夏休み最大の危機

はなのあ

夏休み最大の危機

俺は夏休み最大の危機に陥っていた。


 さっきまで友達と遊んでいて身体はヘトヘト。

 なんとか家の前まで到着。

 家族みんな外出中で、家は単独で使い放題。と少しウキウキ気分だったんだけども。


 家に入れない。


 別に鍵をなくしたわけでもない。

 足が溝にはまって動けないだとか、家自体が消えてるとかそんなワイルドなことは起こっていない。

 それならなぜ入れないのか。簡単だ。


 玄関の前で魔物が二匹、ウロウロしてるんだ。

 

 これだけじゃ伝わってないと思う。

 だからその魔物の名前を公表します。そうです。


        


       ――ハチ――


 です。


 ハチが二匹、悠々と舞ってるんです玄関前を!!

 

『そんなん気にせず、さっと入ればいいじゃない』

 そう思う人がいるかもしれない。

 でもそれができたらとっくに入ってるわ!!


 怖いんだ!!

 俺が出会った中で一番怖い生物なんです!!


『ハチなんかすぐ飛んでどっか行くでしょ。なら待ってればいいじゃない』

 そう思う人がいるかもしれない。

 もう三十分は待ってます!


 なぜどこかへ行かないのか。

 俺もずっと疑問に思っていた、約五分前までな!


 そして気づいたんだ。

 玄関上にあるものがある。

 その名も……ハチの


           ――す――


 です。

 ハチの巣があります。

 そんなに大きくないし、できたてホヤホヤだろうけど。

 そりゃ家から離れませんよね!!


 困ったなー。

 

 というところで目が覚めた。




 とはならんよなーー。

  

 近所の人に助けを求めたいけど、通る人通る人みんな俺を避けていくんだよ。

 見た目が悪いのか、どうなのか。

 もうそろそろ泣くぞ、おれ。


 



 何もできず玄関をボーッと眺めて二時間が経過。

 このままここに墓を埋めようとかそんなことを思っていたら……突然。


 ものすごい勢いでハチは俺に向かってきた

 やばい! そんないきなり標的を定める?!

 油断していた俺は動けずいたら……目の前で止まった。


「あれ? なんで止まったんだ?」

「さっきからずっとそこにいるけど、何してるの?」

「いやあなたがずっと家の前に……え! ハチが喋った?!」

 え、え、え、なになになに。

 俺ハチと会話してんの? こわ!


「……なんかよく分らないけど、そんなとこにいたら人間に毒をまかれて死んじゃうわよ。あいつらは本当にこわいんだから」

 そんなことを俺に告げ、颯爽と飛んでいった。


「にんげん……どく? 何を――あれ!」

 俺って飛んでる-!! 

 一体なに、あ。

 そうか、そうだったわ。

 俺って。


 ハチだったわ。

 

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