第32話 初夢


 コトコは夢を見る。


 ひどく息苦しくて何かから逃げている。見た事のないダイニングにたどり着く。どうやら誰かの別荘という事らしかった。


 見覚えのある職場のおばさん達の脇を走り抜けたから、その誰かの別荘なんだろう。


 それだけでももう嫌で仕方ないのに、なんだってこの別荘には蜘蛛がたくさんいるのか。初めは小さい蜘蛛が蜘蛛の巣と共に顔に降りかかるくらいだったのが、部屋を移動するたびに大きな蜘蛛に変わっていく。


「きゃっ!」


 ポトリと天井から落ちてきたのは、毒々しいまでの緑色の蜘蛛だった。


 足で踏みそうになる。


 いや、足の踏み場もないくらい、床の上は蜘蛛だらけだ。それも大きな——。


「……!!」


 そこで目が覚めた。






つづく





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