16
それから丁度3日後。ジョンクさんから決断のメッセージが届いた。
「っていうことなんですけど」
「おぉー!ついにオフ会かぁ。楽しみだなー」
「誰かの家でオフ会ってよく考えたらすごいよね。。ちょっと学生時代を思い出すかも」
「アニさんオフ会したことあるんすか?」
「いや。友達の家で遊んだりとかお泊りとか思い出すってことかな」
「なるほど」
「それで?いつにすんの?」
「それをみんなで決めたいんですけど。ボクは土日祝日ならいつでも大丈夫です」
「俺もー」
「ボクとカズは学生なんでビスモさんとアニさんにある程度は合わせますよ」
「アニ。アンタ次の休みいつよ?」
「ちょっと待って」
シフトの確認をしてるんだろう。少し間が空いた。
「来週の日曜とその次の週の水曜かな」
「その2択なら来週の日曜しかないわね」
「ビスモさんは大丈夫なんですか?」
「まぁ、大丈夫」
「では来週の日曜日ってことで。ジョンクさんの家はまた訊いておくんでそしたら教えますね」
「どうせならさ。一回どっかで集合してからジョンクさんのとこいこーぜー」
「確かにその方がいいかもしれないね」
「じゃあアニ、アンタ車出してよ」
「えぇー僕が?」
「よろしく」
ビスモさんに半ば強引に押し付けられたアニさんは渋々了承した。ボクが免許を持ってれば代わるって言えるのに。ごめんなさいアニさん。
「時間はどうしよっか?」
「お昼ぐらいからでいいと思うんですけどどうですか?」
「いんじゃない。早起きしたくないし」
「俺もー。1時とかがいいな」
「それじゃあ時間は1時にして集合場所はジョンクさんの住所を聞いてからにしようか」
「はい。場所はアニさんにお任せします」
「分かった」
来週の日曜日。1週間後に初めてみんなと会う。楽しみだけどそれと同じぐらい緊張してる。まだ1週間もあるのに。とりあえず早めにジョンクさんから住所を教えてもらってそれをアニさんに伝えた。そして少ししてから待ち合わせ場所が送られてきてあとは当日を待つだけ。その一週間はそのことで頭が一杯だった。ずっと楽しみと緊張が手を繋いでボクの周りを回ってる。早くその日が来てほしいけどもう少し待ってほしい。矛盾が絡み合うよく分からない気持ちがボクの中で渦巻いてたけど幸運なことにボクがどうであれ関係なく時間は進んでいった。そしてここ1週間の集中力を独り占めしていた予定当日。これも驚きだったのだがボクとカズは同じ杉並区に住んでいた。だから気を聞かせてくれたアニさんが待ち合わせの場所を杉並の駅にしてくれた。緊張のせいか少し早めにその駅に着くと特徴的なオブジェクトの前でみんなを待つ。その時間はこの1週間で一番緊張していて心臓は運動したみたいに鼓動して手汗はヴィランで最後の1人になったみたいにかいていた。正直、緊張しすぎてちょっと気持ち悪くなりそうだった。その緊張を少しでもほぐすために片耳にイヤホンを付けてお気に入りの音楽を聴く。ちなみに片耳だけに付けたのは声をかけられたときに気付けるようにだ。
「あっ!もしかしてなお?」
音楽を聞き始めて3~4曲目。丁度、少し心臓が落ち着いてきた頃。聞き覚えのある声がボクに話しかけてきた。その声の方向を見るとそこにはボクと同じぐらいの背の活発そうな人が様子を伺うように立っていた。声で分かるけど間違いない。この人がカズだ。
「うん。カズ?」
「やっぱそうだ!そうそう俺俺、カズカズ。いやー何だろうなこの感じ。初めましてじゃないのに初めまして感」
カズの言ってることは十分すぎるほど理解出来た。もどかしさというか気まずさというか何とも言えない空気がこの場には流れてる。
「確かにそうだよね。何か変な感じ」
「だよなー。アニさんとビスモさんはまだ来てない?」
「うん。まだ」
「どんな人なんだろうな2人共」
「アニさんはホストしてるって言ってたからやっぱりカッコいいんじゃない?」
「確かに。じゃあビスモさんは?」
「んー。ビスモさんは...」
「アタシがなに?」
するとまた聞き覚えのある声が聞こえた。隣は見てないが多分カズも同時にその声へ顔を向けたはず。そこには頭の後ろに団子を作り凛とした顔の女性が腕を組んで立っていた。
「なお君とカズ君?」
その1歩後ろに立っていた金髪のイケメン男性は女性の横に並ぶとそう尋ねてきた。声に聞き覚えあるしアニさんとビスモさんだろう。
「はい」
「どもー」
「初めまして?実際に会うのはそうだからそう言う意味では初めましてか」
どうやらアニさんもボクとカズが感じた何とも言えない感覚を感じてるんだろう。
「にしてもビスモ、よく確認する前に話しかけたね。間違ってたら変人だよ」
「声で分かるでしょ。それにただ煙草の銘柄をさん付けで呼んでる奴だったそいつよりはヤバくないから大丈夫」
確かに実際に会って新鮮だけどやっぱりいつものビスモさんだ。それがどこか安心させてくれる。
「それじゃあみんな揃ったし行こうか」
「運転よろしくお願いします」
「おねがいしまーす」
「はい。任されました」
そしてビスモさんとアニさんの後ろをついて行き車まで向かった。近くの駐車場に停めてあった車まで行くとボクとカズが後部座席へアニさんが運転席でビスモさんが助手席に乗り込む。
「まずはスーパーに寄って色々買ってからジョンクさんのとこに行こうか」
「5人分の飲みもんと食べもんなら1人千円か2千円出したら足りるっすよね?」
「いやいやお金はいいよ。僕とビスモが出すから」
「でも運転もしてもらって、申し訳ないですよ」
「いいよいいよ。僕らは働いてるし。ね、ビスモ」
「まぁお酒買うわけじゃないから値段はたかが知れてるしいんじゃない」
「ビスモだったらお酒買いそうだったからそれを聞いてホッとしたよ」
「アタシは買ってもいいけど、どうせアンタがダメって言うでしょ」
「買おうとしたら言おうと思ってた。お店とかだったらいいけど人様の家に行くわけだからね。しかも全く知らない。さすがにお酒片手にはちょっとね」
「はいはい。分かってますよ。そんぐらい」
それからアニさんの運転でボクらはスーパーに着いた。カートを押しながらみんなで食べたい物や飲みたい物をカゴに入れていく。それだけで既に楽しかった。
「炭酸はやっぱり外せないよなー」
「紅茶系も買おうか」
「お茶も1本買っておいた方がいいんじゃないですか?口の中が甘いだらけになった時とかに」
何本か2Lのペットボトルをカゴに入れると次はお菓子コーナーへ。
「アタシ辛い系食べたい気分」
「みんなポテチは何味派?俺はのり塩」
「じゃかりことかも買おうか」
「そうなってくるとチョコ系も欲しいですよね」
「アタシおつまみ見て来るわ。別にそれはいいでしょ?」
「全然いいよ。あっ!僕あのチーズのやつ食べたいからそれもよろしく」
「はいよー」
その他にもプリンとかゼリーとかシュークリームとかアニさんは色々とカゴに入れていった。そしてレジに向かう時にはカゴの中は大量のジュースとお菓子やデザートという子どもの夢で一杯だった。
「こんなに食べられますかね?」
「大丈夫だろ」
「まぁ余ったら持ち帰るかジョンクさんの家にお裾分けしてもいいからね」
そしてアニさんが会計を済ませボクはせめてという気持ちでパンパンの袋を持った。多分カズも同じことを考えてたんだろう。ボクとカズで1つずつ袋を持ってスーパーを出るとあることに気が付いた。
「そういえばビスモさんがいないですけど...?」
「あぁ。ビスモは一服しに行ったよ。さすがに2人がいる車内では吸えないからね。というか僕もあんまり車で吸ってほしくないし。まぁいいけど」
「ビスモさんも気を使ってくれてたんすね」
「というかそこは喫煙者としてのというより大人としてのマナーなんじゃないかな?」
そんな会話をしながらスーパーを出て車に戻るとそこにはすでにビスモさんがいた。
「早かったねビスモ」
「そう?別に早くしたつもりはないけど」
「まぁ早いにこしたことはないけど。じゃ行こうか」
再び車に乗り込んだボクらはいよいよジョンクさんの家へと向かった。
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