第51話 生レバーが食べられなくなったのは悲しいです


「カイザードラゴンを捌くなんて生まれて始めてだ」


 冗談じゃなくて感涙の涙を流していたので、厄災級上位個体ってのは本当にヤバいシロモノなんだろう。


「内臓は早い目に食えよ? まあ、今日中なら火を通せば問題ねえ」


 俺のアイテムボックスは少量なら時を止める形で完全保存できるので、そこはご心配なく。

 それを言っちゃうとまた卒倒しそうなので黙っておくけどな。


「ところで、ドラゴンのレバーって生で食えるのか?」


「ここより更に北方の方じゃあ……冬場はレバーは生で食うって聞いたことがあるな。が、それは寒冷地域だからできる芸当だ。内臓はとにかく足が早い」


 俺の保存ボックスがあればイケるな。

 ゴマ油はあったし、薬味用に少量のネギは育てている。

 で、当然ながら塩も小屋に帰ればある訳だ。

 と、なると――


 ――レバ刺しっ!


 ドラゴンって極上和牛肉っぽいから、レバーもそんな感じだろう。アークドラゴンのレバー焼きもそんな感じだったし。

 ってか、日本では牛はレバ刺しは食べることができなくなったんだよな……。


 滅茶苦茶好きだったんだが、まあ、そこは仕方ないよな。

 おっと、思い出しただけでヨダレが出てきた。


 レバ刺しをビールで流し込んだら美味いだろうな……。


「と、言うことで帰ったらバーベキューだ」


「ばーべきゅーですか?」


「ああ、焼肉パーティーだ」


 っていうかドラゴン肉ってクソ美味いからな。更に今回はカイザーな訳だ。

 ここはちょっとくらい贅沢しても良いよな。

 オリハルコン通貨で決済だったんだが、五万五千枚の金貨分は貰っているし、懐に余裕はある。


 オマケに日本円基準では少額だけど……定期収入の目途も立った。

 いや、今は少額なだけで今後は砂糖小屋から砂糖工場にして大々的にやるつもりだし、やっぱりお祝いくらいしてもバチは当たらん。


 と、いうことで帰ったら速攻で五百ミリビール缶のケースと、そこそこ上等なワインを取り寄せよう。


 あ、もちろん焼肉のタレもな。あとはポン酢だな。

 極上の和牛とほぼ同じだから、どうしても口の中が脂っこくなっちまう。


 畑で育てているダイコンでダイコンオロシを作って、ニンニクもすり下ろそう。それでポン酢で食べればアッサリするはずだ。

 マリアにニンニクを食わせると異常にハッスルするから基本は控えているんだが、まあ今日くらい良いだろう。

 さて、帰るのが楽しみになってきたな。


 ――いや、こんなことばっかりしてるから金が無くなるんだが。


 でも、まあ食欲には勝てないし仕方ないよな。

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