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決勝戦は結構盛り上がり優勝したのは『NOVA《ノヴァ》』。このチームは大会とかでも上位によく入っているのでよく覚えてる。


『優勝はNOVA!おめでとうございます!さぁ、実は優勝したNOVAにはこれからスペシャルマッチを行ってもらいます』


司会のその言葉にボクらだけじゃなくて会場中、NOVAの面々も戸惑いを隠せなかった。そんな少しざわつく中、司会は対戦相手をステージに呼ぶ。


『その対戦相手は、この会場に知らない者はいないでしょう彼らです!』


そして会場を煽るようなBGMと共にステージに現れたのは、OFGだった。彼らの姿に会場中が盛り上がる。それだけで彼らの知名度と人気が伺えた。


『実は優勝にはもうひとつ賞品がありまして、それが国内最強と言っても過言ではありません。彼らOGRES FACE GAMEINGへの挑戦権です!』


まさかそんな賞品もあったなんて羨ましい。


「へぇー。すごいわね」

「プロの洗礼を受けるか、ここでOFGを負かして勢いをつけるかって感じだね。どっちにせよ盛り上げるには最適ってわけだ」


そんなスペシャルマッチはOFGが実力の差を見せつける結果となった。もちろんボクも含め会場中が盛り上がったのだがOFGとNOVAの対戦を見てて何か胸の中で燃えるモノがあるのを感じた。そして対戦が終わり選手が握手を交わしている姿を見ながらその胸の中で燃えるモノを無意識で口にしていた。


「OFG倒したいなー」

「アンタマジで言ってんの?」

「私はプロですら勝てる気がしないのにOFGはさすがに...」

「いや、まぁさすがに勝てるとは思いませんけど一度は戦ってみたいですよね」

「俺も戦ってみてーな。強さを実際に戦って味わいたい」

「それもOFGも出る大会で勝ち上がればもしかしたらあるかもしれないね」

「じゃあまずはもっと強くなる必要がありますね」

「そだなー。もっと個人的にも上手くならねーと」

「アンタらはその前に大学でしょ」


そうだ。明日からは勉強をメインにしてヴィラインはほんの息抜き程度になるのか。はぁー。でもビスモさんも協力しくれてるからちゃんと合格しないと。


「それじゃあ。神社にでも行こうか」


アニさんがそう言って先に立ち上がりボクらもそれに続いた。神社に着くと時間帯もあるのか人気は全くいない。試練の如く冷たい風を正面から浴びながら階段を上り拝殿まで行くと賽銭箱の前で作法にしたがって合格の祈願をした。それとみんなの健康と幸運も。ボクと同じように手を合わせていたみんなが何をお願いしたのか気になるとこだが訊くのはよしておこう。そしてその日の夜から勉強メインの生活が始まった。ヴィランは全くしないって訳じゃなくて気分転換に1時間とか30分とかだけやるぐらい。あとは週1だけみんなとランクするぐらいかな。もちろん長時間はやらないけど。でも今までのプレイ時間から考えたらしてないのとあまり変わらないのかも。ヴィランの時間が減ったことでみんなと話す機会も減った。ただビスモさんとは勉強を教えてもらってたからそこそこ連絡はしてた。カズも頑張ってるみたいだしボクも頑張らないと。そう気合を入れて受験までの日々を乗り切った。受験当日。相変わらず本番の類に弱いボクは緊張と寒さで震えながら会場に向かい一応全ては出し切った。と思う。ともあれ受験が終わった瞬間は全てから解放された感じで、こう生えた翼で大空を飛んでるみたいな気分だった。それから合格発表まで合否の不安はあったものの今までの分を取り戻すかのようにヴィランをした。受験が終わり思いっきりできるヴィランは楽しかったが頭の隅で合否が顔をちらつかせ清々しくはないのが本音。そんな心の底からヴィランを楽しめてない日々が過ぎいよいよ最終決戦の日がやってきた。Gチャットにみんな集まってくれてボクとカズの合否を見守る。合否を確認するために大学のホームページを開き番号を入力。カーソルを結果を見るの上に乗せ大きく深呼吸した。そして意味はないが力を入れながらクリックし結果を見た。そこには華やかな合格の文字が。


「やった!合格だ!」

「俺もだぁぁぁ!」


ボクとカズ。2人共無事に合格。この時、本当の意味で解放感に満たされた。次の日の夜。ボクらの合格を祝ってビスモさんとアニさんが焼肉を奢ってくれた。もちろんジョンクさんも一緒に5人で焼肉。本当はお世話になったボクらがお礼をしないといけないのに。ありがとうございます。そして美味しいお肉を食べながら話題は次の大会についてに変わった。


「また大会出たいんですけどどうですか?」

「はいはい!そう言うと思っていいのを見つけたよ」


隣で大きく手を挙げ待ってましたと言わんばかりの表情を浮かべるジョンクさんはバッグからタブレットを取り出した。


「えーっと。少し先だけど。8月にJapan cup ver.2が行われる予定らしくて今回の優勝賞金は3000万!」

「つーことは優勝したら1人600万!」

「前回王者はシード枠って書いてあるわね」

「OFG対桃太郎。今でもよく覚えてます」

「今回桃太郎メンバーはそれぞれのチームで出るのかな?」

「だとしたら強敵が多くて面倒ね」

「でも彼らに勝てないとOFGにも勝てないと思うよ?」

「できれば決勝でOFGに当たるっていう熱い展開がいいなぁ」

「そのためにはまず予選で反対側になるグループにならないといけないですね」


いつの間にか話は出場が前提になってる?


「もしかして出ることはもう決定ですか?」

「アンタが出たいって言ってたじゃない。それにこんだけ大会出てるんだから一回ぐらい優勝したいし」

「俺はシンプルに大会出るの楽しいから別にいいぜー」

「僕も楽しいからいいよ」

「そもそも私が持ってきた話なんで全然出たいよ」

「じゃあどうせなら8月のJapan cupだけに的を絞って練習して優勝を目指しませんか?」


するとアニさんがグラスを持ち上げた。それに続きビスモさん、カズ、ジョンクさんがグラスを持ち上げる。そして最後にボクが持ち上げると中央に集まったグラスは心地よい音と共に大会への意気込みを語った。それから高校卒業や大学入学とかがありながらも大会にに向けて練習を重ねる。一時期アニさんとビスモさんが参加できない時間もあったけどその時は3人でできることをした。クラン戦は少し前からやっている各視点を録画する方法を引き続き行いはみんなで見返しながら色々と意見を出し合う。大まかなところはこれまでの積み重ねのおかげでできてたけどやっぱり細かいところだったり個人レベルがまだ課題のようだ。でも最近、気のせいだろうか割と撃ち勝てるようになってきた気がする。そんなことを思ってるとみんなにもそう言ってもらえた。


「なお。アンタ最近、撃ち合い強くない?」

「前と比べたら勝てるようになったかもしれないです」

「それに結構積極的に撃ち合いするようになったよね」

「確かに言われてみればそうだな」

「よくエイム練習してるもんね。その成果が出てるってことじゃない?ジョンクさんもそうだけど安定してるから最後の1人になっても安心するよね」

「ありがとうございます」


確かに毎日エイムの練習はしてるしその成果が出てることは嬉しいけど何よりみんなに認められるというか褒められるの方が嬉しくてもっと頑張ろうって思える。いつからだろう自分のためにもっと上手くっていうよりみんなに少しでも貢献するために上手くなろうって思い始めたのは。でも確実に言えるのは自分のためだけに強くなろうとしてたらもっと前の段階で諦めてたと思う。当たり前だけど上にいけばいくほど相手も強くなって上手くなってるかもしれないけどそれを実感しずらくなる。だから成長してるって感じがしなくて、しかも負けが続けば嫌になってくるけどボクはみんながいたから、みんなの足を引っ張らないように自分の感情よりただただ練習を優先した。そのおかげでここまで上手くなれたのは間違いない。でもまだまだ。せめてボクがこのチームを引っ張っていけるぐらいには強くなりたい。だからもっと練習しないと。

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