンク選手も戻り始めてはいたんですがその前に制圧されてしまいましたね。アニマル選手もガスで足止めをしようとしたんですが少し遅かったですね。走り込んできたシェルバ選手にやられてしまっていました』
『もう少し早いタイミングで壁側を足止めできれてばカプラ選手を孤立させられたってことですか?』
『少なくとも1on1にはもっていけましたね。後ろも入られてしまったのでなお選手は素早く処理しないといけなくなりそれで焦った可能性はありますね』
それからも3ラウンド4ラウンドとボクらにとって決して楽じゃない戦いは続いた。
「あーごめん普通に撃ち負けた。セキュリティ最低でも2はいる」
撃ち合いに関しても気を抜けば、いや、気を抜かなくても全然負ける。タイミングだったりどう立ち回るかをしっかり考えないといけない。相手の動きを読んで裏をかいたりその更に裏をかいたり。読み合いだ。
「誰かこっちカバーしてもらえますか?」
「ごめん。僕ロックされてて動けない。あー。下からやれた。下に1」
「――ごめんなさい。下やれませんでした」
でもボクらもやられっぱなしってわけじゃない。
「ビスモさんボク適当に撃ち込むんでそのタイミングで飛び出してください」
「おけ」
「3.2.1」
「――チッ。2人いたわ。だけど1人やった」
「その1人やりました」
「それはナイス飛び出しだわ」
「こっちも1人やったよ」
「1人B窓いるわ。ジョンクさん飛び出したらそれ喰える」
「――やった。あぁ。けど帰り待たれてた。ラスト倉庫廊下」
「りょーかーい」
ラウンドはどんどん進んでいき1マップ目は何とかボクらが取ることが出来た。これで2マップ目は少し余裕をもってできる。でも気は引き絞めていかないといけない。そして2マップ目が始まると1ラウンド目からさすがって感じがした。特に焦りも感じないしいつも通りのSoのプレイ。さすがだ。それから1マップ目同様に2マップ目も気の抜けない戦いが続く。
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