第75話 ミヤモト、魔王をナンパする。そしてお菓子で釣って成功する

「――魔王以外になら何だって勝てるっ!」



 俺もそんな先輩を見て誇らしげに頷いた。


「俺は先輩に一生ついていきます!」


 そう、俺たちのヒーローである最強のワル……中島……亜斗夢(アトム)先輩に……っ!





 と、その時、俺たちは森の中で歩いている幼女を発見した。


「しかし狐耳よ。こんなところで会うとは奇遇じゃの」


 見た目11歳か12歳。


 金髪ツインテールの少女が語り掛けた先は、狐耳のスレンダーボディの綺麗なお姉さんだ。



「……アンタさんがお供も連れんと一人で出歩いていることに……ドン引きやわ」



 しかし、あの金髪幼女……美術品みたいに綺麗だな。


 ってか、普通にめっちゃ可愛い。

 俺はガチロリの気は無いから守備範囲外だが、そういう系の趣味がある人なら一撃でズキューンってやられちまうだろうな。


 ま、俺にその気は無いので、やはり狐耳のお姉さんが好みだな。


 何ていうか、スレンダーだけど出るところは出てて引っ込んでいるところは引っ込んでいる。


 うん、健康的なエロさがある。


 あと、好き嫌いの分かれる要素ではあるが、関西弁も意外にポイント高いよな。


 と、その時……俺は亜斗夢先輩が放心状態に陥っていることに気付いた。




「……亜斗夢先輩?」


「あんな可愛い子が存在しても良いのか?」


「あの狐耳ですか? そうですね……細いながらにも豊満な……あのスレンダー爆乳がたまりませんね」


「いや、そっちの年増じゃねえっ! 金髪ツインテールの方だっ!」



 ――ガチロリコンがここにいたっ!


 そういえば先輩にはそういう噂があったんだったか……。


「ともかく、ここは森の中で人目もありません。なあに、剣聖やらの連中も俺等が犯罪者ギルド出身ってことは知ってます。それも込み込みでの同行って奴ですわ。誰に構うこともありません。攫って犯っちゃいましょうか? 俺は狐耳で、先輩は金髪ツインテールで……」


 そこで先輩は首を左右に振ってため息をついた。


「だからテメエは駄目なんだよミヤモト」


「って言いますと?」


「……イエスロリータ・ノータッチって奴だ。幼女とは目で愛でるもんなんだぞ?」


「じゃあ狐耳だけでも……」


「だ・か・ら……テメエはダメなんだよミヤモト」


「って言いますと?」


「……金髪ツインテールと狐耳は知り合いみたいじゃねえか。狐耳の方だけを犯っちまうと……金髪ツインテールが怯えてしまうだろうに? あの天使のような笑顔を恐怖に染めるほどに俺は野暮じゃない」


 くっそ……変態紳士かよ。


 とはいえ、先輩は怒ると怖えからな。


「ってことでミヤモト」


「何でしょうか?」


 亜斗夢先輩は懐から……お菓子を取りだしてこう言った。


「金髪ツインテールをナンパしてこい」


「ナンパ?」


「近くで見て……目で愛でたいんだよ。あの愛らしい姿を眺めて癒されたいんだよ。あと、ここは帰らずの森で……金髪ツインテールが普通に心配だ。あんな芸術品みたいな幼女を危険な目に遭わせるわけにはいかねえ」


 あ、こいつガチの変態紳士だ。

 しかし、でも……やっぱり先輩は怒ると怖えからな。


 で、俺は金髪ツインテールの所に歩いていき、お菓子を差し出した。


 すると「殊勝な心掛けじゃ……」と、満更でも無さそうな感じで同行することになった。


 幼女達の目的地までは俺達が安全を保障する形で同行することになったのだが、どうにも進行方向が一緒らしかった。




 ――と、まあ……そんなこんなで俺たちは憎き手乗りウサギの本拠地である、目的の小屋に辿り着いたんだ。


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