ゆるふわ農家の文字化けスキル ～異世界で、ネット通販やってます～

第52話 カイザードラゴンの肝はヤバかったです

「レバー♪　レバー♪　生レバー♪」

「美味しいのですー！　ヤバいのですー！」

「ほう、これが伝説の……」

「隊長閣下ー！　ニンジンもっと焼いて欲しいのですー！」

「レバ・レバ・ニンジン・レバ・ニンジン♪」

　バーベキューをやってんだが、手乗りウサギ達には焼肉よりも生レバーが好評みたいだ。

　ソーニャも生レバーがお気に入りみたいで、刺身のパックとかについている細ーいニンジンを薬味代わりにしてバクバクいっている。

　もちろん、ビールもグビグビやっている。

「いや、しかし本当にすごいね……お兄ちゃんは。いやはや、生のレバーがこんなに美味しいとは……」

　カティアは見た目はドワーフの幼女だけあって下戸だ。

　で、ウーロン茶と生レバー。こちらは順当にネギを薬味に食べている。

「あかん。こんなもん食うてもうたら……今日はウチは止まらへんで？」

　狐耳のアリサは赤ワインと……薬味は無しでゴマ油と塩だけ。

　ってか、そういえば獣人はドラゴンレバーを食うと発情するんだったか。ソーニャとあわせて今日も大変そうだ。

「私は生ものはちょっと……」

　と、言いつつドラゴンのスペアリブを、ニンニクをドッサリと入れたポン酢でガツガツいっているのはサキュバスのマリアだ。

　サキュバスはニンニクを食べるとヤバくなるので、やっぱり今日は大変なことになる。

「ニンニクが美味しいです！」

　エルフ達はニンニクのアルミホイル焼きが大のお気に入りみたいだな。

　肉を薦めたんだが、ベジタリアンの彼女達の壁は高かった。

「全てが美味しゅうございますご主人様」

　メイドのウロボロスは好き嫌いないからな。

　酒も何でも飲むし、飯も何でも食べる。

「カレーはないのかお前様？」

「お前はそればっかだな」

　コーネリアが涙目でそう言った。

「いや、別に我もバーベキューは嫌いではないぞ？　しかしお前様のところに来てカレーを食えんと言うのは……」

　悲し気な表情をしていたので、俺はそこでイジワルを止めてやる。

「バーベキューでカレーって言ったら……基本だろ？」

　コーネリアが来ることは知ってたし、ちゃんと作ってあるんだよな。

　ちなみに、俺の流儀では最終的に余った肉やホルモンや野菜をカレーにぶちこんで、闇鍋ならぬ闇カレー状態にするスタイルだ。

「おお！　さすがはお前様じゃっ！」

　コーネリアがニッコリと笑ったところで、俺はゾクリと背中に嫌な視線を感じた。

　と、いうのも……。

　ソーニャとアリサの……鼻息が荒い。

「攫うのですよー！」

「ウチも我慢できん！」

　二人は血走った眼で俺を担ぎ上げ、そして小屋へと一目散に走っていく。

　え？

　え？

　これは一体どういうことだ？

　そういう風に思ったところで、俺は「あっ！」と息を呑んだ。

　そういえば、こいつ等……ドラゴンの肝を食えば発情するんだった！

　それも、生だ。

　生でバクバクいっちゃってたんだ！

「タツヤー！　今日は朝までコースなのですー♪」

「タツヤ兄さん、もう、もう……ウチは辛抱たまらんのや！」

　い、いかん。

　いつもは発情時は頬も火照ったりしてて色気もあるんだが、今回は完全に肉食系の鋭い眼光だ。

　と、まあそんなこんなで――

「アアアアアアアーーーーっ！」

　そんな俺の悲鳴が夜の月夜に響いたのだった。