第19話 マリエ 2

コトコが思い出すのは授業をサボって街へ出る真理江だ。


 颯爽と歩いてたまに煙草をふかす。


 正反対の彼女に憧れて、ある日バス停で初めて声をかけた。と、言っても財布から何か出そうとした彼女がついでに小銭を落としたのを拾って渡したのだ。


「何?」


 あまりジロジロ見つめたので、そう聞かれたのだろう。コトコはしどろもどろになりながら「授業をさぼるのか」という意味のことを聞いた気がする。


「あんたは?」


「え?」


「授業あるの?無いの?」


「あ、あるけど……」


 咥え煙草のまま真理江はニヤッと笑った。


「じゃあ、行こう!」

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