第4話
気がつくと、いつのまにかガチョウはいなくなっていて、そのかわりになんともいえないピアノの音色が聞こえてきました。目を上げると、こじんまりとした、それでいてなんともすてきな白い家がたっていました。ピアノの音色はそこから聞こえてきます。
ああ、それはなんというすてきな曲でしょう。それはまるで、やさしさとあこがれを縦糸に、夢を横糸にして、あとからあとから織りあげられていく織物のようでした。
その曲を聞いているうちに、僕はこの町に出てきた頃にもっていた夢や希望を思いだしました。都会で暮らしていくこととひきかえに、いつのまにか、少しずつなくしていって、もうそんなものをもっていたことさえ、すっかり忘れていたというのに。思いがけないものをまた見つけたようで、なんだか胸の奥が痛くなってきました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます