第40話 ブレーカー

 給湯室に入って来たのは、ブレーカーを落とした犯人を捕まえるためにやって来たお局様達だった。


「何やってんの!!」


「前にも注意喚起あったでしょ!?」


「休憩室のテレビも飛ぶのよ!?」


 大声で捲し立てられ、コトコはパニックになってひたすら頭を下げる。


 泣きそうになりながら、前にブレーカーを飛ばしたのは別の子だったのにと歯噛みする。


 ——その子の時はこんなに怒られなかったじゃない。


 目の前が暗くなりながら、なんとか管理室へ行かせてもらい、ブレーカーをあげてもらう。


 少し安心して休憩室に戻ると、お茶汲みおばさんの声が聞こえて来た。


「——だからさぁ、私の弁当あと三十秒って所で止まっちゃってさぁ!」


 レンジで弁当を温めていたのは、お茶汲みおばさんだったらしい。


「っとに、食べられないじゃないのさぁ!」


 コトコを貶めるのが楽しくてしょうがない口調だ。悔しさと怒りとで真っ青になりながら、コトコは休憩室に踏み込んだ。


 会話がピタリと止まる。


 コトコは早めにみんなの前で謝った方が良いと思い、いつもより明瞭な声で皆に向かって頭を下げた。


「ほんとうにすみませんでした!!」


 謝罪に対する返事は、無かった。




 つづく



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