第45話 キャラの知能指数的には一番まとも(全員メダパニかかってる本作品内限定)
街に出た俺達は大通りを食べ歩いていた。
「お? モラリスの実やんか。こないに珍しいもんが並んでるなんて……」
アリサがフルーツの屋台に駆け寄った。
銀貨を数枚渡していたから結構高価な果物みたいだな。ちなみに日本円で銀貨一枚が千円くらいの感覚で間違いない。
「ほい、タツヤ兄やん。これはウチの好物なんや」
二つ持っている内の一つを俺に差し出してきた。
「サンキュ」
洋ナシを更に細長くしたような食べ物で、食べてみた感じはリンゴと梨の中間みたいな感じだな。
シャクリと言う食感が心地良くて、程良い甘さで悪くない。
が、アリサはどうにも浮かない顔をした。
「どうしたんだ?」
「いや、なんか不味いんや」
「不味い? 十分美味いと思うが」
「ちゃうちゃう。昔ほどには美味いって感じへん感じな。タツヤ兄やんが作ったプチトマトの方が美味いでこれ」
いや、あれはトマトで果物じゃないんだけどな。
糖度最強に設定したから、ほとんど砂糖菓子レベルではあったが……。
ってか、マスクメロンとか作ったらエグいことになるんじゃねーかな。
他にもカボチャとかイモとかもそのままでお菓子になるかもしれない。
水分たっぷりのスイカでジュースとか作っても、みんなには絶対にウケるだろう。
みんな女の子だけあって、何だかんだで甘いの好きだしな。
良し、今度作ってみよう。
「まあ、それしか取り柄がねーからな」
「いや、アンタ……人類最強クラスの実力者やん」
「そのおかげで何故だかモテてるんだけどな」と、苦笑した。
実際問題、ウチに住んでいる全員が日本の女優やアイドルが裸足で逃げ出すレベルの美人揃いなのだ。
それこそ、日本にいた頃の俺なんて、逆立ちしたって相手にされる訳もない。
「いや、別に……それだけのおかげって訳でもないと思うけどな」
「っつーと?」
「例えばウチの場合やけど、だってタツヤ兄やんってお人良しやろ?」
「……ん?」
「ウチのボッタクリの件の時やって、ほんまはアレって四肢切断の上で縛り首の晒し者にされたって文句は言われへんレベルやん。やらかしてる金額が金額やさかいな」
「まあ、盗みは厳罰ってのがルールみたいだからな」
「それに今日の買い出しも自分のモノっていうより、みんなが何を買ったら喜ぶかみたいなことをメインに考えとるやん? 作物とか増改築とかも、基本はみんながこのほうが良いだろうって感じやし」
「まあ、そりゃそうだな」
今回も生活物資を買い終えたら、女物の服飾店に行くことにしていたしな。
「そういうのって素敵やとウチは思うよ。本当は自分中心で何でもワガママできる立場やのにさ」
サラっとそんなことを言われてしまうと、俺も少しドキっとしてしまう。
いや、照れ臭いというか何というか。
「……」
「ウチの場合はそんな感じやけど、他のみんなもタツヤ兄やんの色んなところに惹かれてるんちゃう? 他の世界から来たって話で、やっぱり兄やんはこっちの人間とは色々と……良い意味でちゃう部分っていっぱいあるしな」
「そんなもんなのかな」
「うん。そんなもんやと思うで」
やはり、サラっとそういうことを言われると照れ臭いな。
「で、お前らは何を企んでるんだ?」
「え?」
「今日、ワザと俺を街に……半ば無理やりに連れ出しただろ?」
それを言うとアリサは「あっちゃあ……」と渋い表情を作ったのだった。
「で、どういうことなんだよ?」
「それだけは口が裂けても言われへん」
「だからどうして?」
「何でもや」
何というか、断固とした強い意思を感じる瞳だ。
「つってもなあ……」
「まあ、そう言いなや兄やん」
「ん?」
「今日は宿屋で泊まるんやろ?」
「ああ、そうなるな」
そうしてアリサは頬を染めながら上目遣いでこう言った。
「今日は二人きりや。念入りにウチだけのサービスしたるさかい」
「いや、そんなことじゃ俺はごまかされんぞ?」
「ウチのこと……嫌か?」
そうして俺は素直な気持ちでこう言った。
「いや、全然嫌じゃないです」
そういうと、アリサはクスクスと笑い始めた。
「アンタはそればっかやな」
「まあ、否定はせんがな」
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