第50話 解体屋さん、再び

 ――それから。


 俺たちはマリアの義理の親のマルクスさんのところに寄った。


 実はマルケスさんは冒険王としても有名なんだが、色々と手広くやってるらしい。

 引退後のことも考えて、実は蓄えた金で商会も持っていたんだ。


 で、テンサイ販売に関する細かいことは、アリサとマルクス商会の幹部で決定することになった。

 基本的な流れとしては俺達がテンサイから砂糖を精製して、そこからマルクス商会まで運搬する。


 そしてマルクス商会で砂糖を捌いて、利益は折半という形だ。

 が、まあ……そういう風に一度は決まったんだが、そこはアリサがガメついのと、マルクスさんがマリアにはクソ甘いので取り分は七対三ということで決定した。


 マルクス商会からすれば、馬鹿みたいに仕入れ値が安い商品を右から左に流す販売をするだけなので、それで全然オッケーって話らしいんだが。



 まあ、これで月額で金貨五百枚くらいの利益は産んでくれそうな感じだな。

 栽培速度最速の種なので一か月に一回くらいは生産可能な訳だ。

 畑を拡張すれば金貨千枚~も全然夢ではない。

 流石にそうなってくると俺一人では無理なので、その場合はエルフの集落等から労働者を雇わなきゃいけないが。


 と、そんなこんなで俺達はカイザードラゴンを解体屋まで運んできた。

 ドデかい魔物なので、ギルドの運搬の手間を請け負う代わりに、ドラゴンの肉を一部タダで分けてもらうという形で話はついている。


「おう、坊主達! 久しぶりだなっ」


 前回アークドラゴンを引き取ってもらった解体屋さんだ。

 五十代半ばで筋骨隆々。バンダナにタンクトップに作業ズボンと言った形で、日本でも建築現場の親方って感じでいそうな職人気質っぽいオッサンだ、


「ああ、お久しぶり」


「今日はデスホークか? あるいはまたアークドラゴンか? 俺はそれくらいじゃあもう驚かねえ――」


 と、そこでカイザードラゴンをアイテムボックスから出すと、解体屋はその場で目を見開いて気絶したのだった。

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