第49話 受付嬢、再び
カイザードラゴンを討伐した俺は、例のごとくにアイテムボックスにその亡骸を収納する。
っていうか、この前倒したアークドラゴンよりも三回り位デカい。
何でも入るし、容量制限はあるみたいなんだがほとんど気にしなくても良いレベルでいくらでも入る。
よくよく考えるとこれも大概なチートスキルだよな。
日本でアイテムボックス物流会社でも開けば、俺は瞬く間に億万長者だろう。
と、それはさておき、街に到着した俺達は冒険者ギルドに向かった。
今回は商業ギルドで砂糖の卸値なんかを決めたりする交渉があるんだが……。
まあ、まずは冒険者ギルドでの買取だな。
金欠気味だし、早いところ換金して安心したい。いくらくらいになるか気になるし……。
「久しぶりだな」
俺とマリアの顔を見るや否や、ギルドの受付嬢の表情が引きつったものになる。
おいおい、化け物扱いかよと苦笑しながら俺はカウンターへと向かった。
「きょっ、今日はどういったご用件で?」
「ああ、買取を依頼したい」
「またデスホーク……あるいはアークドラゴンでしょうか? 私はもうアークドラゴン程度は驚きませんよ?」
チラチラとマリアの方を伺っていて、どうやら受付嬢は冒険王と同格らしいマリアに気を使っているらしい。
「いや、カイザードラゴンだ」
受付嬢はギョっとした表情を作った。
そうして、しばらく放心した表情を作って「ああ」とポンと掌を打った。
「お人が悪いですね。この前のエビルサイクロプスよりも討伐難易度の高い……厄災級上位個体ですよ?」
「え? そうなの?」
「先週から冒険者王も帝都に遠征していますし、今日は手乗りウサギの女王もいないみたいですね。貴方達が凄いことは前回で分かりましたが……人をからかうのは大概にしてくださいな。三人が共闘してというのであればありえないことではないですが……で、どのようなご用件で?」
「いや、だから買取だって」
「だから、何の買取でしょうか?」
「だから、カイザードラゴンだって」
「またまたご冗談を……」
「現物見てもらった方が早いなこれは」
と、そこで俺はアイテムボックスを取り出した。
まあ、実際には取り出した訳ではなく、呼び出したといった方が近いんだが。
ともかく、俺のもっているアイテムボックスから、頭だけで長さ二メートル近くある巨大な龍の……ドラゴンヘッドが登場した訳だ。
「そんな……」
そう言うと、ヘナヘナと受付嬢はその場でヘタりこんだのだった。
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