第15話 薄汚い人殺し

★★★(道本徳美)



「道本さんごめんなさい!」


「アナタのおじいさんを殺してしまったのは、アタシだから!!」


 ……別にそれ自体は腹が立ったりはしないけど。

 聞き逃せない言葉だった。


 竜征会会長を殺したのが自分だって、言ってるんだよね?


 私の家は、一度破滅してしまった。

 パパの血縁上の父親の、そのクズの悪行のせいで。


 そのときに、パパが言ってたけど。

 そいつが死んだせいで、そいつに酷い目に遭った連中が、筋違いの恨みを私の家族に向けたんだ。

 報復の可能性が全く無くなったから。


 だから引き金になったとも言える、そういう奴。

 どうでもいい話じゃない。


 死んでも別に悲しくないし、どうでもいい奴。

 目の前に居たら、私の手で殺してやっても良いくらいの奴だけどね。

 パパのお母さん……おばあちゃんの仇でもあるわけだし。


 でも、聞き流せるような相手じゃないんだよ。


「……それ、本当なの?」


 だから、こう、聞かざるを得ないよ。

 どうでもいいことじゃ無いものね。

 私がそう聞き返すと


「本当よ!ごめんなさい!」


 金髪の女の子は、そう言って顔に手を当てて、崩れ落ちた。


「あなたのおじいさんを殺したらお金が貰えるって言われたから、殺しに行ったの!」


 うう、と泣きながら。でも間違いだった、道本さんがこんなに怒るなんて、と女の子は言った。


「彼はあなたを殺すつもりでここに来たけど、アタシは謝りにここに来たの!」


 だから、あなたのお母さんにも手を出さなかったでしょ!?


 そう、彼女は付け加える。

 言って、立ち上がり。


「……正直に告白して、あなたにも謝ったわ。アタシ、帰るね」


 くるり、と背を向けて。

 彼女は走り出した。


 ……私は、あっけに取られていたけど。


 ふと、気づいた。


 あの子、自分だけは安全に逃げるために、訳の分からないことを言ったんじゃ……?

 本当は、自分も私の家族を殺しに来てて、様子を見てたら勝てそうに無いと思ったんで、体のいい言い訳を考えて、自分だけ逃げるために……


 そうだ……きっとそうだ!

 なんて汚い奴!

 生かしておけないよ!


 彼女の背中が離れていく。


 ……逃がすかッ!



★★★(佛野徹子)



 アタシは、嘘が上手い。

 相当上手い。


 正直、詐欺師で食っていく自信がある。

 しないけど。


 道本さん、引っ掛かってくれた。


 命惜しさに苦しい言い訳を並べ立てて、逃げ出すクズだと思い込んで、アタシを狩ろうと追いかけてきてる。

 エンジェルハィロゥのエフェクトで、後ろの様子を見ながら、引き離さず、10メートル圏内に入らない位置をキープして逃げ続ける。


 道本さんは目覚めたばかりのはずだから、シンドロームの知識は無いはず。

 さっきの回避行動で、知識があればハヌマーンを疑われたかもしれないけど、それが無いならこの状況を不自然とは思わない……ハズ。


 調整しつつ走りながら考える。


 アタシが時間を稼ぐ。

 そうすれば、きっと文人が……。


 ……ここで。

 アタシは余計なことを考えてしまった。


 アタシだけが幸せに生きるには、本当に、余計なことを。


 文人が……


 ……どうなの?


 殺してくれるの?


 従者と……道本さんを?


 その言葉が脳内に流れたとき。

 アタシの中で、何かが言ったんだ。


 あれ……?


 あれれ……?


 それ……裏切りじゃ無いの?って。


 アタシは気づいてしまった。

 彼だって、嫌なはずなんだ。

 道本さんを殺すのは。


 それなのに、アタシは……


 それを、全面的に彼に押し付けようとしている。


 黙って、耳を塞いでいれば、文人が嵐を追い散らしてくれる。

 それを期待して、自分が傷つかない選択を取ろうとしてる。


 アタシは……震えてしまった。


 ……最低じゃん。


 どこが……相方よ。パートナーよ……!

 やってること、牝豚と一緒じゃん。

 最低だよ……最低……!!


 それに気づいてしまったとき。


 急に、足がもつれはじめた……



★★★(道本徳美)



 逃げてる金髪の女の子。


 急に、速度を落としていく。


 ……スタミナ切れ?

 まぁ、いいや。


 おかげで、ぐんぐん距離が近づいてきた。

 私は気合を入れる。


 万が一にも回避できない距離に近づいて「氷結結界」を発動させてやる!

 その瞬間を想像すると、わくわくしちゃう!

 汚い奴め!死ねばいいよ!


 10メートルの距離に近づいた。


 まだよ。もう少し。


 9メートル。


 まだ、もうちょっと。


 8メートル。


 あと一息。


 7メートル。


 ……ここよ!!


 足に力を籠め、振り上げる。


 氷漬けになる瞬間を見てやる!

 どんな風に凍るのかしら!?


 死ねっ!


 そのときだった。


 ドススッ!


 背中に衝撃を感じ。


 同時に私の胸から……刀の切っ先が数本、生えた。



★★★(下村文人)



 ……危なかった。


 背中ががら空きになってた道本さんに、複数の棒手裏剣を投擲し、リリースする寸前に日本刀に再錬成するいつもの技を叩き込み、仕留める。

 それがギリギリ間に合って、僕は胸を撫で下ろした。


 何考えてんだ、全く。


 急に、速度を落とすなんて。

 完全に殺されるコースだった。


 道本さんが念を入れたのか、余計に距離を詰めて来ていたから良かったものの。

 完全にエフェクトの射程圏内に入ってた。


 僕の投げた日本刀複数に背中から貫かれて、ドシャ、と道本さんはうつ伏せに倒れた。

 同時に、従者2体が血液に変化し、バシャ、と消滅する。


 僕は立ち止まっている徹子に歩み寄り、一言文句を言ってやろうとする。


 意味なく命を危険に晒すな、と。


 お前の体力なら道本さんの射程圏外を保ちつつ、逃げるのは余裕のはずなのに。

 何追いつかれてんだ!?ふざけんのも大概にしろ!!


 そう言ってやるつもりだった。

 許せなかったから。


 背中を向けて俯き加減で立っている相棒に近寄って……振り向かせようと手を伸ばしたときだ。


「……ごめん」


 相棒が、徹子が謝って来た。


「……何故全力で走らなかった?」


 謝る意味が分からない。

 程度低く聞こえるから言いたくないんだけどな。


 謝るくらいなら最初からするな。


 それ以外言えない状況だろ。これは。


「……アンタに嫌な事全部押し付けて逃げてる自分に気づいた」


 ……は?


 肩を震わせながら、背中を向けてそういう徹子。


「アンタだって、道本さんを殺すのは嫌なはずなのに、私は全く手伝わず……全部アンタに……」


「あのな」


 僕はため息をついた。


「お前がこういうことに向いて無いのは養成所のときから知ってる。今更だ」


 僕がそう言ったときだ。


 徹子が振り返って来た。


 徹子は……涙ぐみながら、怒っていた。



★★★(佛野徹子)



 そんなの、パートナーじゃなくて寄生虫じゃん!

 許容しないでよ!!


「お前がこういうことに向いて無いのは養成所のときから知ってる。今更だ」


 ……メチャメチャ身勝手だけどさ。

 彼のその一言が許せなかった。


「……なじって欲しいんだけど」


 彼を睨みながらアタシは言った。

 役立たずと言って欲しかった。

 お花畑女って言って欲しかったよ。


「……断る」


「なんで!?」


 嫌そうにそう言う彼に、アタシは食って掛かった。

 すると彼は面倒そうに


「……直接的に何かをやることはできなくても、やれることはある」


 くだらないことを言わせるな、という風だった。


「僕一人に全部押し付けて自分は逃げ出す女だと思ってたら、お前のことはそもそも相棒だと呼んではいない」


 ……アタシが嘘で道本さんの注意を引いて、引きつけただけで十分だって言いたいの?


 見ると、彼。


 学ランの肩のあたりが切れていた。

 血が流れている。止まりかけていたけれど。


「……斬られたの?」


 そんなアタシの問いに、


「……お前がそういう無駄なことを考えて、死にそうになってたから、多少無理矢理従者2体をやり過ごさざるを得なかっただけだ」


 こんなもん、オーヴァードなら怪我のうちに入らない。

 彼はそう付け加えて、またため息をついた。


 ……罪悪感、無力感。

 彼に対する申し訳なさでいっぱいになる。


 アタシの人生、嘘ばかり。

 親しい人にも嘘を吐いているし、欺いてばかり。


 この上、彼に対しても誠が通せないなら、アタシに何が残るんだろう……?


 そのときだった。


 彼の目に、厳しさが蘇る。


 そして、視線を向けた。

 アタシも見た。


 そこに気配を感じたから。


 そこには、道本さんが背中から複数の日本刀で串刺しにされて倒れていた。

 その道本さんが。


 ……両手を地につけて、ゆっくりと立ち上がろうとしていた。


 素早く、アタシたち二人は距離を取り。

 距離を取りつつ、文人は棒手裏剣を錬成。

 飛び退きつつ、得意の日本刀投げを繰り出す。


 エフェクトによる蘇生復活……!!


 ジャームなら、このくらい、あるよね……!


 復活途中で倒すべく、文人が投げ放った複数の日本刀。


 それが、道本さんの眼前に迫ったとき。


 カッ!と道本さんが顔を上げた。


 ……道本さんは眼球の白目が真っ赤に染まっており。

 牙を生やしていた。


 それと同時に。


 ぎんっ!


 彼女の眼前に、透明な、結晶したような壁が出現し、文人の投げた日本刀を全て阻む。


 ……氷の盾!!


「……同じ手が二度も通じるわけ無いんだけど?下村君?」


 背中から日本刀を生やしたままで、地に足をつけ、立ち上がろうとする。

 立ち上がりながら、まるで内圧にでも押されたように、背中から日本刀が抜けていく。


 カラン、カラン、と音を立てて、刃が抜け落ち、道本さんの足元に転がる。

 立ち上がった道本さん。


 胸部の傷は、最初こそ血を噴いていたけれど、見る間に塞がっていく……!


「よくもやってくれたよねぇ……?後ろから襲うなんて、さすが悪人」


 狂笑。そう表現するしかない笑みを浮かべる道本さん。


「……否定はしない」


 両手に次の棒手裏剣を錬成し、用意しながら彼は言った。

 言いつつ、投擲姿勢を取るけれど。


「……あやと」


 そんな彼の背中に、私は話しかけた。



★★★(道本徳美)



 いきなり後ろから攻撃してくるなんて。

 予想してなかった。


 下村君は刀だけで戦っていたからね。


 しかし、どうやってあれだけの数の日本刀を私に投げつけて来たのか。


 その疑問が、さっきの攻撃で氷解した。

 目の前で、金属の短い棒みたいな投げナイフを手指の間に出現させ、それを投げ。

 彼がそれを投げた直後にそれが日本刀に変わったからだ。


 ……なるほど。


 下村君は、ああやって、道具を自在に作り出せる超能力者なのか。

 で、作り出した道具を、別の道具に作り替えることも可能、と。


 それを応用して、あれをやったのね。

 なるほどなるほど。


 多分、すごいんだろうなとは思うんだけどさぁ……


 それもう、効かないから。


 この、さっきの経験から編み出すに至った「氷結防壁」の前には。

 ……私は目の前に展開した氷の結晶で構成された鉄壁の盾を見つめる。

 透明だから視界も遮らないし、無敵だ。


 出すも消すも自由自在。

 だからもう、通用しないよ?下村君?


 残念だったねぇ……?


 笑いがこみ上げてきた。


 学年10位で、知性派を気取ってたかもしれないけどさぁ?

 それもう、意味が無いよねぇ?

 自分の成績を鼻にかけて私たち家族を殺しに来るなんて酷い真似。

 許せないよ。命で償わせてやる……!


「……背中ががら空きなんだけど。また後ろから襲われたいの?」


 そのときだ。

 突如、背後から声がした。


 慌てて振り返る。


 そこには、下村君の仲間の金髪の女の子が居た。

 ……いつの間に?


「はぁい道本さん」


 金髪の女の子はそう言って手を振る。


「……どうやって、そこまで移動したの?」


 この子も、きっと超能力者……!

 下村君と同じような、何らかの能力を持ってる……!


「走ってここまで来ただけだけど?」


 いらつくことに、氷結結界の射程圏外だから、私は手を出せない。

 クスクス、笑って、余裕の笑み。

 仮面で、顔は良く見えないけど。


 ……そういえば。


 なんだかこの子、声に聞き覚えがあるような……?

 あの金髪……まさか!?


「……アンタ、佛野さん?」


「……正解」


 私が聞くと、彼女は仮面を外した。


 ……ミスH高だっけ?

 学校中の女子の嫌われ者の。

 一応、クラスメイト。


 男の子にだらしない、いやらしい女の子。


 佛野徹子。


 それが、下村君の仲間の金髪女子の正体。


 彼女の顔は教室で見る通り、とても可愛く。

 とても嫌な笑みを浮かべていた。


 心底、私を小馬鹿にするような。


「……なぁんも知らない人を揶揄うって楽しいよね」


 仮面をまた装着して、彼女が言う。


「……何も知らない……ですって?」


「だってさ、さっき道本さん、アタシのこと追い詰めたつもりになってたかもしれないけど」


 全然追い詰められて無かったから。

 あそこからでも脱出できたから。


 遊んでただけだから。


 なぁんも知らない道本さんに教えてあげると、こういう超能力を持ってる人間の事を「オーヴァード」って言うのね?

 で、アタシは「光と速度の操作」文人は「超頭脳と物質創造」そういう能力を持ってるのね。

 アタシらこの力で殺し屋やっててさぁ、道本さんのおじい様も、さっき言った通り、お金貰って殺しに行って、この力で始末したわけ。組ごと。


 手を広げて、知識をひけらかす様に。自分たちの強大さを見せつけるように。


「まぁ、その範囲攻撃だけは驚いたけどさぁ、からくり分かれば対処は可能だし。何も問題ない」


 ……そっと、一歩踏み出した。

 距離を詰めるために。


 語りに夢中になってて気づかなければ、それで勝てる……!


 だけど。


「おっと」


 彼女は、佛野徹子は、私が踏み込んだ分後ろに下がる。


「見えてるから。無駄だから」


 ケラケラ笑った。


 さっきも、アタシ頭の後ろにもう一個目があるのと同じ状態になれるんで。光を操ることで。

 勝ち誇ったように笑ってる道本さん、傑作だったよ。見当違いなのに。


 ……!!


 羞恥と、悔しさが沸き起こる。


 ……だけど。


 ……怒らせて、冷静さを失わせる。

 見え見えよ。


 その手には乗らないから……!


「で、今さっきの種明かしだけど」


 どうやってそこまで移動したのか?それについて「走って」という答え。


 ……アタシ、最高速度マッハ5超で走れるんだぁ。

 だから、道本さんの目に止まらないで移動できるわけ。


 分かった?勉強になった?


 だからあの状況でも余裕で脱出できたのよ。

 追いかけっこ自体意味が無かったの。


 遊んでたの。残念でしたぁ~。


 怒りが湧く。

 湧くけど、それに流されてはいけない。


 私は彼女の話を分析した。

 おそらく、嘘が混じってると思うけど、彼女が高速移動できるって話は本当だろう。

 でなければ、今の状況の説明が出来ない。

 もしかしたら瞬間移動かもしれないけど、それにしても結果は一緒。

 彼女に関しては「追い詰める」これが無効なんだ。


 じゃあ、何で私をすぐに殺さないのか?


 こんな話をしてる間に、突っ込んでやればいいのに。


 ……これに関しては、おそらくだけど。


 ……彼女の速さをもってしても、氷結結界に捕らわれないで私を仕留めるのは出来ないんだろう。

 そうに違いない。


 そうでなければ、やってるはずだし。


 ……じゃあ、彼女の狙いは何なのか?


 ……それはきっと「氷結結界」を発動させる前に、接近して、私に致命傷を与えることだ。

 冷静さを失えば、発動の隙を突くことが出来ると考えたんだろう。


 ……だったら、私がやることは一つ。

 氷結結界を常時発動させておいて、待てばいいだけ。


 そうすれば、いずれ彼女が突っ込んできて。まるでゴキブリホイホイにかかったゴキブリみたいに、氷の像の姿を晒すことになる。


 ……残念だったね?氷結結界「持続」で発動もできるんだよ?

 そのときが、見ものだよ……!


 ほくそ笑みたかったが、ばれたらまずい。ポーカーフェイスを決め込んだ。


 けれど。


 ……続いた言葉に、私は憤死しそうになる。


「そういえばさ、道本さんの偉大なるおじい様の新聞記事のコピー」


 あれ、入れたのアタシだから。

 ついでに言うと、ネットに道本さんのことを書きこんだのもアタシ。


 ……!!!


 リアクション、最高だったよ。

 道本さんの従者、ご両親みたいだけど、もしかして自殺しちゃった?

 良かったね~?クズの血族がこれで絶えるんだね?赤飯ものだよ~!


 ……やっぱり、お前だったのか……!!

 この……あばずれ女!!


「……パパもママも立派な人だったのに……オマエなんかに……!!」


 怒りのあまり、涙が溢れる。

 許せない。

 絶対に、許せない……!!


「そんなのは妄想だと思うけど?」


 小首を傾げて、佛野徹子はそう言った。


 ……もう、限界だった。


 冷静さを失ってはいけない。

 氷結結界の常時持続は解かない。


 私はそのまんま、手を掲げてパパとママを再復活させた。


 ちょうど、佛野徹子と私の間を一直線で並ぶように。


 ……これで、視界を切れば、私の移動はあいつには分からない。

 大柄なパパを前列、その後ろにママ。

 私が見えづらくなるハズ。


 分からなければ、気づかれずに間合いに入ることだって……!!


「パパ!!ママ!!そのまま突っ込んでアイツを殺して!!」


 そうお願いした瞬間、私の背後で金属が弾ける音。

「氷結防壁」が、下村君の日本刀投げを防いだのだ。


「同じ技は通用しないって言ったよね下村君!?」


 後ろの彼に呼び掛ける。

 舐めるな!!


 警戒して無いとでも思った!?


 燃え上がる佛野徹子への憎悪と共に、私は一歩踏み出して……


 ……


 ………


 あれ……?


 くるくる


 くるくるくる


 視界が、回る。


 回る視界に、立ち尽くす誰かの首なしの身体。


 あれ、あれれ?


 回る視界に、輝く右手を水平に掲げながら、片膝を着いてしゃがみ込む金髪女子……佛野徹子の姿。


 どう……して?


 あ……?


 ひょっとして私、首を刎ねられた?


 なんで?

 どうやって……?


 氷結結界、発動させたままだったのに……!


 舞い散る髪。

 おそらく、斬首のときに一緒に切れたのか。

 私は髪が長いから。


 どんっ


 私の頭が地面に落ちたとき。

 最後の視界に、血液に戻って消滅する、両親の姿が見えた。


 ……パパ……ママ……

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