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クラン戦の相手を探していると2回ほどランクを回し終えた良いタイミングで見つかった。


「あっ。対戦相手見つかった」

「やろうか」

「クラン戦かぁ緊張する」

『tanosimi(楽しみ)』

「よっしゃー」


初クラン戦の相手は、


「そくせきーず。か」

「その名の通り即席なんだろうな」

「クランって感じじゃなさそうだね」

「それはアタシ達も一緒でしょ」


そしてカスタムに両チームが揃うとマップを決めてから対戦が始まった。ルールは大会と同じ。ランク帯が同じだからか即席でそもそもクランじゃないからか結構実力は均衡してた。多分総合的なプレイヤースキルは負けてるけど作戦のおかげでいい感じなのかもしれない。


「アニさんここローテ穴もらっていいですか?」

「いいよ」

「ジョンクあそこS側のとこ守ろ。キツくなったらすぐ退くかんじで」

『ok』


みんなランクより集中してるって訳じゃないけど少しいつもとは違った感じだった。


「うわっ!当てたけどやられた。多分30カット」

「ジョンクさん退けるなら退いてほしい」

『murippoikara taeru(無理っぽいから耐える)』

「N側来ないから退くわ」

「ジョンク側に多分3人」

「それじゃあちょっとそっち側少し厚めにしようか。僕ちょっと寄るよ」


ボク的にはいい勝負をしてたと思うが結果は負け。全体チャットにはGGの文字が両チームから流れた。


「負けたか」

「でもおしかったですよね」

「取れるラウンド落としたりしたからな」

『kekkou utimaketa(結構撃ち負けた)』

「僕もカバー遅れた場面が結構あったなぁ」

「でも、いつものランクと違った楽しさがあって、負けたけど楽しかったです」


どうやらみんなも同じ意見なようでそうなると行きつくのは自然と決まってくる。


「またやろうぜー。クラン戦」

「負けっぱなしっていうのも癪だしまたやりたいわね」

「ランクとは違った緊張感で楽しかったから僕もまたやりたいな」

『kuyasii kara yaritai(悔しいからやりたい)』

「また色々と作戦立ててやりたいですね」

「とりあえず今の作戦には欠陥がある気がする」

「結構作戦が崩壊してる時あったからね」

....


作戦の問題点も見つかって、何だろう少しランクのその先に進んだ気分。それにクラン戦をしてるとランクよりタクティカルFPSをしてるって感じがする。立てた作戦を地盤にして臨機応変に対応しながら対戦する。作戦もそうだけどコミニケションや1人1人のプレイヤースキルとかのチーム力がぶつかり合ってるって感じ。そしてそれからランクを回したりしつつクラン戦も結構するようになった。これはボクがそう感じるだけかもしれないけどクラン戦を割とやるようになってからランクではシンプルな撃ち合いの個人スキルの戦いをしてクラン戦では作戦を基軸にしたチームでの戦いをしてる気がする。個人的にはクラン戦の方が楽しいかな。作戦考えるの楽しいしそれが上手くいったら更に楽しい。あとはみんなが得意な戦い方を把握するのも大事でそれぞれに合った作戦にしていい感じに成果が出た時はみんなの事が少し理解できた気がして嬉しい。今のとこ、ジョンクさんはエイムとか当て感とかいいし何よりソロでずっとやってきたから1人の動きが上手い。ビスモさんはエイムがいいし読み合いも上手くて相手の嫌がるプレイというか相手を翻弄するのが上手い。アニさんは駆け引きが上手い上に読み合いも上手いから2人に比べてエイム力は劣るけど基本的に待ちエイムとか決め打ちが刺さる。カズは少しビスモさんに似てるけど具体的に言えば途中上がりとかが上手くて何より器用だから個人的レベルの戦術を上手く変えて試合を全体でみて敵を翻弄してる。これがみんなの印象かな。今のとこはだけど。それとクラン戦をやってるおかげなのかは知らないけどランクの勝率も少し上がった気がする。


「あっ。あと1勝でキングじゃん」

「おぉー!すげー!」

「ビスモさんって今までキング行ったことあるんですか?」

「ない」

「ちなみにキング踏んだことある人ー?」


カズの言葉に返事は無かった。


「ジョンクさんの本垢って今どれぐらいなの?」

『daiya 1(ダイヤ1)』

「サブがダイヤ2だからそろそろ本垢越えそうですね」

『honaka no houga yatteru noni...(本垢の方がやってるのに...)』

「普通にソロでそこまでいけるのスゴイと思うんだけど」


それにはボクも同意だ。多分めちゃくちゃプレイしてるんだろうと思う。メンタル的な部分でもソロでそれだけプレイできるのスゴイな。そう言えばジョンクさんがインしてない時って見たことないかも。どれぐらいやってるんだろう?少なくともボク以上にはやってるよね。ボクも相当やってると思うけどやっぱり上には上がいるのか。そしてその後にビスモさんの昇格戦が始まったのだが、残念ながら結果は負け。いつも以上に勝ちにこだわってプレイしたつもりだげと結果はついてこなかった。ボクは少しだけ申し訳ない気持ちになったけどビスモさんは特に気にしてないみたい。しかもその負けを皮切りに連敗を重ねてしまいビスモさんをキングから更に遠ざけてしまった。かくゆうボクもダイヤ1から2へ転落。まぁ最近は上がったり下がったりだしいいや。そんなことを考えながら最後のランクをしてその日は終わった。数日後。ボクはいつもならヴィランをしてる時間帯だったがこの日はGWatch【ゲーム特化型の動画配信サイト】を見ていた。


「あっ!始まった!」


この日はPL【プロリーグ】APACの決勝戦。今回はOFGとFANSTIC《ファンスティック》が決勝に駒を進めた。OFGは言わずもがな日本のチームでFANSTICはオーストラリアのチームだ。その決勝戦を見てから今日はランクをすることになっている。APAC優勝とポイント、優勝賞金100万をかけての勝負だ。やはりどちらも決勝にきただけあって試合は激戦。だけど最後はOFGが逃げ切る形で優勝を決めた。


『KnBee。チャンピオンシップ【yearの最後にある世界大会】出場と優勝おめでとう』

『ありがとうございます』

『前回のAPACファイナルではFANSTICに負けて3位という結果になったけど今回はそのリベンジも果たしたね』

『そうですね。これで心置きなくチャンピオンシップに挑めますよ』

『チャンピオンシップでも見事な戦いに期待できそうだ。それと最後は自動生成マップだったわけだけどひとつ聞きたいことがあるんだ。これは発売当時から言われていることだけど、自動生成マップは運要素が絡んできて特にPLでそういうのはよくないんじゃないかっていう意見にはどう思ってるかな?例えば用意されたマップで勝っても自動生成で不得意なマップが来ちゃって負けるとか』


確かにSNSとかでもそんなことを言ってる人はみかけるけど発売当初から言われてたんだ。ボク的には面白いからいいと思うけど。


『そうですねー。率直な意見を言わせてもらうなら僕的には全然いいと思いますよ。確かに運要素があるのは認めますが僕はプロである以上いつも得意な場面やマップで戦えるとは思ってませんし、そういう状況でどう得意な状況に持っていくかどう戦っていくかも実力の一部だと思ってます。それに自動生成なので条件的には両チーム同じなわけで即興性が試されるという部分でも楽しいですね。あとはやっぱり観ているみんなは不利な状況から勝つというのが好きだと思いますし、個人的にも不利な状況っていうのは逆に燃えますね』

『なるほど。KnBeeは運の絡む自動生成マップもしっかり制してこそのプロだという訳だね』

『用意された7マップがどれだけ準備をすることができたかを試すなら自動生成マップは適応力の早さや即興性などの瞬発力を試すものだと思います』

『これはトップ選手の貴重な意見だ。それともうひとつだけ意見を聞きたいんだけど。最近esportsの人気は右肩上がりなんだけどやっぱり「たかがゲーム」という声も目だつよね。その意見にはどう思ってるかな?』

『正直、気にしてないですね。どう思うかは人それぞれなので。ですが何か意見を言うとすれば、「たかが」なんて言ってる人達には何も分からないでしょうね。そもそもちゃんと知ろうとしているのかさえ疑問です。まぁそんな人達にも楽しさを知ってもらうことがプロでありストリーマーである僕らの役割なんですけど。これからも頑張りたいと思います』

『なるほどね。少し長くなってしまったけどありがとうKnBee。チャンピオンシップでも頑張って』

『ありがとうございました』


KnBee選手のインタビューが終わるとボクはGwatchを閉じ、みんなが集まるといつも通りランクを回した。

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