10
やる気がみなぎってきたと言ってもyearが変ってマップも変わるからそれまでは自動生成マップをメインにやる事になった。クラン戦は自動生成マップという条件で相手を探してランクでも自動生成マップを選択した。まぁランクに関しては敵が別のマップを選んだら2つでランダムだけど。自動生成は個人的には好きだ。そのマップはそのマッチしかないから感覚的には間違いが許されない本番って感じがして。何かを間違えて負けてもそのマップに関しての反省は意味ないし、同じ場面はもう二度とないからミスを次に活かすための反省の仕方が難しいんだよね。それにプロに関して言えばそれでリーグの勝ち負けが決まっちゃうから余計にミスは許されないし慎重かつ迅速にマップを理解して作戦を立てないといけない。でもボク的にはそこが見どころの1つだと思うし短時間で考えたとは思えない作戦とか見たらテンション上がっちゃう。だけど一つ思うのは人によってはマップ覚えるのがキツいだろうなってとこ。ボクは何となくでだけど覚えられるからいいけどカズとかアニさんとかは結構苦戦してる。瞬間的な記憶力とかマップ把握能力とかが必要になってくるからそこは人によって得意不得意が出てくるよね。ちなみに一番マップ覚えるのが上手いのはジョンクさん。結構細部まで覚えてるし空間把握能力も高いからそこで確実に有利が取れてる。シンプルにスゴイ。
「うっわ!そこ繋がってるの忘れてた」
「待って。階段の位置忘れたからマップ見るわ。とも思ったら終わったー」
「ジョンクさんナイスです」
ラストのキルカメラには上から床を貫通させて敵を撃ち抜くジョンクさん。
「えっ!?ジョンクさん何で分かったの?」
『houkoku saretakara(報告されたから)』
「そうじゃなくて何でその下がAボム裏って分かったの?」
『saisho ni map kakunin sitakara(最初にマップ確認したから)』
「えぇー。あれだけで覚えたの?すごい」
「あー俺もジョンクさんの記憶力が欲しい!全然覚えられない」
マップを見れるとはいえ覚えられないとキツい部分はある。
「ジョンクさんはどうやって覚えてるの?」
『wakaranaikedo oboerareru(分からないけど覚えれる)』
「センスね。というかアニとカズは覚えられなさすぎ」
「でも覚えるのって難しいですよね」
自動生成はマップを覚えられるかどうかも加味して作戦を考えた方がいいのかも。それからも自動生成マップでランクをしたけどやっぱりある問題があった。
「何か自動生成マップは安定しないですよね」
「知らないマップだから多少は仕方ないけど、何種類かマップ構造に対するパターンがあったら良さそうよね」
「こういう構造ならこういう感じで守ったり攻めたりするっていうことですか?」
「そういうこと。大まかな部分をそれにして細かい所はマップによって変えるとか」
「パターンを決めるっていうのはいいかもしれないですね」
『zidouseisei ha supi-do to seido ga daizidakara iikamo(自動生成はスピードと精度が大事だからいいかも)』
ビスモさんの提案でパターンをいくつか用意することにした。あとはあのマップに似てるとかで大体の方針を決めてしまうとか色々と攻略を話し合った。次の大会までは結構時間があるから自動生成マップに使うことができたけど、新yearが来てからは大会までの1ヶ月で3マップを研究して作戦を考えないといけなく大変。だけど1マップを重点的にやって他の2マップの作戦は一応立てた。あとは時間が許す限り作戦に磨きをかけ精度を上げ個人技や連携を鍛えていく。それらをしてるだけで新year開始から大会まではあっという間だっだ。
「ふぅ〜。オンライン予選の一回戦かぁ」
さっきから手汗はかいてるし心臓は胸から出たいって言ってるみたいに強く脈打ってる。やっぱり緊張してしまう。
「まだ緊張してんの?」
「前回ほどじゃないですけど。やっぱり大会ってランクと違って、負けたから次!って感じですぐに次の大会に出られるわけじゃないので。その一回限りっていうのが緊張しますよね」
「別に人生かかってる訳じゃないし重く考えすぎでしょ。アタシは負けたらドンマイぐらいの気持ちだけど」
「ビスモは緊張感なさ過ぎだし、なお君は少し緊張し過ぎだと思うから君ら2人を足したらちょうど良さそうだね」
『toriaezu syosen ha katitai(とりあえず初戦は勝ちたい)』
「もうちゃちゃちゃって勝ち上がって優勝しちまおうぜ」
「そんな楽なら誰も苦労しないわよ」
「やっぱビスモって物事に対して冷めてるとこあるよね。もっと赤い情熱の炎を燃やさないと」
「青い炎の方が温度は高いのよ。だからあんたみたいのバカみたいに燃え盛る赤い炎よりアタシの静かに燃えてる青い炎の方が実は注いでる情熱量は多いの」
「フゥ―!さすがクールビューティービスモちゃん!澄ました顔して実は誰よりもやる気があるってことね。実は恥ずかしがり屋さんかな?」
「は?うっざ。さっさと燃え尽きて灰なれ」
なんだろう、まだ緊張してるけどみんなの会話を聞いてたら少し落ち着いてきた。それに自然と笑みが溢れてしまう。
「そろそろ時間だー!よし!やるぞ!」
「これ負けたらアニ、ご飯奢りね」
「えっ!なにそれ!じゃあ勝ったらビスモの奢り?」
「それはない」
「不平等すぎる...」
『kondokoso katu(今度こそ勝つ)』
「よーし!頑張るぞ」
そして2度目となる大会の1回戦が始まった。予選はBO3【最大で3戦する2マップ先取】の7ラウンド先取。ラウンド延長はなし。最初はボクらの選択マップ。出だしはどちらもまずまずでラウンド3ぐらいから調子が出てきたって感じ。少なくともボクらはそんな感じだった。みんな調子は良い方だったけど特に良かったのはジョンクさん。
「これジョンクさんが裏で大分引き付けてるので一気にAポ取りましょうか」
「おっけ」
「入ったらすぐ設置するからカバーよろしく」
相手の注意がジョンクさん1人に傾いている隙を突き一気に突破してAポを占拠した。そしてアニさんが設置したがそれと同時にラウンドが終わった。
「もしかしてジョンクさんエース【一人で敵全員を倒すこと】しました?」
『sita(した)』
「俺ジョンクさんの視点見てたけど、多分先にジョンクさんを潰そうとしてたんだろうな。敵がガンガンに詰めて来てたのに全部返り討ちにしてて強すぎだったわ」
「今のジョンクは刺さってたわね」
『umaku shasenn kiretakara yareta kedo nidome ha muri(上手く射線切れたからやれたけど二度目は無理)』
「ジョンクさん射線管理上手いよね」
『zutto soropureiya- dattakara(ずっとソロプレイヤーだったから)』
「とりあえず今日はジョンクさんを中心に作戦を回した方がよさそうですね」
「そうね」
それからのラウンドはジョンクさんに自由に動いてもらってボクらがそれをカバーする形にした。その選択は正解だったらしく7:3という大差でこのマップを取ることができた。
「この勢いで次のマップも頑張りましょう」
「今の感じでいけばこのままいけるでしょ」
「でも油断は禁物だよ。ビスモ」
「分かってるわよ」
そして次は相手の選択マップ。これを落としたら次の自動生成マップを制した方が勝ちとなる。当然だがここで勝って2回戦へと駒を進めたい。その願いが通じたのかどうかは分からないが相手の選んだマップは幸いなことにボクらが2番目に得意としていたマップだった。
「これ多分ボクバレてるかも。バーのW入り口を角で待ってるから誰か突き上げられる?」
「俺がやる」
「S角だけど覚えてる?」
「何回かやったことあるから大丈夫だと思うぜ」
飛び出してくるのを警戒しつつ少し音を出している雰囲気を出してなるべくその場に止まらせる。するとグレネードの爆発音と共にキルログが流れた。
「おっけ。飛ばした」
「ナイス」
それから徐々に周りを固めていきながら敵をボム中に追いやる。
「なおこのピンのとこ飛び出し見といて」
「はい」
「ジョンク20で同時に飛び出して中のやつやるわよ」
『ok』
ボクは言われた場所を見ながらいつでも飛び出しをやれるようにする。特に気を付けるのはビスモさんが敵をやって下がった時。リロードを狙ったカバーが出て来るかもしれない。そして秒表示が20になったのと同時にビスモさんとジョンクさんが部屋に入り敵を倒した。その際にジョンクさんはやられてしまって1:1交代になったがアドバンテージはこっちにある。しかもその直後に敵が飛び出しビスモさんを狩ろうとした。だけど別方向からずっと見てたおかげでその敵は難なくやることが出来た。
「カバーした」
「ナイス」
「いい感じに挟んでるしこのまま一気に殲滅しようよ」
「そうですね」
そして人数有利と包囲しているという優位を十分に活かしてそのラウンドはボクらが取った。こっちは1マップを取っているというメンタル的余裕もあったからか多少ラウンドを取られても冷静に持ち直すことができ2マップ目も取ることができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます